
<プログラBLOG|2025年7月8日から>
本回は、AmazonプライムビデオとNetflixというストリーミング業界の2大巨頭が展開する広告戦略の比較を通じて、広告主にとっての戦略的選択肢を明らかにするものです。両社は共に広告付きプランを導入していますが、そのアプローチは対照的です。
Amazonは、既存会員に強制的に広告を導入する「デフォルトオン」モデルを採用。これにより一夜にして1億人超の視聴者リーチを獲得しました。強力なEコマース基盤と連携した購買データにより、広告の直接的なROIを測定できるのが特徴ですが、ユーザーからは突然の広告導入に対する不満も多く、広告への「感情税」が発生する懸念があります。
一方、Netflixは、ユーザーが自ら選択する「オプトイン」型広告付きプランを導入。広告視聴を受け入れたユーザーのエンゲージメントが高く、プレミアムな広告体験を提供しています。広告量も少なく抑えられており、ブランド構築に適した環境を提供。2025年には広告付きユーザーが9,400万人に達しています。
両社の違いは広告主にとっても明確なトレードオフを生みます:
・Amazon:広大なリーチと購買データを活かし、ファネル下層(購買促進)向き。
・Netflix:エンゲージメントの高い若年層にアプローチでき、ファネル上層(ブランド構築)向き。
日本市場ではAmazonの優位性が際立ちます。プライム会員の70%近くがプライムビデオを利用しており、広告主にとって大規模リーチが可能です。対してNetflixは、高価値な層に的を絞ったアプローチでプレミアムな文脈を提供しています。
広告主への推奨戦略としては、売上を重視するブランドはAmazonを、ブランド価値を高めたい企業はNetflixを選ぶべきです。また、多くの企業にとっては両者を組み合わせたハイブリッド戦略が有効とされ、目的に応じたクリエイティブや効果測定が鍵となります。
今後は、Amazonがコマースと広告の融合を強化し、Netflixが自社アドテクプラットフォームを拡張することで、広告主にとっての選択肢はさらに進化・多様化していくと見込まれています。