この文書は、1990年代前半頃に広告業界を中心に出回った「怪しい業界用語」の抜粋です。制作者は不明とされていますが、大手広告会社関係者によるものではないかという噂がありました。今回は、研究・記録・参考目的での限定的な利用のため「歴史的な価値がある書物」として当時のコピーをデジタル化されたものを題材にしています。主な内容は、「本来の意味」とはかけ離れた、広告業界内でのみ通用する特殊な言い回しとその使用事例を解説しており、終盤には、これらの業界用語が飛び交う広告代理店内の生々しい実態を描いたショートストーリーが収録されています。全体を通じて、業界特有の皮肉や裏の意味を伝えることに重点が置かれています。
本回は、2025年7月に米国のThe U.S. Joint Industry Committee(JIC)が公開した「Guidelines forTransactability for the 2025–2026 Broadcast Season -Currency Certication Mid-Term Audit Results-」(2025-2026年放送シーズンにおけるテレビ広告取引の通貨監査ガイドライン)に焦点をあてます。
特に、JIC(米業界合同委員会)とMRC(米メディア測定評議会)の役割の違い、複数通貨市場における測定基準の推進について説明しています。
またレポートには中間監査の結果も含まれており、認定された測定プロバイダーの継続的な準拠が確認されています。
さらに、多プラットフォームの世界における通貨移行を乗り越えるための課題と、測定方法の透明性の重要性についても言及されています。このガイドラインは、データ共有と通貨認定のロードマップを作成するための協力的な枠組みを提供することを目的としています。
原文にご興味ある方は以下からご参照ください。
出典:Guidelines for Transactability for the 2025–2026 Broadcast Season(JIC、2025年7月10日)
https://www.usjointindustrycommittee.com/news/guidelines-for-transactability-broadcast-2025-2026
プログラRADIO "特別編" として、現在、総務省が行っている「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」から、第36回(2025年8月25日開催)の2つ資料を参照しています。
これらの資料は、日本の放送業界が直面している多様な課題と、それに対する将来的な方向性について概説しています。具体的には、広告収入の減少、特に地方局における人口減少や人材流出、そしてキー局への収益依存構造といった問題が挙げられています。これらの課題に対応するため、収益源の多角化、コンテンツIPの確保、伝送インフラの共通化、そして地域情報の確保が検討されています。また、インターネット同時配信の普及を見据えた放送制度のアップデートや、デジタル空間における放送コンテンツの信頼性確保と接触機会の増加についても議論されています。全体として、持続可能な放送事業とデジタル空間における放送の役割を再定義しようとする試みです。
検討会の概要、原本資料などをご覧になりたい場合は総務省の以下のページをご参照ください。
デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(第36回)配付資料
今回だけでなく、この検討会は大変難しいテーマですし、資料もなかなか難解なので、生成AIも苦労している感じです。
(発音などはご愛嬌、まだまだ多めに見てください)
2025年7月22日に翔泳社から刊行された「新トリプルメディアマーケティング」。プログラマティカ代表取締役の楳田良輝が第3章と第4章の「コンバージドTV」を執筆しています。
本書は、現代の広告マーケティングにおける課題と解決策に焦点を当てています。具体的には、SNS、コンバージドTV(従来のテレビCMとコネクテッドTV広告の融合)、そしてリテールメディアという「新トリプルメディア」の連携が提案されており、視聴率やGRPといった従来の指標に限界が見られる中で、インプレッションベースの広告取引への移行とファーストパーティーデータの活用が強調されています。これにより、消費者インサイトに基づいたパーソナライズされた広告配信と効果測定を可能にし、ROIの最大化を目指す新しいマーケティング戦略が提示されています。特に、クッキー規制時代における購買データ活用の重要性と、AIを活用したクリエイティブ開発の進化についても詳述されています。
<プログラBLOG|2025年6月4日から>
コンバージドTV戦略の「壁打ち」、AIにお任せ。
これまで数時間を要したメディア戦略の初期設計を、生成AIとの「壁打ち」により数分で実現する──そんな新しいマーケティングの形を、プログラマティカが実験的に提案している。本稿では、複雑なコンバージドTV戦略を支援するAIプランニングアプリの活用例を紹介しながら、構造的な思考支援の可能性を探る。
