
元の論文:Azelastine Nasal Spray for Prevention of SARS-CoV-2 Infections: A Phase 2 Randomized Clinical Trial
Citation:JAMA Intern Med. 2025; published online Sep 2, 2025. doi:10.1001/jamainternmed.2025.4283
論文の要約
この第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験は、アレルギー性鼻炎治療薬として長年使われてきた抗ヒスタミン薬アゼラスチン点鼻薬が、COVID-19の予防に有効かどうかを検証しました。
◯ 試験デザイン
ドイツのザールラント大学病院で、健康な成人450人を対象に、アゼラスチン点鼻薬(0.1%)またはプラセボを1日3回、56日間使用してもらいました。参加者の平均年齢は33歳で、約67%が女性、ほぼ全員がCOVID-19ワクチンを1回以上接種していました。
◯ 主な結果
PCRで確認されたCOVID-19発症率は、アゼラスチン群2.2%(5/227人)、プラセボ群6.7%(15/223人)で、有意に低下(オッズ比0.31)。
感染までの平均日数は、アゼラスチン群31.2日、プラセボ群19.5日。
症状を伴う感染は、アゼラスチン群1.8%、プラセボ群6.3%。
鼻風邪の原因となるライノウイルス感染率もアゼラスチン群で低下(1.8% vs 6.3%)。
◯ 安全性
副作用は両群で同程度でしたが、アゼラスチン群では苦味(9.3%)、鼻出血(6.6%)、疲労感(3.1%)などがやや多くみられました。重篤な副作用はなく、死亡例もありませんでした。
◯ 意義
アゼラスチン点鼻薬は安全性が高く、SARS-CoV-2感染を減らす可能性が示されました。大規模・多施設試験での検証が必要ですが、旅行やイベントなど高リスク環境での予防策として有望視されています。
COVID19, アゼラスチン, 点鼻薬, 感染予防, ランダム化試験,