「くつ王レディオ」というラジオ番組の最終回における、パーソナリティのくつ王とAIナレーターによるやりとりを収録しています。番組は今回で終了となりますが、これは「終わり」ではなく「始まり」であると説明されています。感染症や論文解説といった番組で扱ってきたテーマは、今後はYouTubeチャンネル「くつ王アカデミア」にプラットフォームを移し、映像付きで継続されることが発表されました。この新しい試みでは、スライドや図を用いてより分かりやすく、研究の背景や重要性についても深く伝える予定です。二人は、リスナーへの感謝を述べつつ、「感染症をもっと面白く、もっと身近に」というモットーを胸に、YouTubeでの再会を呼びかけて締めくくっています。
元の論文:Cholera
Citation:Lancet. 2022;399:1429–1440
論文の要約
このセミナー論文は、コレラの歴史、病原体、臨床像、診断、治療、予防について最新の知見を総合的に整理しています。
◯ 病原体と病態
コレラはトキシン産生性 Vibrio cholerae O1またはO139により引き起こされます。小腸に定着した菌がコレラ毒素を分泌し、cAMPを介したイオン分泌亢進により大量の水様性下痢を引き起こします。感染経路は汚染された水や食物で、流行は衛生環境の悪い地域で拡大します。
◯ 臨床像
感染は無症状から軽症の下痢、重症の脱水性下痢まで多様です。潜伏期は数時間〜5日程度で、最重症例では成人で1時間あたり1リットルもの下痢が出ることがあります。未治療の場合、重度の脱水と電解質異常により短時間で死亡に至ります。
◯ 診断と治療
診断は臨床像で行われますが、培養や迅速診断検査がアウトブレイク時の確認に用いられます。治療の基本は脱水補正で、経口補水液(ORS)や重症例には静脈輸液が必要です。抗菌薬は重症例や妊婦、併存疾患を持つ人に有効で、下痢の期間や排菌を短縮します。小児には亜鉛補充も推奨されます。
◯ 疫学と負担
年間推定290万例、9.5万人の死亡が生じており、アフリカや南アジアで特に負担が大きいとされています。報告例は実際の発生数より過少評価される傾向があります。
◯ ワクチンと予防
経口コレラワクチン(Shanchol, Euvichol, Dukoral, Vaxchora)があり、集団接種や流行地での使用で効果が示されています。しかし供給不足が課題です。長期的には水・衛生(WASH)の改善が最も持続的な対策であり、国際的な「コレラ撲滅ロードマップ2030」では、20か国以上でのコレラ伝播排除を目標にしています。
◯ 今後の課題
ゲノム疫学の進展により、コレラ菌の多様性や伝播パターンが解明されつつありますが、気候変動や人口移動の影響も複雑に関与しています。予防にはワクチンと同時に、社会インフラ整備、行動変容、監視体制の強化が不可欠です。
コレラ, 脱水, 経口補水液, ワクチン, 公衆衛生,
元の論文:Antimicrobial stewardship from a One Health perspective
Citation:Nat Rev Microbiol. 2025;23:xxx–xxx
論文の要約
このレビューは、抗菌薬適正使用(AMS)を人・動物・環境を包括する「One Health」の枠組みから再評価し、持続可能なプログラムの要素を整理したものです。
◯ 背景と課題
抗菌薬の乱用・過用が耐性菌(AMR)の世界的拡大を加速させており、南アジア、ラテンアメリカ、アフリカでの高齢者を中心に負担が大きい。2021年には470万人以上の死亡が耐性菌と関連し、2050年までに累積9,200万人の死亡が予測されています。
◯ 主なドライバー
臨床的要因:感染治療の即時性と患者安全の要求。
経済的要因:家畜での成長促進目的の抗菌薬使用、製薬会社の影響、規制や市場動向。
環境的要因:医療廃水や農業排水により耐性菌が拡散し、環境が耐性遺伝子のリザーバーとなる。
社会文化的要因:行動習慣、教育不足、誤情報の拡散。
◯ プログラムの要素
AMSは病院だけでなく、在宅・地域医療、獣医領域にも展開が必要です。主要な要素は以下:
構造的要素:政策、リーダーシップ、専門人材、教育体制、分類システム(例:WHO AWaRe)。
プロセス要素:処方ガイドライン、監査とフィードバック、迅速診断、投与量最適化、静注から経口への切り替え。
アウトカム要素:抗菌薬消費量の減少、AMR率低下、臨床転帰改善、医療費削減。
(図2, p.6 に病院・介護・プライマリケア・動物医療でのAMS介入効果の比較が示されています)
◯ サーベイランスと評価
消費量の監視は広く行われているが、重要なのは「適正使用率」。オーストラリアNAPSでは、ガイドライン遵守率は56%だが「適正」と判断された処方は74%であり、評価指標の違いが重要とされています。
◯ 社会的公平性と持続可能性
LMICでは資金不足や人材不足がAMS実装を妨げており、短期的な国際援助頼みの構造も課題。性別や社会的地位がAMSチームの力学に影響するとの指摘もあり、ジェンダーや文化的要素を組み込んだ政策設計が必要とされています(図4, p.10 に「公平なAMSへのアクセス」を妨げる要因が整理)。
