今回はこの番組的には温めてきた企画…
現象学について、そしてメインスピーカー八重樫君が翻訳で携わった、フッサール『改造』論文についてのシリーズです!
本の詳細欄はこちら
https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000409537
【シリーズ4回目の概要欄はこちら】
『翻訳について』
約5年の歳月をかけて複数の訳者で行われた翻訳作業の内側を聴いていきます
◆翻訳作業はどんなプロセスで進められたか
◆翻訳の具体的な苦労と面白さ
日本語でいうと同じ訳語をもつ言葉をどう訳しわける?
Menshheit/Humanität/Menschentum
◆日本語に訳す特有の苦労
◆言葉の歴史性
今回はこの番組的には温めてきた企画…
現象学について、そしてメインスピーカー八重樫君が翻訳で携わった、フッサール『改造』論文についてのシリーズです!
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【シリーズ3回目の概要欄はこちら】
◆「改造」という雑誌はどんな本だった?
・1919年(大正8年)創刊、1955年(昭和30年)廃刊。
・ラッセルやアインシュタインを日本に招聘したり、先進的な学者の論文や作家の作品を掲載していた、当時とがった総合雑誌。
・幸田露伴、谷崎潤一郎、志賀直哉らの連載も。
◆フッサールが改造に寄せた論文はどんなもの?
・「改造」という本のタイトルにあわせて、生き方(個人、共同体)を倫理的なものに革新するために何が必要か。
・出版されたフッサールの論文では、文化、倫理、共同体のテーマで書かれたものは少ないので希少性がある。
【お詫び】
収録時、リッケルトがフッサールの「後任」だと言っているのは言い間違いです。正しくは「前任者」です。
【おまけ】
メンバーがスタッフをやっている「カルルス温泉文化祭について」https://karurusu.official.ec/
今回はこの番組的には温めてきた企画…
現象学について、そしてメインスピーカー八重樫君が翻訳で携わった、フッサール『改造』論文についてのシリーズです!
本の詳細欄はこちら
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・現象学とは?
・フッサールてどんなひと?
・改造論文とは?
・翻訳の苦労やおもしろさ
など今回のシリーズでお話していきます。
【シリーズ2回目の概要はこちら】
フッサールについて
現象学という概念を立ち上げたフッサールの人となり、
どんな人生だったかをお話している回です
哲学者は、人生が面白い(過激・エキセントリック)タイプと面白くない(普通・まじめ)タイプがいますが、彼はどちらだったのか?
八重樫くんからみたフッサールはどんな人?
今回はこの番組的には温めてきた企画…
現象学について、そしてメインスピーカー八重樫君が翻訳で携わった、フッサール『改造』論文についてのシリーズです!
本の詳細欄はこちら
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・現象学とは?
・フッサールてどんなひと?
・改造論文とは?
・翻訳の苦労やおもしろさ
など今回のシリーズでお話していきます。
【シリーズ1回目の概要はこちら】
現象学とは?
あえて説明してみると…
「経験から出発し、経験から離れることなく、一見自明に見える事柄にひそむ謎を見つけ出し、解きほぐすような哲学のやり方」
↓
〇〇学・・・といっても生物学のように、
「〇〇についての学問」というものではない。
現象学はフッサールが当時立ち上げたコンセプトのようなもの。
⇒現象学を理解するために
現象学以前の哲学アプローチと何が違うのか
本日のテーマは【ホラーの哲学】
夏を迎えて怪談本がコーナーに並ぶこの季節。
哲学の本でもホラーを扱うことがある、ということで本日のお題はこちら。
(収録は5月中旬のため、トーク内容に季節の時差があることをご了承ください。)
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
N.キャロル『ホラーの哲学』
◆分析哲学って?
・論理学の仕組みから生まれた哲学分野のひとつ
…緻密な論理立てから様々なものを分析し、考察する
・そこから派生した「ジャンル論」(例 ロックって何か?ホラーって何か??)
