どうもホシノです。今週の選書はミシマ社の『新・仕事のお守り』。7章・全42の「お守り言葉」から、とくに第3章「商売繁盛」を手がかりに、いまの商い感覚をもう一度組み直します。
話の中心は、「ビジネスより商売へ」の発想転換。近江商人の「商売十訓」を引きながら、「良いものを売るのは善、ちゃんと広告して売るのはさらに善」という思想を、遠慮なく現代の実務に当てはめてみました。単に「良い物語」で終わらせず、売るために伝える。その筋を、胸を張って通そうぜという提案です。
もう一つのキーは、足元から立ち上げること。地元の米や麹で勝負する酒蔵のエピソードを参照しつつ、理想から逆算するより、持っている資源と土壌を起点に設計するほうが商いは強くなるよね、という話に。そこから「顔の見える経済圏」を丁寧に広げる、つまり手の届く範囲の信頼を崩さずにスケールする道も掘りました。
「ボランティアじゃなく、ちゃんと儲ける」。でも最初の一歩は、身の丈と関係性から。そんな温度感で、次回はもう少し「具体のやり方」に踏み込みます。ぜひどうぞ。
<今回の選書>『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の弱さ考』(井上慎平/ダイヤモンド社)
アウトドア研修の定番「高さ3〜4mの壁を道具なしで越える」課題って、全員の学びになってる?アワノさんの率直な疑問から、ホシノと「達成一択じゃない研修」を本気で妄想する回です。
クリアすれば盛り上がる。でも「取り残される」「正直つまらない」声もあるよね、という現実。
目標は時間内クリアだけじゃない——「やりたくない」と言える設計や、気持ちの状態を扱う進行案。
終盤では「オリジナル研修つくって、半年後にテストケースやる?」という宣言まで飛び出しました。あなたの「こういう研修なら行きたい」案、ぜひ番組まで。
<今回の選書>『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の弱さ考』(井上慎平/ダイヤモンド社)
どうもホシノです。今回は、NewsPicksパブリッシングの創刊編集長を務めた井上慎平さんの新著『弱さ考』を取り上げます。見せていい弱さ/見せちゃいけない弱さ”の線引きを雑談しつつ、本論へ。
本編では、著者のキーワードをたたき台に議論。
弱さ=自分をコントロールできない/社会のルールに合わせられない状態
強さ=場に合わせて自分を変えられる力
優秀さ=内側の限界を把握し、外部リソースを上手に配分・調整できること
――という整理から、強い像への過剰適応がなぜ破綻を招くかを掘ります。
さらに、「バックキャストで最適化」の逆をいくアプローチにも注目。「詩人の目で見る」「戸惑いをそのまま伝える」「仕事以外の依存先を増やす」など、明日から試せる小さなハウをピックアップして、弱さを前提にした働き方の実験計画を語りました。
終盤は、著者が立ち上げたオンライン読書ゼミ「問い読」へも話題が展開。正解のない問いと対話を軸に「学びを体験化」する場で、共同創業者は元『ハーバード・ビジネス・レビュー』編集長の岩佐文夫さん。弱さを社会実装するための一つのフィールドとして位置づけます。
心理と実務を往復しながら、「つよい一択」の働き方を疑い直す回。ぜひお聴きください。
<今回の選書>・『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の弱さ考』(井上慎平さん)・『仕事のお守り(新版)』(ミシマ社さん)※第3章「商売繁盛」を中心に
こんにちは、ホシノです。今回もまずは近況から。季節はすっかり秋。Tシャツから長袖に切り替わるあの感じ、「美術館みたい」な感じしませんか?