◯ デジタルとAI
電子カルテを活用した臨床意思決定支援(CDSS)や機械学習は、処方最適化やAMR予測に有用ですが、LMICでは実装が遅れています。AIは予測性能を示す一方、透明性・公平性・データ偏りが課題とされています。
◯ 結論
AMSは病院から地域・動物・環境に拡張され、One Health視点で統合的に進める必要があります。持続的な資金、ガバナンス、監視体制、社会的公平性の確保が不可欠であり、政治的意思と科学的イノベーションの結集が求められます。
抗菌薬適正使用, OneHealth, 耐性菌対策, 行動科学, デジタルヘルス,
元の論文:Updates on HPV Vaccination
Citation:Diagnostics. 2023;13:243
論文の要約
このレビューは、HPVワクチンの歴史、科学的背景、効果、安全性、そして世界的な導入状況と課題を整理しています。
◯ 背景
HPVは世界で最も一般的な性感染症であり、子宮頸がんをはじめとする多くのがんの原因となります。特にHPV16と18は子宮頸がんの約70%を引き起こします。
◯ ワクチンの種類
ガーダシル(4価、2006年承認):HPV6, 11, 16, 18に効果
サーバリックス(2価、2007年承認):HPV16, 18に効果
ガーダシル9(9価、2014年承認):さらにHPV31, 33, 45, 52, 58を追加
セコリン(2価、中国、2020年承認)、Walvax社製2価ワクチン(中国、2022年承認)もWHOで事前認証済み
◯ 有効性と安全性
臨床試験で高い効果が証明され、子宮頸部前がん病変や感染を予防します。副作用は注射部位の痛みや軽い全身症状が多いですが、重篤な副作用や死亡例は報告されていません。
◯ 公衆衛生への影響
オーストラリアやイギリスでは、ワクチン導入後に若年女性の子宮頸がんや前がん病変が80%以上減少しました。デンマークなど他国でも効果が確認されています。
◯ 世界的課題
低中所得国ではワクチン導入率が低く、費用、供給不足、コールドチェーンの必要性、ワクチン忌避などが障壁となっています。特に日本では2013年から約9年間、積極的勧奨が停止され接種率が1%未満まで低下しましたが、2022年に再開されました。
◯ 今後の展望
1回接種スケジュールの有効性が示され、導入が進めば費用と供給問題を改善可能
CIN治療後の再発予防や治療的ワクチンの研究も進展
世界的なカバレッジ拡大と公平なアクセスが、子宮頸がん撲滅に不可欠
HPVワクチン, 子宮頸がん予防, ガーダシル, ワクチン忌避, 公衆衛生,
元の論文:Community-Acquired Pneumonia
Citation:N Engl J Med. 2023;389:632–641
論文の要約
この総説は、市中肺炎(Community-Acquired Pneumonia: CAP)の診断、治療、予防に関する最新の知見を整理しています。
◯ 疫学とリスク
市中肺炎は米国で毎年約600万例報告され、入院や死亡の主要原因です。高齢、慢性肺疾患、心疾患、糖尿病、栄養不良、喫煙、アルコール多飲などがリスク要因です。
◯ 病態と原因微生物
肺炎は微小誤嚥が主な感染経路で、肺胞マクロファージの防御が突破されると炎症が拡大します。典型的には肺炎球菌、インフルエンザウイルス、RSウイルス、SARS-CoV-2などが原因です。
◯ 診断
胸部X線での新しい浸潤影と症状(発熱、咳、膿性痰、呼吸困難)に基づき診断します。重症度はCURB-65やPSIスコアで評価し、入院やICU管理の必要性を判断します。
◯ 治療
外来治療(若年・基礎疾患なし):アモキシシリン、ドキシサイクリン、またはマクロライド(耐性が少ない地域に限る)。
基礎疾患あり:アモキシシリン/クラブラン酸+マクロライド、あるいは呼吸器フルオロキノロン。
入院例:βラクタム+マクロライド、またはフルオロキノロン単剤。
ICU例:重症例ではMRSAや緑膿菌のリスクを考慮し、バンコマイシンや抗緑膿菌βラクタムを追加。
◯ 治療期間と中止の判断
安定して48時間以上解熱すれば5日間の治療で十分。免疫不全や合併症例では延長が必要。プロカルシトニンや臨床安定度が抗菌薬中止の参考となります。
◯ 予防
喫煙やアルコール過多の是正に加え、インフルエンザ、肺炎球菌、COVID-19ワクチンが重要です。
市中肺炎, 抗菌薬治療, 重症度評価, 肺炎球菌, ワクチン予防,
元の論文:Management of Staphylococcus aureus Bacteremia: A Review
Citation:JAMA. 2025;334(9):798–808. doi:10.1001/jama.2025.4288
論文の要約
この総説は、黄色ブドウ球菌による菌血症(Staphylococcus aureus bacteremia, SAB)について、診断から治療まで最新のエビデンスをまとめています。
◯ 世界的に重要な感染症です
S. aureus 菌血症は世界で年間30万人の死亡を引き起こし、致死率は15〜30%とされています。特に心臓弁や人工関節、透析カテーテルなどに関連した感染が増えています。