【第2章:フィクションのパラドックス】
◆恐れとは・・・
・錯誤説
・ごっこ遊び説
・思考説
◆演技の時の感情は本物なのか
◆ホラーのパラドックス
怖いのになぜ見るのか
「美徳なき時代/AfterVirtue」2回目の概略欄
今回は引き続き、A・マッキンタイア「美徳なき時代」の2回目。
約40年前に発売されたこの本を今取り上げた理由は?面白さって何だろう??
【この本が与えてくれた普遍性】
・徳
・具体的な特性と行動
・物語的自己同一性
【住田さんの倫理学との出会いはこの本】
・アリストレスの「徳」
・人格の特性や一つ一つの行動と結びついていることが新鮮だった
・哲学的な考えを進められる
◆「徳」や「物語的自己同一性」て今も必要な概念なのでは?
◆単なる保守主義でも伝統主義でもない、共同体と暮らす、コミュニケーションの上での人間の生き方って?
◆『アイデンティティ』て今の若者や学生はどう捉えている?
・ジェンダー、モラトリアム、職業選択・・・どう関わっている?
◆1・2回目でも話題になるカントとの比較
今回のテーマはA・マッキンタイア「美徳なき時代/After Virtue」。2回完結で収録してます。
◆1回目:この本の概略について
◆2回目:なぜ今、約40年前に発売されたこの本を取り上げたのか?その面白さは?
【「美徳なき時代」てどんな本なの?】
◆作者:アラスデア・マッキンタイア
・1929年スコットランド出身~現在はアメリカ在住の思想家。
・1950年代にアメリカへ移住。カソリックへ改宗。
『美徳なき時代/After Virtue』
◆「現代における徳とは?」がテーマ。
◆冒頭の語り
「災害が起きて、現代の技術・装置や科学の説明が意味をなさない状況=ディストピア的な状況を想像してみてください。」
→倫理学的な状況では、今がディストピア的状況である。
◆カント、ヒュームなどによる啓蒙的な思想家による倫理の限界
・カントの理性や法則、ヒュームの道徳的な感情に基づく理論では限界がある。
◆アリストテレス『二コマコス倫理学』の再解釈
アリストテレスの倫理学:人間の目指すべき、本来あるべき姿に近づけることが必要
◆「徳」について
①プラクティス(実践)の徳
忍耐力、誠実さ、公正さ・・・行動における性質
②人生の統一性をもたらす徳
勇気がある、忠誠心・・・「この人はこういうひとだった」といえるもの
③歴史や共同体において形成していく徳
年長者への尊敬、謙虚さ、協調性
◆「物語論的自己同一性」
・自分の人生を振返り、物語りとして語るときに「自分はこのような人間であった」と語るときに必要なもの
・近代主義的な人間観へのアンチテーゼ
個人主義的な人間観(共同体から切り離されたもの)や
自然科学的・物理的な人間観(身体と心を切り離したもの)
⇔過去の物語(人生、経験)を通じて、他者や共同体の中でコミュニケーションで成り立っている人間観
【3-2】愛、セックス、結婚の哲学
前回に続き、レバノン出身の哲学者R.ハルワニが書いた哲学の教科書を元に話しています。
誰しもにとって身近なテーマを哲学の視点で考察。
2話完結の後編となる今回は、第3章について。
◆第3章 恋愛と道徳
恋愛における道徳論とは?
代表的な道徳論から恋愛を考察。
①帰結主義
結果の良しあしによって決まる。結果次第。
②義務論
恋愛に義務は生じるのか。
恋愛において、他者を手段にしないとは?(カントの目的の定式)
③徳倫理学
徳(中庸、行動や思考が適切である)があるかという観点から。
恋愛においては、徳があるとは?
レバノン出身の哲学者R.ハルワニが書いた哲学の教科書を元に話していきます。
◆なぜこのタイトルで教科書なのか…
本の内容を知っていくうちに、その意味が分かってくるから不思議。
今回のエピソードではこの本の第1章について語り合います。
第1章「恋愛とは何か?」
◆恋愛とは感情なのか関係性なのか、欲求なのか?