ホシノは最近つい開いちゃうSNSをスマホから消し、その代わりに、NewsPicksの特集や連載をちゃんと読む時間を増やしてみております。ちょうど今回のアワノさんの選書とつながりましたね。
そして今回の本。
アワノさんは、井上慎平さん『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の弱さ考』。働き方のどこで無理が出るのか、我々の経験も含めて考えていきます。
ホシノは、ミシマ社さん『仕事のお守り(新版)』。とくに第3章「商売繁盛」を読みどころに、仕事に効く「手すり」になりそうな言葉を拾いました。
次回は、まずはアワノの『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の弱さ』からいきます。お楽しみに。
<今回の選書>「庭の話」宇野常寛さん
どうもホシノです。前回に続き、宇野常寛さんが語る「庭」という概念を深掘りしました。
今回印象的だったのは、就労支援施設「ムジナの庭」の事例。そこでは障害を持つ人々が縫い物やジャム作りなどをしているのですが、職員と利用者の区別がつかないほど自然に共存し、「一人でいても孤立していない」場が生まれているといいます。宇野さんはそれを“半透明性”“開かれた隠れ家”と表現しました。
庭の特徴は「話してもいい、話さなくてもいい」「いてもいいし、いなくてもいい」。学校やSNSのように序列や承認欲求に縛られることなく、作ることを通じて存在を肯定できる場所――それがプラットフォーム資本主義の中で必要だと指摘します。
番組後半では、文フリ参加や出版サークルの営みを例に、「作る動機づけ」と庭的な場の共通点を語り合いました。また、宇野さんが示すマイノリティ視点の重要性、さらには『同感と距離感の練習』や『暇と退屈の倫理学』との対話的な批評にも触れ、多角的な読み解きを展開しています。
概念的でありながら、実在の場所や実践と結びつけることで立ち上がる「庭」のイメージ。マジョリティに埋もれがちな声をどうすくい上げるかという問いとともに、今回の一冊を味わいました。ぜひお聴きください。
<今回の選書>「オルタナティブな庭」宇野常寛さん
どうもホシノです。今回の読書の時間では、アワノさんに批評家・宇野常寛さんの「庭」の思想を取り上げてもらいました。オタク文化や自身の経験を背景に「プラットフォーム資本主義の只中でどう生きるか」を問う一冊です。
宇野さんが提案する「庭」とは、SNSの承認やコミュニティの序列に縛られず、個人が生きられるオルタナティブな場所。その条件は4つ①人間以外のものと関わる場、②外部に開かれていること、③人が支配できないこと、④制作に動機づけられること。銭湯・小杉湯や就労支援施設「ムジナの庭」など、現実の場にもその萌芽を見いだせるといいます。
番組内では「ブックオフ」の例を通じて、閉じた論理や序列に縛られない“開かれた場”のあり方を考察。また、「助け合い」や「理想的コミュニティ」の裏で生まれる排除の構造にも触れつつ、資本主義とどう折り合うかを語りました。
資本主義を否定するのではなく、対等な関係を保ちながら個人が安心して存在できる回路=庭をどう持つか。通路のように心を解放するその概念を、河合隼雄さんの「子どもの宇宙」で語られた「秘密」「通路」と響き合わせながら読み解いています。ぜひお聴きください。
<今回の選書>「子どもの宇宙」(河合隼雄さん)
どうもホシノです。今回も河合隼雄さんの『子どもの宇宙』を取り上げます。前回に続き、児童文学や心理学の視点から「子どもの心の力」をどう読み解くかを語りました。
本書の中で印象的なのは、「絶対的な世界」と「相対的な世界」という対比。子どもは「ありのままの自分を見てほしい」という絶対的な世界に生き、大人は相対的な評価の世界に身を置いている。そのずれが心をすれ違わせ、子どもの力を損なってしまう危うさを河合さんは指摘します。
さらに、その二つをつなぐ「通路」という概念も登場します。児童文学『トムは真夜中の庭で』に描かれる扉や、動物との出会いなど、物語の中に通路は繰り返し現れます。異なる世界を行き来しながら心を癒し、関係を築くために必要な媒介。その意味を日常の育児や対話にどう活かせるのかを考えました。