◯ 症状と診断の流れ
患者の多くは発熱で発症し、関節痛や背部痛など転移性感染による症状を伴うこともあります。診断は血液培養で行い、持続する菌血症は死亡リスクを大きく高めます。全例で心エコー検査を行い、心内膜炎や転移性病巣を探すことが推奨されています。
◯ 治療の基本
・経験的治療はMRSAに効く薬(バンコマイシンまたはダプトマイシン)を開始し、感受性結果が出たらMSSAにはセファゾリンや抗ブドウ球菌ペニシリンに切り替えます。
・感染源コントロール(カテーテル除去、膿瘍ドレナージ、デブリードマン)が極めて重要です。
・単剤治療が基本で、併用療法は大規模試験で有効性が示されていません。
◯ 治療期間と経口移行
リスクが低い単純な例では2週間、高リスクや合併症例では4〜6週間以上の点滴治療が必要です。最近の臨床試験では、条件を満たせば一部の患者で点滴から内服への早期切り替えも安全である可能性が示されています。
◯ 予後と今後の課題
90日死亡率は約27%、5年で61%に達します。感染症専門医の関与は死亡率低下に関連しており、特に直接診察が重要です。今後は経口治療の適応拡大や新規抗菌薬(セフトビプロールなど)の評価が進むと期待されています。
#黄色ブドウ球菌 #菌血症 #抗菌薬治療 #感染源コントロール #感染症専門医
元の論文:The challenge of de-labeling penicillin allergy
Citation:Allergy. 2020;75(2):273–288. doi:10.1111/all.13848
論文の要約
このレビューは、「ペニシリンアレルギー」と診断された人が多いものの、実際には誤ったラベルであることが多く、それが医療にもたらす悪影響とその解消(de-labeling)の必要性について、わかりやすく整理しています。
◯「ペニシリンアレルギー」と記されている人は思ったより多いです
世界中で調べると、患者の8%〜25%がアレルギーのラベルを持っていますが、ほとんどは子ども時代の誤診や一過性の症状で、実際にはアレルギーではないケースがほとんどです。
◯誤ったアレルギーラベルは医療の質を下げます
ラベルがあることで、本来使えるペニシリン系薬が使えず、代わりに効きにくい・副作用の多い広域抗菌薬が使用されやすくなり、その結果、耐性菌の増加や治療の遅れなどが生じます。
◯ラベルを外す(de-labeling)が重要な対策になります
適切な診断と経口挑戦テスト(oral challenge)や場合によっては皮膚テストを用いることで、安全にラベルを削除し、より適切な抗菌薬使用が可能になります。
◯抗菌薬適正使用プログラム(ASP)に組み込むべきです
de-labelingは、医療現場での抗菌薬の適正使用促進に貢献し、耐性菌抑制や医療コストの低減にもつながる有効な戦略です。
このレビューは、「誤ってついたアレルギー表示」が医療の質に悪影響を及ぼす実情と、その解消のための方法をまとめた、診療現場に役立つ貴重な指針となっています。
#ペニシリンアレルギー誤表示 #de-labeling #抗菌薬適正使用 #耐性菌予防 #医療の質改善
元の論文:Retrospective study on penicillin allergy delabeling and evaluation of an antibiotic allergy assessment tool
Citation:J Infect Chemother. 2025;31:102526. doi:10.1016/j.jiac.2024.09.015
論文の要約
この研究は、聖路加国際病院で「ペニシリンアレルギー」と記録されていた患者について、実際にどのくらいの人が誤ってラベル付けされていたか、また「Antibiotic Allergy Assessment Tool(AAAT)」という評価ツールを使えば、専門医を介さずにどのくらいラベル解除(delabeling)が可能かを調べたものです。
◯対象と方法
2017年から2021年にかけて入院した530人の「ペニシリンアレルギー」ラベル患者を後方視的に解析しました。
◯結果
62人(11.7%)は実際にはアレルギーがなく、そのままラベル解除可能でした。さらにAAATで評価すると、残りの患者のうち137人(25.8%)も専門医なしでラベル解除できる可能性が示されました 。
◯影響する要因
アレルギー発症から10年以上経過している場合、解除の可能性が高い(OR=8.52)
アレルギーを登録したのが医師ではなく看護師である場合も、解除につながりやすい(OR=1.83)。
◯意義
AAATを使えば、専門医不足という現状でも安全にラベル解除を広げられる可能性があることが示されました。今後は前向き研究で安全性を確認し、標準化された登録方法や教育体制の整備が必要です。
#ペニシリンアレルギー #誤診ラベル #AAATツール #抗菌薬適正使用 #耐性菌対策
元の論文:The Penicillin Allergy Delabeling Program: A Multicenter Whole-of-Hospital Health Services Intervention and Comparative Effectiveness Study