◆恋愛(Romantic Love)には2種類ある
・Romantic Love1…情動的、衝動的な恋
・Romantic Love2…穏やかな恋
◆Romantic Loveとのぼせ(Infatuation)の違い。
◆恋愛と理由
理由があるから恋愛が生まれるのか、理由がなくなれば恋愛は消えるのか
今回はリスナーの皆さんへのアンケートを実施!
寄せられたアンケートから来年のエピソードを企画します。
2分でできるアンケートはこちらのリンクから。 ぜひ貴重なご意見を教えてください!
2024年末・テツアンドガクの編集会議
○世界哲学会議の旅でのこぼれ話
◯次年度刊行予定のフッサール「改造論文」関連書籍のご紹介
◯今年の振り返りと来年の企画
◯リスナーアンケートについて
今回は世界哲学会議について
今年の夏にイタリアで行われた世界哲学会議の様子をレポート!
次回の5年後には東京開催する世界哲学会議
今回は今年イタリアで行われた会議へ実際に参加した八重樫くんからリアルな報告を聴く回です♪
◇哲学のオリンピック?5年に一度開催される哲学の祭典はどんなもの?
◇参加資格は?普通のひとも参加できるの??
◇日本と海外の学会の違いとは?
ゲスト回:今回のテーマの『人生の意味の哲学入門』の執筆者のひとりであり、某大学で「倫理学」を教えている俊ちゃんをお迎えして話していきます
【番外編・3回目 『倫理学』の旬のテーマから話していきます】
【動物倫理について】
・倫理学のテーマでもモヤモヤするテーマの一つ。
・いろんな立場や考え方、地域や宗教の文化的側面もある
・J.M.クッツェー(南アフリカの作家/ノーベル文学賞受賞)の小説形式のスピーチ/講演 「動物のいのち(The Lives of Animals)」
・ピーターシンガーの反論やコーラ・ダイアモンドの解釈
・地域の食文化も根深い
・ベンジャミン・フランクリンの例
・小説のような形態だからこそ理解・表現できることもあるのかもしれない→理論は芸術や実例を抽象化する作用があり、そこからはみ出してしまうものもある
【理論と現実の行動・実践における『倫理学』が果たす役割】
理論と現実の行動について
・行動のチェックリストから「あなたは○○主義者」と見極める傾向を見極めるものってあるの?
・医療現場の中である「臨床倫理分割表」
・小・中学校で学ぶ『道徳』と高校で学ぶ『倫理』と大学以降で学ぶ『倫理学』との違いは?
ゲスト回:今回のテーマの『人生の意味の哲学入門』の執筆者のひとりであり、某大学で「倫理学」を教えている俊ちゃんをお迎えして話していきます
【番外編・2回目の話題は「人生の意味」から「哲学をすることの意味」へ】
【哲学者のふたりが今後気になってるものは?】
・長期主義(Long-termism)、効果的利他主義、Wellbeing
・実際に起きている社会・環境問題へのアプローチ。
【倫理学は「倫理を説く」のではなく、「説かれてる倫理を批判すること」】
・哲学も批判的姿勢が大事。
・多くの人が「これが人生の意味だ」と語ることに対して批判的な姿勢をとることに意義がある。
【哲学をすることで人生の意味を感じるとき】
・考える、意味を知ることの喜び。
・他者や社会に左右されない「考える」幸せ。
・哲学や倫理学が誰かとつながるきっかけになる。
【「人生の意味」を問うことで生まれる場がある】
・答えを見出すものではない。
・過去の人物、違う地域、違う時代に生きてきた人物の生き方・考え方を知ることができる。
・ここに集まった人々は「人生の意味」をどうとらえてる?