後半では、子どもが異性に惹かれていく過程や「父なるもの」との衝突・克服が成長にどう関わるかにも触れ、普遍的な心理発達のプロセスに思いを巡らせます。育児における「待てない社会」とのギャップ、そして大人の役割を見直すきっかけとなる一冊。ぜひ耳を傾けてみてください
<今回の選書>「子どもの宇宙」(河合隼雄さん)
どうもホシノです。今回は河合隼雄さんの『子どもの宇宙』を取り上げます。アワノさんも学生時代に読んだことがあるというこの名著。児童文学やカウンセリング事例を通じて「子どもの心が持つ力」を描き出す一冊を、今あらためて読む意味を語り合います。
番組冒頭では、小学生が書いた詩を紹介。「神様は嬉しいことも悲しいことも皆見ています――」という言葉に、子どもの世界認識の鋭さを見いだす河合さんの視点に触れます。また「大人はみんな同じことを言う」と観察する子どもの目線から、大人がステレオタイプに陥ってしまう構造についても。
さらに、本書のテーマのひとつ「秘密」について深掘り。子どもが秘密を持つことがアイデンティティ形成につながるという指摘や、児童文学の古典(?)『クローディアの秘密』を題材にした解釈を紹介。養子の事例や、情緒不安定な子どもへのカウンセリングの逸話を通して、「秘密を暴くのではなく、寄り添い、共有できる世界をつくること」の重要性を話します。
後半では、子ども自身が世界をつくっていく力、大人が待てずに急かしてしまう「待てない社会」とのギャップに話題が広がり、次回への布石としました。心理学の古典を通して、子どもと大人の心のあり方を見つめ直す回。ぜひお聴きください。
<今回の選書>
・「子どもの宇宙」(河合隼雄さん)
・「庭の話」(宇野常寛さん)
こんにちは、ホシノです。今回も近況トークからスタートしております。アワノさんは中高生・大学生を連れた野外研修の指導者として山や川を縦走、テントや食料を背負って挑む「限界突破の体験」を話していました。「葛藤に出会わざるを得ない」過酷な環境での出来事、参加者の顔つきの変化、そして日常に戻ったときのギャップなど、研修現場ならではのリアルを感じたきたそう。
一方ホシノはといえば、家族と過ごした熱海での思い出。波に揉まれて海を怖がった息子が、仁王立ちで30分海を見つめ、やがて波に入っていく姿。でも最終的には「流れるプール愛」に目覚めてしまったのでした。
そして本題、今回の選書紹介へ。ホシノのピックアップは河合隼雄さん『子どもの宇宙』。知識やスキル本に疲れたときにこそ沁みる、心理の根っこに迫る温かい視点を語ります。
アワノさんは宇野常寛さん『庭の話』。SNSやコミュニティに振り回される現代において「自分の庭」をつくるという比喩の力強さに共感し、その独特な語り口の魅力を伝えます。
次回はまずはホシノによる「子どもの宇宙」話から始めて参ります!
<今回の話題>・「行列のできるインタビュアーの聞く技術」(宮本恵理子さん)
こんにちは、ホシノです。今回も『行列のできるインタビュアーの聞く技術』(宮本恵理子さん)を起点に、聞くこと、話すこと、そして2人でPodcastをやる意味についてじっくり語り合いました。
まずはインタビュアーとしての葛藤や経験から。相手を等身大で書けているか、先入観や事前情報がインタビューにどう影響するのか、準備とフラットさのバランスについて本音トーク。さらに、「人が好き」という感覚や、聞くこと・書くことの疲労度の違い、長く続けるモチベーションの源泉にも触れます。
話題はやがて、「なぜPodcastは2人でやるのか?」へ。
コーチングやインタビューのスキル、経験談、思考のシェア…。すべてがごちゃまぜになるこの場は、「総合的な実践の場」でもあり、「井戸端会議」であり、「自分と相手を知るトレーニングの場」。
互いに意見をぶつけ合うことで生まれる摩擦や雑音、その中にこそリアルな対話の価値がある。AIとの違い、リアルな人間同士の聞く・話す・受け止める面白さにも話が広がります。
話すことの価値も、聞くことの価値も、結局は誰かとリアルな関わりを持つからこそ生まれるもの。
自分では思いもよらなかった問いや言葉、少しの違和感や反論——そうした雑音を含めての人と人の場で、Podcastを続ける意味について考えました。
毎度ぐだぐだですが、成長プロセスごと見届けていただけるとうれしいです。
また次回もよろしくお願いします!
