
元の論文:Qdenga-induced dengue caused by minor DENV-2 subvariant(s) in the vaccine, with two amino acid substitutions in the E protein
Citation:J Travel Med. 2025; advance online publication. doi:10.1093/jtm/taaf091
論文の要約
この症例報告は、デングワクチンQdenga(TAK-003)接種後に発生した「ワクチン由来のデング感染」を記録したものです。
◯ 症例の概要
48歳男性、海外渡航前にQdengaを1回接種。帰国後3日で発熱し、RT-PCRでデング感染が確認されました。重症化せず2日で回復しました。
◯ 遺伝子解析の結果
採取した血液検体を解析すると、DENV-2由来の感染であり、QdengaワクチンのDENV-2成分と一致しました。さらにEタンパクに2つのアミノ酸置換(R120IとN203D)、NS5タンパクに1つ(I412V)が検出されました(表1, p.7参照)。
◯ ワクチン内にも同じ変異が存在
ワクチンロットを解析したところ、患者と同じ変異を持つDENV-2株が0.8〜46%含まれており、接種時から存在する「マイナーなサブバリアント」が増殖して感染を引き起こしたと考えられました。
◯ 公衆衛生上の意味
ワクチン由来デングは自然感染と見分けがつきにくいため、RT-PCR陽性例ではシークエンス解析が重要です。ワクチン安全性を理解するうえで、サブバリアントの選択やADE(抗体依存性感染増強)の可能性を含め、さらなる研究が必要とされています。
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