【哲学者の二人が哲学に興味をもったきっかけは?】
・小説から哲学へ~人間の本質を知るために。
・医学部志望から哲学科へ~ヴィトゲンシュタイン・永井均先生との出会い。
ゲスト回:今回のテーマの『人生の意味の哲学入門』の執筆者のひとりであり、某大学で「倫理学」を教えている俊ちゃんをお迎えして話していきます
【人生の意味の哲学、今、どんな場面で語られるの?】
・ミッドライフクライシス(中年の危機)
・人生の終末期~医療現場など
【存在感を放つ南アフリカの研究者】
・分析哲学で問う人生の意味の哲学
・言葉の意味・定義をまずしっかり行わないと話が始まらない
・「過去のギリシャ哲学や実存哲学でやってきたこと(大陸系)」と「分析哲学」でのリバイバルとのせめぎ合いもある
【「大陸系」と「分析系」】
・哲学業界の中で存在するジャンル分け:「大陸系」と「分析系」
【春秋社『人生の意味の哲学入門』について】
・「人生の意味は在る」ということに対してのカウンター的な側面を持つ本
・メッツの「人生の意味を満たすために必要な要素」に対しての議論
・俊ちゃんが「5章・人生の意味と幸福」を書いたモチベーション
・そもそも「意味」という言葉について
・個人主義=近代的な「私」=個人という存在が意識されてきたことから「私の人生」という概念が出てきたのでは?
・ヴィトゲンシュタインの最後の言葉「wonderful life」は「幸福な人生」か
・人が「人生の意味を考えるとき」て?
【訂正】会話の中で下記の人名の言い間違いがありましたので訂正します。
(誤)セオドア・メッツ
(正)サデウス・メッツ
哲学ポッドキャスト、テツアンドガクは身近なテーマを哲学的に考察してみる番組です。
脱線はしますが基本的には伝統的な哲学の概念やテキストを軸に議論しています。
【『芸術作品の根源』収録語座談会】 ・哲学の本を外国語で読むのは小説を外国語で読むより易しい。小説よりは使われている語彙が少ない。 ・サルトル『文学とは何か』で書かれていた、読む人がいることで文学作品は存在する。という話とハイデガーの「見守る人がいて作品は存在する」との関連性。 ・文芸評論が現代思想と近接してる時期があったけど最近はどうなの? 芸術や文芸が大きな潮流になってるようなところはあるの? ・今や起業家やスタートアップ企業、ヴィジョナリーカンパニーが芸術家のような役割を果たしてる? ・ボブマーリーのドキュメンタリーに見る「大地」? ・廃墟のような歴史的遺物が神殿に思えるときがある ・能などの伝統芸術・芸能の話
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脱線はしますが基本的には伝統的な哲学の概念やテキストを軸に議論しています。
【今回の概要】 ・前章までで、芸術作品とは、それにおいて真理が生起するもの、と特徴づけられた ・世界と大地が闘争する(隠そうという動きと露わにしようとする動きが戦う) ・それによって、ゴッホの絵であれば農婦の暮らしが露わになった ・ギリシアの神殿であれば、その共同体の在り方が露わになった ・この章では、まず道具と芸術作品が比較される ・道具は目立たない。一方、芸術作品は異様なものとして非日常感がある ・また、芸術作品には、「見守る人」が必要とされる ・観賞する人ではなく、その作品の衝撃を受けて人生が変わっちゃうような人たち? ・芸術作品によって、ある民族(人間の集団)が立ち上がる ・ハイデガーとナチスの関係 ・詩(言語芸術)は芸術作品のなかでも特別な存在 ・今(講演の当時)、ドイツ人にとってはヘルダーリンの詩を考えることが重要 ・ヘルダーリンの呼びかけに答えないのか、と問いかけておしまい
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脱線はしますが基本的には伝統的な哲学の概念やテキストを軸に議論しています。
【今回の内容】
ハイデガーの『芸術作品の根源』第2章まとめ。
・美の説明。それまでは見えなかったものがありありと見えるようになる。 ・例えば、ゴッホの絵によって靴や農婦の暮らしや世界、大地の厳しさなどが伝わってきた。 ・以下すべて脱線。 ・世の中のよくないものはすべて形而上学のせい? ・ハイデガーの言葉のおもしろさ。「四方域」とか中二病的? ・ドイツ語「Werk」のハイデガーの言葉遊びから脱線。 ・Kraftwerk?ドイツ語だとただの発電所という意味。 ・和歌も言葉遊び・ダジャレがたくさん。 ・翻訳って大変。
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脱線はしますが基本的には伝統的な哲学の概念やテキストを軸に議論しています。
【今回の内容】
ハイデガーの『芸術作品の根源』第2章後半部について。
芸術作品によってもたらされる「真理」とは?
