
<プログラBLOG|2025年6月23日から>
コンバージドTV(Converged TV)とは、リニアTV(地上波などの従来型放送)と、インターネット接続されたCTV(コネクテッドTV)、さらにはPCやスマホでの動画視聴を統合的に捉える枠組みです。視聴者の行動が「どの画面で見るか」ではなく「何を見るか」へと変化する中、テレビCMとデジタル動画広告の分断を越えた統合的な評価と設計の必要性が高まっています。
この概念は広告主視点での実践的戦略とされ、類似語として「コンバージェントTV」「コンバージェンスTV」なども存在しますが、文脈により使い分けられます。
注目の背景には、CTVの普及と測定技術の進化があります。TVerやNetflix、YouTubeなどのテレビ画面での視聴が一般化し、地上波だけではリーチできない層に対してCTVが補完的役割を果たすようになりました。米国ではOpenAPやVAB、JICといった業界横断の取り組みにより、クロスメディアでの測定や広告取引の多通貨化が進んでいます。
日本でもTVerやABEMAなどが実質的にCTV化し、地上波と配信を一体で評価する動きが進行中です。CTV測定や統合視聴分析の実験も始まり、CTVと地上波を組み合わせた「一体設計」が現実味を帯びてきました。
コンバージドTVがもたらす価値は以下の3つです:
リーチ最適化:CTVにより地上波で届かない層に補完的アプローチが可能。
フルファネル対応:地上波でのブランド構築から、CTVでの深度あるアクション促進へ。
統合計測:インプレッション単位での評価が進み、態度変容まで追跡可能に。
一方で、視聴ログの整合性、GRP中心の商習慣、プランニング指標の不整備などの課題も残ります。しかし、それを乗り越えることで、より柔軟で精度の高い広告取引が実現します。
AIの進化により、広告の“通知化”が進むなかで、「広告らしさ」を保つ場としてのテレビCMの価値が再認識される可能性もあります。
今後は「テレビかデジタルか」という区分を越えて、視聴体験を中心とした広告設計と評価への転換が求められており、「コンバージドTV」はその起点といえるでしょう。