Citation:Clin Infect Dis. 2021 Aug 2;73(3):487–496. doi:10.1093/cid/ciaa653 PubMed
論文の要約
この研究では、入院患者において「ペニシリンアレルギー」と記録されているものの、実際にはその可能性が低い方々を対象に、全病院規模でラベル解除(delabeling)プログラムを導入した事例を取り上げています。
◯ どのような試みかというと、全病院で対象となる患者さんに対し、問診のみで安全と判断されればラベルを外す「直接解除」、または実際に少量のペニシリンを飲んでもらう「経口チャレンジ」を行いました。
◯ 対象は1,225例のペニシリンアレルギーとされた方で、そのうち355名がラベル解除されました(直接解除161名、経口チャレンジ194名)。
◯ 経口チャレンジでは97%の方が問題なく耐えられました。
◯ 結果として、ラベル解除された患者さんでは、
・効き目の少ない広域抗菌薬ではなく、「狭域のペニシリン」が使われる頻度が約10倍に増加
・適切な抗菌薬の処方が2倍以上に改善
・制限付き抗菌薬の使用は約3分の1に減少しました。
このように、医師だけでなく、病院全体で取り組むことで、多くの患者さんに適切な抗菌薬が届きやすくなるという非常に有用な取り組みです。
#ペニシリンアレルギー #de-labeling #抗菌薬適正使用 #経口チャレンジ #院内改善
Zika virus: advancing a priority research agenda for preparedness and response
Citation
Lancet Infect Dis. 2025 Jul;25(7):e390–e401. doi:10.1016/S1473-3099(24)00794-1
概要
2015–16年の流行を踏まえ、Zikaウイルスに対する診断、病態解明、サーベイランス、研究基盤、ベクター対策の優先研究課題を提示。流行後に監視体制が弱体化している点、妊婦と胎児影響に関する知見不足、検体・データ不足が大きな課題。診断技術開発、妊娠コホート維持、革新的ベクター対策(Wolbachiaや遺伝子改変蚊)などへの投資継続を強調。
Zika virus vaccines and monoclonal antibodies: scientific advances and next steps
Citation
Lancet Reg Health Am. 2025 Jul;31:100678. doi:10.1016/S2666-5247(24)00298-2
概要
Zikaワクチン・治療用モノクローナル抗体(mAb)の研究開発状況を総括。DNAワクチン、mRNAワクチン、ベクターワクチンなど複数候補が初期臨床試験で安全性と免疫原性を示したが、流行収束により有効性試験が進まず停滞。mAbは胎児保護や妊婦治療で有望視されるが臨床データは限られる。次の流行に備え、プラットフォームワクチンやmAbの開発継続と臨床評価体制整備が必要とされる。
Zika virus infection in nonhuman primates: insights for pathogenesis, immunity, and interventions
Citation
Lancet Infect Dis. 2025 Jul;25(7):e402–e414. doi:10.1016/S1473-3099(24)00750-3
概要
サルモデルでのZika研究の成果を総括。感染後のウイルス血症、免疫応答、胎児感染機序などを解析し、ヒト病態の再現性が高いことを示した。母子感染や神経合併症の解明に有用であり、ワクチンや治療薬の前臨床評価に不可欠。今後は、長期免疫、交差免疫(デングなど)、免疫病態メカニズムの解明に焦点を当てるべきと提言。
Zika virus specimens and data sharing for research and public health preparedness
Citation
Lancet Infect Dis. 2025 Jul;25(7):e415–e426. doi:10.1016/S1473-3099(24)00741-2
概要
Zika研究における検体・データ共有の現状と課題を分析。妊婦・胎児検体はきわめて貴重だが、倫理的・法的障壁、バイオバンク整備不足により利用が制限されている。標準化プロトコル、国際的バイオバンク、ゲノム配列や疫学データの迅速共有が今後の流行対応に不可欠。研究資源の公平なアクセスとグローバル連携強化を強調。
元の論文:Invasive Group A Streptococcal Infections in 10 US States
Citation:JAMA. 2025;333(17):1498–1507
論文の要約
この研究は、米国10州における侵襲性A群レンサ球菌(GAS)感染症の発生動向を2013〜2022年の10年間にわたり解析したものです。
◯ 発生状況