<今回の選書>
「行列のできるインタビュアの聞く技術」(宮本恵理子)
こんにちは、ホシノです。今回からはホシノセレクト本『行列のできるインタビュアの聞く技術』をきっかけに、聞くという行為そのものについて深掘りします。
タイトルや副題はちょっと下世話(?)だけど、中身は実にしっとり・誠実な内容。本職コピーライター&取材歴20年のホシノ自身が「聞く」をどう捉えてきたかも振り返りつつ、聞くことで相手が元気になったり、思いがけない価値が言語化されたりする現場エピソードをシェアします。
「聞くこと」がなぜ特別なのか? 自分で発信しない人の価値や想いを言葉にして、第三者に届ける。それこそが聞き手・取材者にしかできない仕事だ、と改めて感じたという話。
また、AI全盛の時代においても「言葉になっていない価値」はまだ山ほど眠っている…だからこそ聞く人の存在意義はこれからも消えないという雑感も。
宮本さんの取材ノウハウとして「事前に年表を作る」「キーワードで流れ重視の質問をする」「脱線も大歓迎」「相手が自分を解放できる場づくり」「安易なわかりますを避ける」など、具体的な工夫にも触れつつ、その根底にある謙虚に人と向き合う姿勢の大切さについても考えます。
取材やインタビューを始めたい人にも、ふだんのコミュニケーションを見直したい人にもおすすめの一冊。
次回は、「聞く」の価値や、2人で話すことの意味をより深く掘り下げていきます。お楽しみに!
<今回の選書>「旅をする木」(星野道夫さん)
こんにちは、ホシノです。今回は前回に引き続き『旅をする木』トーク。前回紹介した「生まれ持った川」の話を、さらに深掘りしていきます。
話題は、川から降りてしまうことのもったいなさ。安全や有利さを求めてつい「岸=安定」にとどまりたくなるけど、実は流れ続けることでこそ自分らしい景色や経験に出会えるんじゃないか、という話に。
変化の激しい時代だからこそ、「場所」よりも「姿勢」や「適応力」を軸にすることの大切さにも話が及びます。
また、今回は神聖な場所やストーリーテリングにも注目。
星野道夫さん自身が「誰にも教えたくない秘密の場所」を持っていたように、創造性や新しい自分と出会うきっかけとしての場の力を語ります。
参加者それぞれの「視点が変わる場所」「クリエイティブになれる瞬間」についても思い出をシェア。
ストーリーテリングの12ステップ(ジョゼフ・キャンベル理論)にも触れながら、物語や人生の構造についても少し話が広がります。
自然や物語を通じて、日常とはちょっと違う視点や感覚を思い出させてくれる一冊。
「普段なかなか持てない視点を体験できる本」「柔らかい気持ちになる本」として、改めて星野道夫さんの魅力を語り合いました。
次回からはホシノ側のセレクト本へ。
また少し違う世界をのぞきます。お楽しみに!
<今回の選書>「旅をする木」(星野道夫さん)
こんにちは、ホシノです。今回はアワノさんがセレクトした星野道夫さんの『旅をする木』をじっくり深掘りします。前半はなぜか「星野」姓の多い群馬・桐生の織物トークからスタート。星野家のルーツ話に花が咲きつつ、本題の「旅をする木」の世界へ。
アラスカを旅し続けた写真家・星野道夫さんの人生と、その生き方の根っこを探ります。
印象的だったのは、アラスカの老人ビル・フラーさんの「生まれ持った川」の話。他人の評価や社会の常識に流されず、自分本来の流れで生きること。その「川」からときどき岸に上がってみる、でもまた川に戻っていく…。そんな自由なキャリアや人生観を、リンダ・グラットンの「ライフシフト」や藤原和博さんの八ヶ岳型キャリア論とも絡めて語り合います。
また「ザルツブルクから」では、ヨーロッパの歴史的な街並みに触れつつ、アラスカの1万年単位の時の流れと比較。人類の歴史、地球の時間を相対化して見ることで、目の前の悩みや日常が違って見える感覚についても共有します。
さらに、「もう一つの時間」では、アラスカの大自然で出会ったクジラのジャンプの瞬間から、今・ここ以外の世界や「もう一つの時間」を感じる大切さに触れます。
忙しい毎日、目の前のタスクに追われがちな現代人へ。「地球のどこかで、今まさにクジラが跳ねている」。そんな視点を持つことで、人生や人との関わりも少し色合いが変わるかもしれません。
<今回の選書>「旅をする木」(星野道夫さん)「行列のできるインタビュアーの聞く技術」(宮本恵理子さん)
こんにちは、ホシノです。今回は近況トークからスタート。家の中で通称「味噌部屋」へと仕事部屋を大移動!夏の暑さとエアコン待ちの日々、扇風機&汗だくで収録している現状報告から始まります。一方、アワノさんは各地の山や川を飛び回るアウトドア研修直後。「46歳にして体力勝負」「リアルに命がけ」と言いながらも、どこか楽しそうな現場トークを披露しています。
そして、今回の選書紹介へ(こっちが本題)。
アワノさんのピックアップは、星野道夫『旅をする木』。アラスカの大自然と人の営み、自然と向き合う価値を見つめ直したい今の自分にぴったりだと熱く語ります。
ホシノの紹介は、宮本恵理子『聞く技術』。最近「聞くこと」への興味が再燃中ということで、インタビュアーの現場視点や、会話をコンテンツにする時代の「聞く存在の価値」について掘り下げたい!と語っています。
次回以降は、それぞれの本の内容や気になるポイントをさらに深掘りしていく予定です。
今回は近況から本題まで、ちょっとゆるめの立ち上がり回。お楽しみに!