本アプリの中核には、「SENSE CODE 7」という7つの視点(ACCESS・VALUE・TRUST・NORM・BENEFIT・BARRIER・STATUS)で消費者意識を分類し、理想の状態へと導くマーケティングトリガーをAIが提示する仕組みがある。具体的には、輸入自動車(シトロエン)、ヘアケア商品(花王エッセンシャル)、シニア向け宅配弁当(ベネッセ)の3商品を題材に、各視点ごとに理想の意識と現状のギャップを提示し、それに対するクリエイティブ施策を生成AIが提案する。
たとえば、輸入車では「シトロエンは信頼性に欠ける」という現状認識に対し、ロングユーザーの実体験動画や車中泊体験のインフルエンサー施策を提案。ヘアケア商品では「価格への不安」や「効果への疑念」に対し、SNSでのビフォーアフター投稿や専門家評価の活用で納得感を高める。高齢者向け商品では、「買い方が難しい」「美味しくなさそう」といった先入観に対し、試食会や認知症予防効果の専門家コメントなどで信頼を醸成していく。
こうしたAIの活用は、「AIに代わって考えてもらう」のではなく、「AIと一緒に考える」設計を志向している。SENSE CODE 7のような構造化フレームを用いることで、AIの出力精度と文脈一貫性が向上し、マーケターの意思決定も補助される。生成AIの苦手な文脈維持や前提設計も、こうしたテンプレートで補完されることで、人間の直感とAIの網羅性が共存する“共創型UX”が可能になる。
今後、AIの自動生成は「誰でも使えるツール」か「戦略的差別化ツール」かの二極化が進むとされ、プロンプト設計の重要性も高まる。プログラマティカは、広告主やパートナー企業と共に、この「考えるAI」の実装と運用に挑戦していくと結んでいる。
<プログラBLOG|2023年11月11日から>
テレビCMの「インプレッション取引」を考察する
現在のテレビCMは、番組平均視聴率をもとにした「GRP取引」が主流だが、米国では個別CM視聴数に基づく「インプレッション取引」へと移行しつつある。Nielsenの視聴率指標の廃止延期により、今後は複数の測定手法が並存する「多通貨時代」に突入し、日本でも視聴率に代わる「代替通貨」の導入が急務だと考えられている。
視聴率には「実数」がなく、セグメントやエリア間での合算・除外ができないという構造的な課題がある。これに対して、インプレッション取引では、表示回数(=実数)でターゲット別の広告効果を定量化できる。例えば、自動車広告のように特定の条件をすべて満たすターゲットはわずか約70万人しかおらず、視聴率で評価すると効率が正しく測れない。一方、インプレッション数であれば、セグメントごとの価値をCPM(広告表示1,000回あたりの単価)で定義し、総量評価が可能となる。
プログラマティカでは、ターゲットに応じた「仮説CPM」を設定し、メインターゲットと周辺ターゲットを含めた「トータルTCPM」で評価する方法を提案。F20+女性へのみ課金する試算では3割の収入増、MF1・MF2層に絞った場合でも4割増が期待される。こうした分析により、既存のGRPベースのCM取引に比べ、テレビCMの価値をより的確に可視化できるとする。
また、インプレッションを実数化することで、テレビとストリーミングを統合した「GRPs(s付き)」という新たな指標による横断的な評価も可能に。これにより、テレビCMの持つ大量リーチという強みを生かしつつ、デジタル広告との一貫した効果測定が実現できる。
一方で、インプレッション取引には課題もある。最大の懸念は、CMの視聴数が膨大になりすぎ、GRPと比べて直感的な理解が難しいこと。さらに、放送エリアが県単位で分断されている日本では、CPMや%コストに大きな地域差があり、統一的な取引指標としては扱いづらい。このような課題にも対応できる柔軟な仕組みとして、GRPを実数ベースに再定義し、よりマーケティングに即した通貨への転換が求められている。
結論として、テレビCMの「インプレッション取引」は、単なる視聴率換算ではなく、ターゲット単位での正確な評価と購入が可能となる、新たな時代の広告取引モデルであり、今こそその導入を本格的に検討すべき段階にある。
Impression-Based TV Ad Sales: Exploring New Potential for Tokyo’s Key Stations
Programmatica’s analysis of Q1–Q3 FY2024 advertising revenue among Tokyo’s major broadcasters (NTV, EX, TBS, TX, CX) reveals modest recovery from the previous year’s declines. Spot advertising improved from June 2024, though costs tied to the Paris Olympics kept margins tight. Streaming ad revenue is growing but still represents only 4–6% of total revenue and hasn’t replaced traditional TV advertising.