21,312例が確認され、1,981人が死亡。致死率は約9%。
発生率は2013年の人口10万人あたり3.6件から2022年には8.2件に増加。
最も高い発生率は65歳以上であったが、18〜64歳成人の増加幅が最大。
アメリカ先住民やアラスカ先住民、ホームレス、注射薬使用者、長期ケア施設入所者で発生率が著しく高かった。
◯ 小児例
年間発生率は0.6〜2.1/10万人で安定。
コロナ禍(2019〜2021年)には73%減少。
2歳未満で最も高率(3.7/10万人)、死亡率は全体で2.7%。
◯ 成人例
65歳以上では9.1→15.2/10万人、18〜64歳では3.2→8.7/10万人へ増加。
高齢になるほど死亡率は上昇し、85歳以上では21.9%。
アメリカ先住民成人の発生率は39.0/10万人と白人(10.9/10万人)より著しく高かった。
◯ 臨床像
成人では蜂窩織炎に菌血症を伴う症例が最多(44.6%)。
敗血症性ショック(19.2%)、菌血症のみ(18.0%)、肺炎(13.4%)なども多い。
最も致死率が高いのは菌血症や中毒性ショック症候群(19.5%)、壊死性筋膜炎(17.8%)、肺炎(15.7%)。
◯ リスク因子と基礎疾患
成人の93%が1つ以上の基礎疾患を有していた。肥満(36.2%)、喫煙(33.4%)、糖尿病(29.9%)、皮膚損傷(28.7%)が主要因。
ホームレスでは喫煙(66.8%)、皮膚損傷(46%)が多く、注射薬使用者では皮膚損傷(59.6%)、C型肝炎(37%)が多かった。
◯ 菌株と耐性
18,358株でemm型解析を実施。従来少なかった型(43, 49, 60, 81, 83など)が増加し、2022年には26.9%を占めた。
マクロライドおよびクリンダマイシンに対する非感受性は2013年の12.7%から2022年には33.1%に増加。
β-ラクタム系およびバンコマイシンには全株が感受性を保持。
◯ 意義
侵襲性GAS感染は10年間で2倍以上に増加し、特に社会的弱者や基礎疾患を持つ人々で著しい。耐性菌の増加や新しいemm型の拡大も確認され、ワクチン未開発の現状では、監視強化とリスク群への予防策が急務である。
侵襲性A群レンサ球菌, 発生動向, リスク因子, 耐性菌, 公衆衛生,
Immune checkpoint blockade in infectious diseases
Citation
Nat Rev Immunol. 2018 Feb;18(2):91–104. doi:10.1038/nri.2017.112
概要
本総説は、免疫チェックポイント分子(PD-1, CTLA-4, TIM-3, LAG-3 など)が感染症病態に果たす役割と、それらを標的とした治療戦略の可能性を解説している。
1. 概要
免疫チェックポイントは自己免疫を防ぎ組織損傷を最小化する一方で、感染やがんでは免疫応答を抑制し病原体や腫瘍の持続を助長する。がん領域では抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体が臨床応用され大きな成功を収めており、感染症治療への応用が期待されている 。
2. マラリア
マラリア患者ではPD-1やCTLA-4、TIM-3の発現が増加し、T細胞疲弊を引き起こす。
マウスモデルでは、PD-1欠損により寄生虫が速やかに排除され、PD-L2の存在が強い免疫誘導に重要であることが示された(図2, p.97)。
抗PD-L1+抗LAG-3併用やTIM-3阻害により、寄生虫排除が加速し免疫応答が改善した。
3. HIV感染症
未治療HIV感染ではPD-1, CTLA-4, TIM-3, LAG-3の発現が上昇し、T細胞疲弊を促す。ART後も発現は基準値より高い。
PD-1高発現CD4+T細胞にHIVが濃縮し、潜伏感染維持に寄与する。
サル免疫不全ウイルス(SIV)モデルでは抗PD-1抗体投与でウイルス特異的CD8+T細胞が拡大し生存期間が延長した。
抗PD-1や抗CTLA-4抗体が潜伏解除を促し、HIV RNA発現増加が観察され、治療介入の可能性が示された(図4, p.100)。
4. B型肝炎(HBV)
慢性HBV感染ではCD8+T細胞にPD-1, CTLA-4, TIM-3が強く発現し、T細胞機能不全を引き起こす。
抗PD-1/PD-L1抗体は動物モデルでT細胞機能を部分的に回復させ、治療ワクチンと併用するとウイルス排除が強化された。
初期臨床研究では抗PD-1抗体(ニボルマブ)が安全性を示し、HBs抗体獲得(seroconversion)を達成した例も報告された。
5. 結核(TB)
活動性TB患者のCD4+T細胞はPD-1を発現し、HIV合併でさらに減弱する。
PD-1欠損マウスでは炎症暴走と早期死亡が観察され、抑制経路の二面性が示唆された。
TIM-3阻害では慢性TBモデルでT細胞機能が改善し菌量が減少した。
6. 結論と課題
免疫チェックポイント阻害は慢性感染症の治療戦略として有望であるが、自己免疫的副作用(皮膚炎、腸炎、肺炎、心筋炎など)が高頻度に発生する可能性がある(Box 4, p.101)。また、T細胞機能回復の持続性や有効性には個体差が大きく、ワクチンや抗菌薬との併用が重要と考えられる。