【概要】
・ハイデガーは、芸術作品は真理を明らかにするものと言う。
・芸術作品によって「世界」と「大地」が見えるようになる。
・たとえば「古代ギリシャの神殿」によって人々の暮らしや文化(世界)が可能になる。
・一方で暮らしを脅かす自然の驚異(大地)もそれによってはじめて認識される。
・この二つが「闘争」することで「真理」が生じる。
・ハイデガーは古代ギリシアの真理観(アレーテイア)を独自に解釈
・真理を「隠れたものが露わになっていること」やその動きのことだと言う。
・芸術作品では、この露わにする動きが世界、隠そうとする動きが大地。
・この二つが闘争している。
哲学ポッドキャスト・テツアンドガクは身近なテーマを哲学的に考察してみる番組です。
脱線はしますが基本的には伝統的な哲学の概念やテキストを軸に議論しています。
【前回からの続き】
・ハイデガーによると芸術作品は「世界」と「大地」を立ち上げる力を持つという。
・前回はその「世界」の概念についての説明回でしたが、今回は続けて「大地」の概念について話しています。
◆ハイデガーの言う「大地」とは?
・作品は「素材」=声、言葉、色・・・等から作られる
・ヘアシュテレン(herstellen 独「制作する」)という言葉は?
「この素材を特徴づけてみる」her=こちらへ stellen=立てる という意味合いをもつ。
・じゃあ「何を、こちらへ、立てるの?」ということを考えてみよう。
◆道具と芸術作品との対比
・道具にも芸術作品にも、材料となる素材がある。
・道具で使われている素材は消耗・劣化していき、その存在を人が特に意識することはない。
・芸術作品の素材は、その素材こそが表れてくるようになる
・例えば神殿という作品ができることにより、素材である岩の存在が人に意識されるようになる。
・このような働きをハイデガーは「大地をこちらに立てること(herstellen)と表現する。
・素材から何かが作られるのではなく、「大地」という存在をこちら側へ立てるという構造になるのが芸術作品。
・作品がなければその「大地」の存在を我々が意識することはない。
・「世界をアウフシュテレンする(aufstellen 独「建てる」)」と対になるものとして「大地をヘアシュテレンする(herstellen)」という概念になっていることが芸術作品の本質だとハイデガーは言う。
・世界はそもそも開こうとする動向をもち、大地は隠れようとする動向を持つという形で表現される。
◆ハイデガーの真理感
・「何かと何かが一致する」という概念ではなく「隠れた状態から何かが露わになる」という真理感で話している。
・ここまでハイデガー流の説明でいう「世界」と「大地」の概念から今度は「アレーテイア(真理)」の話が展開されていく…
◆謎が解決した(説明された)と思ったら、次の謎(「真理」)へ。次回へ続く。
脱線トーク
・「基底材を猛り狂わせる」(デリダ)・・・タイトルが最高な哲学書のランキングがあってもいいかも。
・哲学の本を読む楽しみ方・・・真理や結論を求めて読む読書もあるが、普段とは異なる視点や思考体験をしていく読書体験もある。ハイデガーは意外性のある発想がある人。
・現代哲学・・・問いを明確に立ててそれを検証していくスタイルの論文も多い。ある制限の中で問いや領域を設定、検証をすることで、明確にできる問いもある。
ちょっと更新の間が経ってしまいました
ごめんなさい…
お待たせした分、濃い回です…
次の回はもう少し早めの更新になる予定です!