Spot ads remain dominant. NTV leads in both total and spot revenue, while TV Asahi (EX) captured 23.3% of Tokyo’s spot market. However, most broadcasters already hit the JBA’s commercial volume limit, with roughly 70% of slots being spot ads. Simply increasing inventory is no longer feasible.
Japan’s linear TV still operates at significantly lower CPM rates compared to Connected TV (CTV), often by a factor of 10. Impression-based ad trading—selling TV ads by actual impressions rather than by program slots—offers a solution: higher unit prices, fewer ads, and a better viewer experience. This shift could help TV regain relevance among younger audiences.
Programmatica used audience data to estimate impression volumes by demographic. Differences in younger viewer reach (especially among MF1 and MF2 segments) are stark. If all stations traded impressions at the same CPM, those with lower youth viewership would be disadvantaged. For example, at a CPM of $46 for the F1 segment (women aged 20–34), only NTV sees revenue growth; others decline.
When CPM is raised to $60–80, most stations can surpass current revenue, but such pricing is unrealistic compared to typical CTV CPMs ($15–50). Thus, uniform CPM-based impression trading across all stations and demographics is unworkable.
Instead, stations should adopt tailored models:
EX may benefit from a broader, all-target strategy using segment-specific CPMs (e.g., MF1 at $10, MF2 at $6.70).
TBS could trade on wider segments (like LTV4–59) using flexible CPM tiers.
TX might capitalize on loyal niche audiences with targeted packages.
CX, facing reputational damage, is exploring fewer impressions at higher CPMs to stabilize revenue.
Ultimately, impression-based trading should reflect each station’s strengths and audience profiles. Future blog entries will explore what CPM levels and targeting strategies can make impression trading viable in Japan.