元の論文:Continuous or extended vs intermittent infusions of beta-lactam antibiotics in ICU patients with pneumonia: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
Citation:Antimicrob Agents Chemother. 2025
論文の要約
このシステマティックレビューとメタ解析は、ICUに入院した肺炎患者におけるβ-ラクタム系抗菌薬の投与方法(持続点滴や延長点滴 vs 標準的な間欠投与)を比較したものです。対象は12件のRCT、計1,049人でした。
◯ 主要アウトカム
死亡率:延長/持続投与群で低い傾向はあるが有意差なし(RR 0.79, 95%CI 0.59–1.07)。
臨床的治癒率:延長/持続投与群でやや高いが有意差なし(RR 1.09, 95%CI 0.99–1.21)。
微生物学的治癒率:延長/持続投与群でやや高いが有意差なし(RR 1.09, 95%CI 0.85–1.41)。
有害事象:両群で差なし(RR 1.07, 95%CI 0.81–1.42)。
◯ ICU滞在日数
5件のRCTを統合した解析では、延長/持続投与群でICU滞在日数が有意に短縮(平均−2.18日、95%CI −3.09〜−1.27)。特に延長投与サブグループで有意差あり。
◯ サブグループ解析
持続投与:死亡率・臨床治癒率で数値上の改善はあるが有意差なし。ICU滞在日数も差なし。
延長投与:死亡率・治癒率は有意差なしだが、ICU滞在日数短縮が認められた。
◯ 考察
持続または延長投与によって薬剤曝露(%fT>MIC)は改善し、理論的には有効性が高まるとされるが、今回のRCT統合解析では臨床アウトカム(死亡率や治癒率)に統計的有意差は確認されなかった。ただしICU滞在日数の短縮という実臨床に意味のある改善が見られた。
◯ 限界
研究数とサンプルサイズが比較的小規模。
収録されたRCTの一部は2000年代初期のもので、抗菌薬使用パターンや耐性菌疫学が現在と異なる。
死亡率や治癒率に関しては、より大規模なRCTが必要とされる。
◯ 結論
ICU肺炎患者におけるβ-ラクタム抗菌薬の延長または持続投与は、死亡率や治癒率には有意な差を示さなかったが、ICU滞在期間を短縮する効果があった。今後は大規模多施設RCTによる検証が必要である。
βラクタム抗菌薬, ICU, 肺炎, 延長投与, 持続投与,
Algal blooms in the ocean: hot spots for chemically mediated microbial interactions
Citation
Nature Reviews Microbiology, vol. 22, pp. 138–154 (2024)
論文の要約
本レビューは、海洋における藻類ブルームが、微生物間の化学的コミュニケーションが活発に行われる「相互作用のホットスポット」であることに注目し、その分子メカニズムと生態学的意義を整理している。
藻類ブルームでは、藻類、細菌、ウイルスなどが高密度に共存し、さまざまな低分子化合物(infochemicals)を介して相互に影響を与え合っている。これらの化学物質は、共生・競合・捕食・防御といった関係性を調節し、ブルームの発生・維持・崩壊に直接関与する。
特に、分泌される代謝産物や信号分子が、相手の行動(例えば代謝活性や細胞死)を引き起こす「化学的対話」の例が紹介されており、これらがブルームの時間的推移や物質循環への影響を与えていることが示唆されている。
また、単一細胞解析技術や環境メタボロミクスの進展により、これまで難しかったin situでの化学相互作用の可視化・定量が可能になりつつあり、微視的プロセスと地球規模の炭素循環・気候調整機構とを結びつける研究が加速している。
本レビューは、海洋微生物生態系の理解を化学的相互作用の視点から再構築し、地球環境変動との関連性を考えるうえで重要な枠組みを提供している。
元の論文:Azelastine Nasal Spray for Prevention of SARS-CoV-2 Infections: A Phase 2 Randomized Clinical Trial
Citation:JAMA Intern Med. 2025; published online Sep 2, 2025. doi:10.1001/jamainternmed.2025.4283
論文の要約
この第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験は、アレルギー性鼻炎治療薬として長年使われてきた抗ヒスタミン薬アゼラスチン点鼻薬が、COVID-19の予防に有効かどうかを検証しました。
◯ 試験デザイン
ドイツのザールラント大学病院で、健康な成人450人を対象に、アゼラスチン点鼻薬(0.1%)またはプラセボを1日3回、56日間使用してもらいました。参加者の平均年齢は33歳で、約67%が女性、ほぼ全員がCOVID-19ワクチンを1回以上接種していました。
