
<プログラBLOG|2024年12月6日から>
AdRM:アドリーチマックスの話を聴いてきた。
2025年4月から日本テレビ(NTV)が開始する新たなテレビCM取引基盤「AdRM(アドリーチマックス)」は、従来の視聴率(GRP)ベースから、広告表示回数(インプレッション)による取引へと進化する構想です。AdRMはサービス名ではなく概念名で、その下に「AdRM-API」「スグリー」「AdRM-Exchange」の3つのサービスが展開されます。
なかでも注目されるのが「スグリー」で、これは地上波テレビCMをオンラインで即時に取引・管理できるWebサービス。広告の即時出稿、素材の直前差し替え、最短15分後のレポート提供などを実現し、リニアTVのプログラマティック化のフロントを担います。
AdRM-APIは広告会社とのデータ連携を目的とし、AdRM-Exchangeはリアルタイム入札(RTB)を支える仕組みで、すでに電通・博報堂・ソニーマーケティングとの連携も発表されています。
NTVはこの仕組みを自社だけでなく、読売テレビや中京テレビ、福岡放送など系列局と共に最大5エリアへ展開予定。説明会では、RTBによる入札やCM素材の20分前変更、ターゲット指定によるインプレッション課金などの機能も紹介されました。
特に、テレビ広告の取引通貨がインプレッションになる意義は大きく、これはアメリカなどで主流になりつつある方式に近づく動きです。ただし、現段階では価格設定(CPM)が未発表であり、設定水準によって局収入や広告主の受容性に大きな影響が出ると見られます。仮にF1層(女性18-34歳)などのターゲット指定を行う場合、現実的に達成できる比率やCPMが収支に直結するため、精緻な試算が必要です。
また、将来的には「OpenAP」(米国のテレビ横断ID統合プロジェクト)のような業界標準を目指す意向も示され、NTV系列以外の局との協議も進行中とのことです。
今回の取り組みは、テレビCMの価値再定義とDX化を象徴する重要な一歩といえるでしょう。2025年3月までに試算ツールの配布も予定されており、価格決定が今後の成否を大きく左右することになります。