〇#6 のテーマは、ドラマトライアングル
今回は、「ドラマトライアングル」というフレームワークを手がかりに、私たちが日常や社会の中で無意識のうちにとっている「ポジション」について語り合いました。
被害者、加害者、救済者――この三つの役割は、対人関係や組織、そして社会構造のなかで、知らず知らずのうちに私たちを動かしています。
「助けたい」という気持ちが、いつのまにか他者を弱い存在として扱っていないか。
「被害者」という言葉の裏に、自分を縛る物語が潜んでいないか。
「悪者」を作ることで、私たちは何から目をそらしているのか。
ナビゲーターの行政杏奈と清水友美が、自らの経験や日々の現場での実践を通して、このトライアングルを“内面の構造”としてひもときます。
社会の変化を語る前に、自分の中の「小さなドラマ」を見つめ直す――そんな静かな時間をお届けします。
〇ことばの水脈コーナー【ドラマトライアングル】
※テーマに関連する言葉(例:レジリエンス、正義、差別、境界など)をひとつ取り上げて、その語源や歴史、文脈、誤解されやすい点などを簡単にひもとくコーナーです
この概念は心理学者スティーブン・カープマンによって提唱されたもので、ドラマトライアングルとは、人間関係を3つの典型的な役割(加害者・被害者・救済者)にあてはめて理解するフレームワークです。この三角形の構造は、個人の日常のやり取りだけでなく、組織や社会の大きな関係性にもあらわれます。
特に職場のように緊張感のある場面では、発言の端々がこのドラマトライアングルの特定のポジションにはまり、関係性の循環に吸い込まれていきます。そして、一度誰かがポジションを取ると、他の人のポジションも自動的に決まってしまう。気づかないうちに、その場の関係性のフレームワークに引き込まれてしまうのです。
〇#5は特別編です
9月第2週にマレーシア・クアラルンプールで行われたロヒンギャ難民の実態調査をもとに、日経アジアの編集者であり、現在Toriiでボランティアをしてくださっている黒沼勇史さんをゲストにお迎えしました。
黒沼さんはTorii共同代表清水とインドで出会った後に2013年にインドの人身売買問題に関する記事を執筆され、その後も日経新聞記者としてバングラデシュ・コックスバザールでロヒンギャ難民を取材し続けてこられました。大学院ではロヒンギャ難民をテーマに研究もされており、長年にわたり現場と深く関わってこられた方です。今回、Toriiとしてはじめてお迎えするボランティアとして、群馬県館林やクアラルンプールで暮らすロヒンギャの人々と支援者に直接お話を伺い、調査を実現してくださいました。調査報告書は近日中にToriiの公式ウェブサイトから公開予定です。
ロヒンギャの問題はしばしば「膠着していて動かない」と語られます。しかし調査を通じて見えてきたのは、その奥に流れる人びとの想いや関係性に目を向けることで、問題を紐解き、新たな入口を開く可能性があるということでした。Toriiは、常に「人」と「関係性」にこそ前に進むための鍵があると考えています。
今回のエピソードでは、黒沼さんがこれまでの取材や研究で培ってきた視点、Toriiとの関わりのなかで感じた変化、そしてロヒンギャの人々への思いを、リスナーのみなさんとシェアします。時間の都合上、調査の細部までは触れられませんが、「人」と「関係性」に焦点を当て、その奥に流れる水脈のようなものを一緒にたどっていければと思います。
〇Part 2 ロヒンギャ難民の動かぬ現実 ― 日本・マレーシア・バングラデシュをむすぶ(ゲスト:日経アジア 黒沼勇史さん)
part2では、黒沼さんとともにロヒンギャ難民の現状を深掘りします。「ことばの水脈コーナー」からロヒンギャ問題の背景をたどり、今回実態調査を依頼した経緯を紹介。さらに、黒沼さんが群馬県館林・クアラルンプール・コックスバザールで目の当たりにしてきたロヒンギャ難民を取り囲む現状
をシェアします。
黒沼さんとの対話からみえてきたものは「ロヒンギャの問題は、戦争や紛争が終わったら解決するものではない」という厳しい現実と葛藤でした。
動かないとされるこの現実に、軽やかに前へ進めていける可能性があるとしたら、その問題やその人たちへの想いと、そこに流れる関係性が鍵だとToriiは思っています。
〇配信予定日
Part 1 :10/4 Sat 19:00
Part 2 :10/11 Sat 19:00
〇エピソード関連記事ロヒンギャ難民の第二の戦い:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23734390R21C17A1EAC000/
ロヒンギャ難民「未亡人キャンプ」の初夢:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39606400T00C19A1I00000/
〇#5は特別編です
9月第2週にマレーシア・クアラルンプールで行われたロヒンギャ難民の実態調査をもとに、日経アジアの編集者であり、現在Toriiでボランティアをしてくださっている黒沼勇史さんをゲストにお迎えしました。