<璞格拉博客|自2025年5月16日起>
过去十年间,日本在东京的主要电视台(即在京五大民营电视网)的“广播广告收入”减少了约16%,从2015年度的基准值100降至2024年度的84.1%左右。2024年度的总额约为7,500亿日元,与疫情严重时期的2020年度几乎相同,跌幅比预期更为明显。尤其在最近富士电视台(CX)相关事件的影响下,这一话题也受到更多关注。
与此同时,包含TVer等平台在内的“数字广告”收入正在增长。虽然每年统计方式略有不同,但各电视台从2021或2022年度起,已开始在财报中单独披露“配信广告”的收入数据。不过需要注意的是,各电视台对于“配信”的定义和统计方法不同,因此无法简单合计。
博客还详细列出了各电视台(NTV、EX、TBS、TX、CX)过去十年广告收入的变化趋势图,包括广播广告与数字广告的合计趋势。
文章最后指出,仅看广告收入的变化,并不能完整呈现电视媒体的现状。若结合“电视+串流”的视听时间来看,可能会得到不同的理解。作者建议读者也参考其另一篇博客《Converged TV:电视×串流收视时间再确认》。
<プログラBLOG|2025年5月16日から>
本記事では、在京キー局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)の「放送による広告収入」の過去10年間(2015年度〜2024年度)の推移がまとめられています。2025年3月期決算(2024年度)の数値が出揃ったことで、あらためて業界の構造変化が浮き彫りになりました。
まず注目すべきは、放送広告収入全体がこの10年で約16%減少した点です。2015年度を100とした場合、2024年度は84.1の水準まで落ち込み、コロナ禍だった2020年度とほぼ同程度の7,500億円台に留まりました。この下げ幅は予想以上に大きく、テレビ放送の収益力の低下が鮮明です。
一方で、配信を含む広告収入は増加傾向にあります。TVerや局独自の動画プラットフォームなどによるデジタル広告収入が、2021年度以降、各社の決算で個別開示されるようになっており、その伸びが可視化されつつあります。ただし、配信広告の集計基準は局によって異なるため、合計値は参考程度とされています。
記事では、各局ごとの推移グラフも掲載され、日本テレビ(NTV)・テレビ朝日(EX)・TBS・テレビ東京(TX)・フジテレビ(CX)それぞれの「放送+配信広告収入」の変化が一目で分かる構成となっています。近年話題となったフジテレビの報道騒動も背景にあり、業界外でも関心が高まる中での公開です。
最後に、広告収入の変化だけでなく、「視聴時間」という切り口での分析も必要だとし、過去記事「コンバージドTV:『テレビ×ストリーミング』視聴時間の再確認」への参照も促しています。
<プログラBLOG|2024年12月6日から>
AdRM:アドリーチマックスの話を聴いてきた。
2025年4月から日本テレビ(NTV)が開始する新たなテレビCM取引基盤「AdRM(アドリーチマックス)」は、従来の視聴率(GRP)ベースから、広告表示回数(インプレッション)による取引へと進化する構想です。AdRMはサービス名ではなく概念名で、その下に「AdRM-API」「スグリー」「AdRM-Exchange」の3つのサービスが展開されます。
なかでも注目されるのが「スグリー」で、これは地上波テレビCMをオンラインで即時に取引・管理できるWebサービス。広告の即時出稿、素材の直前差し替え、最短15分後のレポート提供などを実現し、リニアTVのプログラマティック化のフロントを担います。
AdRM-APIは広告会社とのデータ連携を目的とし、AdRM-Exchangeはリアルタイム入札(RTB)を支える仕組みで、すでに電通・博報堂・ソニーマーケティングとの連携も発表されています。
NTVはこの仕組みを自社だけでなく、読売テレビや中京テレビ、福岡放送など系列局と共に最大5エリアへ展開予定。説明会では、RTBによる入札やCM素材の20分前変更、ターゲット指定によるインプレッション課金などの機能も紹介されました。
特に、テレビ広告の取引通貨がインプレッションになる意義は大きく、これはアメリカなどで主流になりつつある方式に近づく動きです。ただし、現段階では価格設定(CPM)が未発表であり、設定水準によって局収入や広告主の受容性に大きな影響が出ると見られます。仮にF1層(女性18-34歳)などのターゲット指定を行う場合、現実的に達成できる比率やCPMが収支に直結するため、精緻な試算が必要です。