<今回の選書>
「山岳新校、ひらきました: 山中でこれからを生きる「知」を養う」(青木真兵さん, 梅田直美さん, 坂本大祐さん, 作野広和さん ,西尾美也さん, 林尚之さん, 堀田新五郎 さん, 松岡慧祐さん, 伊藤洋志さん, 仲子秀彦さん, 中森一輝さん, 八神実優さん, 奈良県立大学地域創造研究センター撤退学研究ユニット編集)
こんにちは、ホシノです。今回は、アワノさんによる問いからスタート。本に書かれている「外れる力を持とう」とか、「オルタナティブな視点を大事にしよう」というメッセージには心から共感するけれど、実際のところ、こうした理想的な活動ってなかなか続かないよね、という現実の話です。
アワノさんは、大学教授の理論ベースの活動(プラス、言わば守られている立場?)と、参加者のリアルな生活とのギャップが気になっているみたいでした。そのあたりから話題は、資本主義社会でどう活動を継続していくか、というところへ流れていきます。
ホシノが関わった離島でのインターン活動のことを思い出したり、エスプレッソ・コーラのゆり子さんの熱量について振り返ったりもしました。理論と実践のズレ、情熱だけでなく運や支援の必要性、そして結局、続けていくしかないよねという、多少諦めも混じった結論にたどり着きます。
でも、もしかしたらこういう取り組みも、いつか誰かの人生の「非常食」みたいな役割を果たしているのかもしれない。何かしらの種になっていたらいいよね、というちょっと希望をもっていたいなと思っております。詳しくはぜひ聞いてみてくださいませ!
<今回の選書>
「山岳新校、ひらきました: 山中でこれからを生きる「知」を養う」(青木真兵さん, 梅田直美さん, 坂本大祐さん, 作野広和さん ,西尾美也さん, 林尚之さん, 堀田新五郎 さん, 松岡慧祐さん, 伊藤洋志さん, 仲子秀彦さん, 中森一輝さん, 八神実優さん, 奈良県立大学地域創造研究センター撤退学研究ユニット編集)
こんにちは、ホシノです。今回はアワノさんの選書紹介回。絶賛、という感じではなかったのですが、面白かったと紹介いただいたポイントが2つ。
一つ目は、大学生たちが実際に取り組んだ実験的な話。「買う」って行為を見直して、何かを買う前に理由を10個挙げるまで買わない、とか、スマホを手放して旅に出たりしている。これが理論じゃなくて、ちゃんと体を動かしてやっているのがすごく良かった。あくまでもホシノの個人的な感想ではありますが…。
もう一つは、「人はなんで山に入りたがるのか」という話から出てきた、「都市っていうのは、人間が理解できるように作った舞台装置だ」ということ。そういう場所じゃなくて、管理されてない自然に触れることで、自分の中にある何かを揺さぶってみたいんじゃないか、と。
そこから、話は少し寄り道します。「登山とは木や花と溶け合う自分を味わう体験なんじゃないか?」とか、「通販で物を買うのはタスクをリリースするため?みたいな話にも広がっていきました。
次回は、この本のなかにも登場する「撤退学」というテーマを軸に、もう少し掘り下げてみたいと思います。また聞いてね!