◯ 主な結果
PCRで確認されたCOVID-19発症率は、アゼラスチン群2.2%(5/227人)、プラセボ群6.7%(15/223人)で、有意に低下(オッズ比0.31)。
感染までの平均日数は、アゼラスチン群31.2日、プラセボ群19.5日。
症状を伴う感染は、アゼラスチン群1.8%、プラセボ群6.3%。
鼻風邪の原因となるライノウイルス感染率もアゼラスチン群で低下(1.8% vs 6.3%)。
◯ 安全性
副作用は両群で同程度でしたが、アゼラスチン群では苦味(9.3%)、鼻出血(6.6%)、疲労感(3.1%)などがやや多くみられました。重篤な副作用はなく、死亡例もありませんでした。
◯ 意義
アゼラスチン点鼻薬は安全性が高く、SARS-CoV-2感染を減らす可能性が示されました。大規模・多施設試験での検証が必要ですが、旅行やイベントなど高リスク環境での予防策として有望視されています。
COVID19, アゼラスチン, 点鼻薬, 感染予防, ランダム化試験,
Case 24-2025: A 32-Year-Old Woman with Fatigue and Myalgias
Citation
N Engl J Med. 2025 Aug 21/28;393(8):799–807. doi:10.1056/NEJMcpc2312739
概要
本報告は、マサチューセッツ総合病院(MGH)のCase Recordsとして提示された症例である。患者は32歳女性、既往にSARS-CoV-2感染後の長期的倦怠感・筋肉痛・頭痛などを経験し、2年にわたり鍼治療やサプリメントを使用していた。再感染後は急性症状は速やかに軽快したが、その後頸部痛、右腕への放散痛、強い疲労感が出現した。
救急受診時には徐脈と房室ブロックが認められ、胸痛や動悸、労作時呼吸困難も伴っていた。血液検査では炎症反応は陰性であったが、NT-proBNPが軽度上昇していた。心電図では一過性のMobitz I型房室ブロックから完全房室ブロックまで進展し、その後自然に回復する経過を示した(図2, p.802)。
鑑別としてCOVID-19関連心筋炎や心外膜炎、肺塞栓、急性冠症候群、心筋症、感染性心内膜炎、ブルセラ症やツラレミアなどの人獣共通感染症が検討されたが、最終的に考慮されたのはライム病であった。患者はニューイングランド地方在住で屋外活動歴があり、数週間前に環状紅斑(写真, p.804)が出現していた。
血清学的検査ではBorrelia burgdorferi 特異抗体(IgM, IgG)が陽性であり、ライム心炎(Lyme carditis)と診断された。治療は静注セフトリアキソン開始後、症状改善に伴いドキシサイクリン経口投与へ移行し、計3週間の抗菌薬投与が行われた。心電図上の房室伝導遅延は2週間で消失し、その後活動レベルも回復した。
結論
本症例は、米国北東部でみられる典型的なライム病の心臓合併症(Lyme carditis)の症例であり、発熱や炎症所見に乏しい急性房室ブロックの鑑別として、野外曝露歴や紅斑の存在を重視する必要性を示した。早期の血清学的診断と抗菌薬治療により、恒久的ペースメーカーを回避しつつ良好な予後を得た。
Co‐evolution of early Earth environments and microbial life
Citation
Nature Reviews Microbiology volume 22, pages572–586 (2024)
論文の要約
本レビューは、地球誕生から初期の数十億年にかけての地球環境の変遷と、それに伴う微生物の進化・適応の共進化的関係を総合的に概説している。
レビューでは、次のような主要テーマが扱われている:
初期地球の環境:火山活動や海洋の化学的特性、大気中の酸素濃度の変化(特に大酸化イベント)など、微生物進化に重大な影響を与えた環境要因が整理されている。
微生物の適応と進化:メタン生成菌、光合成細菌、硫黄酸化細菌など、代謝的に多様な微生物がいかにして極限環境に適応し、地球の酸化還元状態や栄養循環に影響を与えてきたかが詳述されている。
岩石・堆積物記録との統合:同位体分析や鉱物学的証拠を通じて、古代微生物の存在と代謝活動の痕跡をどのように読み取るかについても紹介されており、地球化学と微生物学の融合が強調されている。
現代への示唆:地球初期における微生物の環境適応は、極限環境微生物や生命の起源、さらには地球外生命探査(例:火星、氷衛星)へのヒントともなり得るとされている。
本論文は、地球科学と微生物進化学を架橋する内容であり、生命の起源や初期地球の理解を深める上で、地球微生物学・地球化学・進化生物学に関心を持つ読者にとって非常に価値あるレビューである。
元の論文:Herpes zoster incidence in adults aged ≥20 years in Finland, 2015 to 2023: a population-based register study
Citation:Euro Surveill. 2025;30(35):2500077. doi:10.2807/1560-7917.ES.2025.30.35.2500077