また、将来的には「OpenAP」(米国のテレビ横断ID統合プロジェクト)のような業界標準を目指す意向も示され、NTV系列以外の局との協議も進行中とのことです。
今回の取り組みは、テレビCMの価値再定義とDX化を象徴する重要な一歩といえるでしょう。2025年3月までに試算ツールの配布も予定されており、価格決定が今後の成否を大きく左右することになります。
<プログラBLOG|2025年7月3日から>
これまでのテレビCMは「誰が見ているか」に基づくターゲティングが中心でしたが、共有型デバイスであるテレビでは個人の特定が困難です。そこで注目されているのが、「どんな気分・文脈で視聴されているか」を軸にした“文脈ターゲティング”の手法です。
米IRIS.TVは、動画に「前メタ(事前に付与される文脈情報)」をAIで付与し、ジャンルや感情トーンなどに基づき広告配信を出し分けています。例えば「感動的な動画には保険CMを」「社会問題系の動画は避けたい」といった選択が可能です。これは従来のニュース記事などで行われていた文脈ターゲティングを、動画領域に拡張した先進的な事例といえます。
こうしたアプローチは視聴者の心理状態に合わせた広告配信を可能にし、記憶への定着率や受容性を高めます。実際、家族でドラマを見た後に保険のCMが流れるなど、空気感に合ったCMは個人属性以上に訴求力を持つことがあります。
日本市場においても、地上波やTVerのようなAVODサービスの整った番組体系は、IRIS.TV型の文脈ターゲティングと親和性が高いとされています。さらに、視聴ログや番組編成データをもとに、感情トーンや視聴態度でコンテンツを再分類する「意味空間の再構築」により、広告との適合性を高める余地があります。
IRIS.TVの中核技術「IRIS_ID」は、動画コンテンツに一意のIDを付与し、個人情報に頼らずコンテキストに基づく広告配信を実現します。複数の分析パートナー(Oracle、IAS、GumGumなど)との連携により、映像・音声・テキストをフレーム単位で解析し、その文脈情報を広告に活用する「マーケットプレイス型モデル」も強みです。
Googleとの違いは、自社の囲い込み型ではなく、業界全体とつながる中立的なデータ基盤を志向している点にあります。こうした思想は、リニアTVのような旧来メディアに対しても、価値の再定義を促す可能性を秘めています。
たとえば旅番組の食事シーン直後に宅配ピザのCMを流すような“文脈的な出し分け”は、視聴率やデモグラでは得られない広告効果を生み出す可能性があります。単なるスポット効率の改善ではなく、テレビCM全体の価値を、広告主・テレビ局双方にとって再構築するアプローチだといえるでしょう。
<プログラBLOG|2025年7月8日から>
本回は、AmazonプライムビデオとNetflixというストリーミング業界の2大巨頭が展開する広告戦略の比較を通じて、広告主にとっての戦略的選択肢を明らかにするものです。両社は共に広告付きプランを導入していますが、そのアプローチは対照的です。
Amazonは、既存会員に強制的に広告を導入する「デフォルトオン」モデルを採用。これにより一夜にして1億人超の視聴者リーチを獲得しました。強力なEコマース基盤と連携した購買データにより、広告の直接的なROIを測定できるのが特徴ですが、ユーザーからは突然の広告導入に対する不満も多く、広告への「感情税」が発生する懸念があります。
一方、Netflixは、ユーザーが自ら選択する「オプトイン」型広告付きプランを導入。広告視聴を受け入れたユーザーのエンゲージメントが高く、プレミアムな広告体験を提供しています。広告量も少なく抑えられており、ブランド構築に適した環境を提供。2025年には広告付きユーザーが9,400万人に達しています。
両社の違いは広告主にとっても明確なトレードオフを生みます:
・Amazon:広大なリーチと購買データを活かし、ファネル下層(購買促進)向き。
・Netflix:エンゲージメントの高い若年層にアプローチでき、ファネル上層(ブランド構築)向き。
日本市場ではAmazonの優位性が際立ちます。プライム会員の70%近くがプライムビデオを利用しており、広告主にとって大規模リーチが可能です。対してNetflixは、高価値な層に的を絞ったアプローチでプレミアムな文脈を提供しています。