<今回の選書>
「エスプレッソコーラ」(ゆりこさん)
こんにちは、ホシノです。前回に続き、漫画『エスプレッソ・コーラ』について話を進めます。
療育の現場を舞台に、特性や葛藤、すれ違いが交差する群像劇。読み進めるうちに興味が湧いてきたのは、支援の話というよりも、「自分をどう扱うか」というテーマでした。
「前庭感覚」「固有感覚」といった身体の基礎にかかわる話から、自分の「扱いにくさ」をどう見立て、どう乗りこなすかへ。ホシノはここで、かねてから考えていた「人間=ガンダム」説を持ち出しました。体と心と、それを操縦するパイロット(魂)の関係。もしかするとそれぞれは別物かもしれない。それぞれの特徴を知らぬまま動かそうとするとぎこちなくなっちゃいますよね。
きっと多くの人にとって、ある程度の努力はできてしまうこと。けれど、できてしまったがゆえに見えなくなる、見なくなるものもある気がします。
例えば努力によって早く起きられるようになったけど、それは自分に合っていたのか?その疑問をなぁなぁにしたまま、なんとなく大人になってしまった気もします。
漫画の話を入り口にしながら、最後は「自分を知るって、何から始められるんだろう?」という原点のような場所に立ち返った回でした。
次回は、アワノさんによる『山岳新校、ひらきました』の紹介へと続きます。お楽しみに!
<今回の選書>「エスプレッソ・コーラ」(ゆりこさん)
こんにちは、ホシノです。今回は、前回ちらっと紹介した漫画『エスプレッソ・コーラ』について。療育の現場を舞台に描かれた本作は、ストーリーの奥行きと人物の厚みに圧倒されながらも、描線は極めて(?)素朴。上手すぎない(?)絵だからこそ、読み手が入り込める余白があるのかもしれません。…などと妙な勘ぐりをしてしまうほど引き込まれました。
商業出版でもない、編集者もいない、自費出版でもない。Kindle電子出版。それでもこれまでに世に出した巻数は90を超え、読者を引きつけ続けている模様(Amazonレビューを見る限り!)。その事実がもうすでに特異点です。
「クライアントのいない描き手」としての重さ、手がかりのなさ、続けるという行為そのものの強度。「作り手としての嫉妬混じりの驚き」が言葉を引き出していきました。
次回は、この作品から読み取れる「伝えたいこと」に少しだけ踏み込んでみますね。
<今回の選書>「山岳新校、ひらきました」(青木真兵さん, 梅田直美さん他)
「エスプレッソ・コーラ」(ゆりこさん)
こんにちは、ホシノです。今回は5月に初めて出店した「文学フリマ東京」のご報告からスタート。今回のためにつくった1冊の本『二十二歳』が予想外に売れました。特に若い世代に刺さったのが驚き、でした。出版や販売の主流とは異なる、「出会い」が生まれる文学フリマという場について話しています。
そして、今回の選書紹介へ(こっちが本題)。アワノさんは長野・上田にあるバリューブックスさん運営の「NABO(ネイボ)」という書店で出会ったという『山岳信仰を開きました』を紹介。撤退学というキーワードや、場がもつ力について語ります。
ホシノは、療育現場を描いたAmazonインディーズ漫画『エスプレッソ・コーラ』を紹介。絵のうまさとかって関係ないんだな、と感心させられた「伝わる力」を持った作品としておすすめしたい…!
次回以降はそれぞれの本の内容について、深掘りしていきます。お楽しみに。
<今回の選書>『汚穢(おわい)のリズム きたなさ・おぞましさの生活考』(酒井朋子さん・奥田太郎さん・中村沙絵さん・福永真弓さん)『人生の経営戦略』(山口周さん)
こんにちは、ホシノです。今回も引き続き、山口周さんの『人生の経営戦略』から。後編では、「選択と集中」にモヤモヤを抱える個人的な実感を起点に、「いくつもの顔を持つ」生き方=ポートフォリオ型の可能性について考えていきます。
本業を辞めずに副業から起業した人の方が成功率が高いという調査や、「AIに置き換えられない仕事」の条件など、山口さんが示す戦略はどれも現実に足をつけたものばかり。そして、「正解のある仕事は避けろ」「問いを立てよ」「感性を鍛えよ」という3つのアドバイスは、技術の進化が加速する今だからこそ、じわりと響きます。
後半では、自分の「弱さ」を出発点とする学び方や、40代からの成長についても触れながら、リスナーそれぞれの「生き方の戦略」にもつながるヒントを探りました。
次回からは、また新たな本をセレクトして二人で話していきますね!