
元の論文:The Penicillin Allergy Delabeling Program: A Multicenter Whole-of-Hospital Health Services Intervention and Comparative Effectiveness Study
Citation:Clin Infect Dis. 2021 Aug 2;73(3):487–496. doi:10.1093/cid/ciaa653 PubMed
論文の要約
この研究では、入院患者において「ペニシリンアレルギー」と記録されているものの、実際にはその可能性が低い方々を対象に、全病院規模でラベル解除(delabeling)プログラムを導入した事例を取り上げています。
◯ どのような試みかというと、全病院で対象となる患者さんに対し、問診のみで安全と判断されればラベルを外す「直接解除」、または実際に少量のペニシリンを飲んでもらう「経口チャレンジ」を行いました。
◯ 対象は1,225例のペニシリンアレルギーとされた方で、そのうち355名がラベル解除されました(直接解除161名、経口チャレンジ194名)。
◯ 経口チャレンジでは97%の方が問題なく耐えられました。
◯ 結果として、ラベル解除された患者さんでは、
・効き目の少ない広域抗菌薬ではなく、「狭域のペニシリン」が使われる頻度が約10倍に増加
・適切な抗菌薬の処方が2倍以上に改善
・制限付き抗菌薬の使用は約3分の1に減少しました。
このように、医師だけでなく、病院全体で取り組むことで、多くの患者さんに適切な抗菌薬が届きやすくなるという非常に有用な取り組みです。
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