論文の要約
この研究は、フィンランドにおける成人の帯状疱疹(herpes zoster, HZ)の発生率を、全国規模のレジスターデータを用いて9年間にわたり調べたものです。
◯ 規模と方法
2015〜2023年に20歳以上の全住民を対象に、医療記録や処方データを統合して解析しました。合計22万例を超えるHZ症例が確認されました。
◯ 年齢と性別の違い
発症率は加齢とともに上昇し、特に60歳以降に急増しました。女性の発症率は男性よりも一貫して高く、2023年の85歳以上では1,000人あたり13件を超えました。
◯ 生涯リスク
85歳までに帯状疱疹を経験する確率は42%に達し、在宅高齢者を基に推計すると最大46%でした(図3, p.6)。
◯ 入院例
65歳未満では1%未満が入院を要しましたが、85歳以上では7%以上が入院しており、加齢とともに重症化リスクが高まっていました(表2, p.7)。
◯ 介護環境による差
在宅で生活している高齢者では発症率が高く、施設入所者では逆に報告が過少になる傾向が見られました。これは施設内の診断や報告が十分反映されていない可能性を示しています。
◯ 公衆衛生への示唆
フィンランドではまだ帯状疱疹ワクチンが定期接種に導入されていません。本研究はワクチン導入の費用対効果を評価するうえで基盤となる重要な疫学データを提供しています。
#帯状疱疹 #フィンランド疫学 #高齢者医療 #生涯リスク #ワクチン政策
元の論文:Qdenga-induced dengue caused by minor DENV-2 subvariant(s) in the vaccine, with two amino acid substitutions in the E protein
Citation:J Travel Med. 2025; advance online publication. doi:10.1093/jtm/taaf091
論文の要約
この症例報告は、デングワクチンQdenga(TAK-003)接種後に発生した「ワクチン由来のデング感染」を記録したものです。
◯ 症例の概要
48歳男性、海外渡航前にQdengaを1回接種。帰国後3日で発熱し、RT-PCRでデング感染が確認されました。重症化せず2日で回復しました。
◯ 遺伝子解析の結果
採取した血液検体を解析すると、DENV-2由来の感染であり、QdengaワクチンのDENV-2成分と一致しました。さらにEタンパクに2つのアミノ酸置換(R120IとN203D)、NS5タンパクに1つ(I412V)が検出されました(表1, p.7参照)。
◯ ワクチン内にも同じ変異が存在
ワクチンロットを解析したところ、患者と同じ変異を持つDENV-2株が0.8〜46%含まれており、接種時から存在する「マイナーなサブバリアント」が増殖して感染を引き起こしたと考えられました。
◯ 公衆衛生上の意味
ワクチン由来デングは自然感染と見分けがつきにくいため、RT-PCR陽性例ではシークエンス解析が重要です。ワクチン安全性を理解するうえで、サブバリアントの選択やADE(抗体依存性感染増強)の可能性を含め、さらなる研究が必要とされています。
#デングワクチン #Qdenga #ワクチン由来感染 #遺伝子解析 #ADEリスク
Microbiota‑mediated colonization resistance: mechanisms and regulation
Citation
Nature Reviews Microbiology, vol. 21, pp. 347–360 (2023)
論文の要約
本レビューでは、ヒトや動物の腸管に存在する常在微生物叢が、病原体の侵入・定着を阻止する「定着抵抗性(colonization resistance)」のメカニズムとその調整方法を分子・生理学レベルで整理している。
定着抵抗性の機構解析
微生物間の競合や抗菌物質生産、栄養競合、宿主の免疫応答誘導などを通じて、病原体の生着および増殖を抑制する多層的な防御システムが解説されている。
病原体側の回避戦略
病原体はバイオフィルム形成、抗菌化合物分解、免疫抑制作用を持つエフェクターや型切り替え(phase variation)を利用することでこの抵抗を突破しうることが示されている。
ホスト・シグナルとの相互作用
宿主由来の免疫因子(IgA、ケラチンなど)と常在菌の相互作用が、定着抵抗性の維持・強化に寄与していることが明らかになってきた。
環境・薬剤の影響
抗菌薬や非抗菌性薬剤、食事変化、ストレスなどの外的要因が微生物叢の均衡を崩し、定着抵抗性の低下を通じて感染リスクを高める可能性がある。
治療・予防への応用構想
病原体侵入の防御として、プロバイオティクス、バクテリオシン製剤、微生物群移植などの応用が期待されており、個別化医療にも対応可能な戦略が検討されている。
本レビューは、腸内常在菌が担う病原体防御機能を分子レベルから全体相へとつなぐ視座を提供しており、感染症予防、抗菌薬合理化、微生物介入治療の設計に資する内容となっている。
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