広告主への推奨戦略としては、売上を重視するブランドはAmazonを、ブランド価値を高めたい企業はNetflixを選ぶべきです。また、多くの企業にとっては両者を組み合わせたハイブリッド戦略が有効とされ、目的に応じたクリエイティブや効果測定が鍵となります。
今後は、Amazonがコマースと広告の融合を強化し、Netflixが自社アドテクプラットフォームを拡張することで、広告主にとっての選択肢はさらに進化・多様化していくと見込まれています。
<プログラBLOG|2025年6月23日から>
コンバージドTV(Converged TV)とは、リニアTV(地上波などの従来型放送)と、インターネット接続されたCTV(コネクテッドTV)、さらにはPCやスマホでの動画視聴を統合的に捉える枠組みです。視聴者の行動が「どの画面で見るか」ではなく「何を見るか」へと変化する中、テレビCMとデジタル動画広告の分断を越えた統合的な評価と設計の必要性が高まっています。
この概念は広告主視点での実践的戦略とされ、類似語として「コンバージェントTV」「コンバージェンスTV」なども存在しますが、文脈により使い分けられます。
注目の背景には、CTVの普及と測定技術の進化があります。TVerやNetflix、YouTubeなどのテレビ画面での視聴が一般化し、地上波だけではリーチできない層に対してCTVが補完的役割を果たすようになりました。米国ではOpenAPやVAB、JICといった業界横断の取り組みにより、クロスメディアでの測定や広告取引の多通貨化が進んでいます。
日本でもTVerやABEMAなどが実質的にCTV化し、地上波と配信を一体で評価する動きが進行中です。CTV測定や統合視聴分析の実験も始まり、CTVと地上波を組み合わせた「一体設計」が現実味を帯びてきました。
コンバージドTVがもたらす価値は以下の3つです:
リーチ最適化:CTVにより地上波で届かない層に補完的アプローチが可能。
フルファネル対応:地上波でのブランド構築から、CTVでの深度あるアクション促進へ。
統合計測:インプレッション単位での評価が進み、態度変容まで追跡可能に。
一方で、視聴ログの整合性、GRP中心の商習慣、プランニング指標の不整備などの課題も残ります。しかし、それを乗り越えることで、より柔軟で精度の高い広告取引が実現します。
AIの進化により、広告の“通知化”が進むなかで、「広告らしさ」を保つ場としてのテレビCMの価値が再認識される可能性もあります。
今後は「テレビかデジタルか」という区分を越えて、視聴体験を中心とした広告設計と評価への転換が求められており、「コンバージドTV」はその起点といえるでしょう。
<プログラBLOG|2025年7月22日から>
VIZIOが買収後初の戦略をNewFront 2025で発表
2024年にWalmartによって買収された米VIZIOは、2025年5月に開催された「NewFront 2025」にて、買収後初となる広告戦略を発表しました。プレゼンテーションでは、VIZIO独自のプラットフォームとWalmartのリテール力を統合した新たな展望が示され、CTV(コネクテッドTV)とリテールメディアの融合が中心テーマとなりました。
目玉となったのは、新たに導入される「MyHub」機能。これは、ユーザーが個人の好みに合わせて番組、ウォッチリスト、写真などを管理できるパーソナライゼーション機能で、Walmart+メンバー向けのセール情報なども連動表示。VIZIOはこの機能を「ショッパブルTV」実現への第一歩と位置づけています。
また、Walmartとの統合により、VIZIOの広告在庫がWalmart DSPで直接購入可能に。これにより、小売データとCTVインベントリを融合し、測定可能なキャンペーンが実現します。なお、広告出稿には20万ドルという高めの最低出稿額が設定されています。
さらに、スポーツ領域でも拡張を進め、プロサッカーやゴルフの専用コンテンツゾーンを新設。中でもゴルフは人気ページ2位に急浮上し、今後のスポンサー施策にも注目が集まります。
統計では、VIZIO TV視聴の60%超がストリーミング、ホーム画面での滞在時間は1日平均31分、リーチは推定7,900万人に上るとされ、広告主にとってリビングルームから直接購買を促す有力な媒体としてのポテンシャルをアピールしました。
今回の発表は、VIZIOがRokuとのOEM提携を解消し、今後は自社OS「SmartCast」搭載のWalmartブランド「Onn」テレビへ移行するという動きとも連動。CTV市場のシェア構造にも大きな影響を与える可能性があり、今後の展開に注目が集まります。