哲学ポッドキャスト・テツアンドガクは身近なテーマを哲学的に考察してみる番組です。
脱線はしますが基本的には伝統的な哲学の概念やテキストを軸に議論しています。
【今回の話題】
1章の振返りから2章の前半へ
どんな作品を芸術作品というの?というタイトルを回収する話がでてきます
◆前回(第1章)の振返り
・物というものを究明していくことで芸術作品とは何であるかを明らかにしていくのは難しいと分かった
・ただし、その途中でゴッホの絵から「道具」というものがどんなものであるのかを教わった。
・もしかすると、芸術作品とは、「ものごとがなんであるか」をあらわにしてくれるものなのかも?
・芸術家にフォーカスするのではなく、作品そのものにフォーカスしていく
◆ゴッホの農婦の靴の絵があらわすもの=世界と大地という概念。ハイデガーのいう「世界」の定義。
・人間の住んでいる世界、暮らし、生活、営み(例 農婦が暮らしている世界)。
・「人間にとって意味があるもの」「人間と関係性があるもの」。
例えば手段としての道具のように、ある関係性のなかで価値や意味が在る。
・大地=自然、人間と対峙するもの、人間が生活をするベースとなる環境。
例えば、農夫が雨風に対峙して暮らしている環境、土壌、天候。
それ自体では意味や価値を持たないもの。
◆世界と芸術作品の例
・美術館におかれているギリシャ神話の神の形を模した彫像はどうか?
・それは世界が「奪取」された状態。作品(作品が生きている)の世界と作品が切り離されている状態。
・神への信仰があるわけでもないので、作品はただの鑑賞される対象になっている。
・では作品がどういう状態なら「それ自体で安らいでいる、真理を内包している」状態
(その芸術作品の本来の力を発揮できる)なのか?↓
・作品が自らが開く領域(世界)を持っているとき、作品はその力を発揮できる。
◆具体例としてのギリシャの神殿。神殿における「世界」とは?
・建築物の中に神的存在を包み込んでいる。神と人間の区画を分ける。神殿を中心に人の暮らし、信仰、運命みたいなものが立ち上げられる。神殿という存在により信仰やルールや人の在り方がわかってくる。そういった在り方により世界が立ち上がる。
神殿は作品でもあり、神域・聖域でもありその空間を作りだすものという例。
◆一方で神殿における「大地」とは?
・神殿は岩という土台の上に成り立っている。そのことにより岩はより岩らしさを発揮している
・安定的であり、硬く、どっしりとしている。嵐が起きたときには、神殿は嵐から中を守る。
・神殿という建物の存在によって、壁にぶつかる嵐の風の音や振動から、風の強さや雨のしぶきなどが認識される。
・ギリシア人がピュシスと呼んでいたもの。
・「神殿という作品は一つの世界を開示する。一方で世界を大地の上で建て返す。」
・自然物だけの、人工物のない世界で自然を認識することは難しい。
・神殿を立てることにより、自然の姿も見えるようになる。
◆言語作品における「世界」「大地」を作りだす芸術作品の例としては?
・「何が聖なるもので何が聖ならないものか」「何が偉大で卑小か」「何が主人で何が奴隷であるか…」。
・こうした、ある人間集団にとっての基本的な価値観を初めて打ち立てるような言語作品も該当する。
◆本当の芸術作品がもつ、二つの本質動向
・「世界」と「大地」がかならずセット。
・作品が美術館に陳列されている(立てて置かれている)のは、本来的な在り方ではない
・そうではなく、むしろ作品が世界を立ち上げている。
・単に見て聴いて楽しむのではなく、作品の存在によって新しい文化が生まれるようなもの。人の運命やものの考え方が変わってしまうもの。
・ハイデガーのいう芸術作品とは「新しい世界・一定の人々の運命・歴史、生活の営みを立ち上げるようなもの」。
・なんらかの情景を思い出させたり、実際にあった景色を模倣したものではない。
・古い時代の表現であっても、今生きている人々にもその世界が生きていることが観点としては重要。
・例えば万葉集の歌に今読んでも心を動かされる場合に、当時の心象世界が今にも続いている、展開されているということかも。