黒沼さんは2013年にインドの人身売買問題に関する記事を執筆されたことをきっかけに清水と出会い、その後も日経新聞記者としてバングラデシュ・コックスバザールでロヒンギャ難民を取材し続けてこられました。大学院ではロヒンギャ難民をテーマに研究もされており、長年にわたり現場と深く関わってこられた方です。
今回、Toriiとしてはじめてお迎えするボランティアとして、群馬県館林やクアラルンプールで暮らすロヒンギャの人々と支援者に直接お話を伺い、調査を実現してくださいました。調査報告書は近日中にToriiの公式ウェブサイトから公開予定です。
ロヒンギャの問題はしばしば「膠着していて動かない」と語られます。しかし調査を通じて見えてきたのは、その奥に流れる人びとの想いや関係性に目を向けることで、問題を紐解き、新たな入口を開く可能性があるということでした。Toriiは、常に「人」と「関係性」にこそ前に進むための鍵があると考えています。
今回のエピソードでは、黒沼さんがこれまでの取材や研究で培ってきた視点、Toriiとの関わりのなかで感じた変化、そしてロヒンギャの人々への思いを、リスナーのみなさんとシェアします。時間の都合上、調査の細部までは触れられませんが、「人」と「関係性」に焦点を当て、その奥に流れる水脈のようなものを一緒にたどっていければと思います。
〇part 1ーToriiとの出会い、そしてボランティアとして体感した現場(ゲスト:日経アジア 黒沼勇史さん)
part1では、日経アジア編集者の黒沼勇史さんをゲストに迎え、Torii清水とのインドでの出会いと、初めてボランティアとして活動に関わった体験をお聞きします。2013年からToriiが取り組む現場で取材をしてきた黒沼さんが、記者ではなく「仲間」として現場に入ったとき、何を感じ、どのような問いが沸き上がったのか。黒沼さんの人となりに触れながら、Toriiが取り組む現場のリアルを見つめます。
〇配信予定日
Part 1 :10/4 Sat 19:00
Part 2 :10/11 Sat 19:00
〇エピソード内でご紹介した記事
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1803B_Y3A310C1000000/
支援の現場では、「援助する側」と「される側」の関係が固定化しがちです。
この関係性を紐解き、「エクイティベース」な関係性にシフトする上で大切なのは、誰もが自分の声に気づき、自分の意思で動くこと――つまり、オーナーシップです。
このエピソードでは、インドの現場での事例をもとに、
ソーシャルワーカーが抱える痛みと、サバイバーが示す主体性を対比しながら、「声の対等性(エクイティ)」や関係性の再構築について問いを深めます。
・支援される存在から発信する存在への変化・構造的不平等と役割の固定化・「だって〜」の声に耳を傾ける、関係性のつむぎなおし
静かな時間に耳を澄ませ、支援の現場とサバイバーの声からの学びを、改めて問うた対話をお届けします。
戦争から生まれた分断と、ふたたびつながり直すということ――
戦後80年を迎えた今も、私たちの間には戦争がもたらした分断や沈黙がたしかに残っています。
家族や国を通して受け継がれた記憶、「加害」や「被害」という単純な線引きでは語りきれない感情、そして世代を超えて受け継がれている痛み。
それらは、時に言葉にすることすらためらわれ、そっと胸の奥にしまわれてきました。
家族内で語り継がれた戦争の記憶と、一方は靖国神社や天皇による慰霊の旅、もう一方は東南アジアやアメリカでの出会いの記憶を通して見えてきたのは、「勝者」や「敗者」としての記録ではなく、世代を超えて受け継がれる戦争のトラウマです。
私たちは、歴史の大きな出来事の陰にある個人の経験や関係性に目を向けながら、「分断をこえて傷を癒し、ふたたびつながり直す」とはどういうことかを静かに対話します。
声が届かない場所で声を出すってどういうこと?――
当事者の声、構造へのアクセス、そして「聞く」ことの可能性
「声を出すこと」そのものが、時に怖くて、難しい。
誰かに話したいのに、言葉が出てこない。
それは、その人の中にあるためらいや傷つきの記憶だけでなく、年齢や立場、制度や社会の構造によって、声が届かなくなってしまう現実があるからかもしれません。
リーダーシップや発信という言葉の奥にある「声を出すという行為」について、じっくり対話します。
制度や言葉の壁を越えながら、「声が届かない構造」と「それでも声をあげる」という実践の両方に目を向け、Toriiが出会ってきた当事者たちのまなざしを手がかりに問いを深めていきます。
「難民」「被害者」「外国人労働者」――
そう呼ばれる人びとに、私たちはどんなイメージを重ねているのでしょうか。
そしてそのラベルの裏にある、ひとりひとりの声や関係は、どのように見えなくなっているのでしょうか。
このエピソードでは、先月6月20日に公開された「We Came By Sea」というドキュメンタリーフィルムに登場した、ある一人の語り手・ハッサンの変化を手がかりに、「ラベリング」がもたらす距離感や、「声が生まれる瞬間」について考えます。
それは同時に、"聞く"とはどういうことか、という問いを私たちに投げかける時間でもあります。この問いを、ぜひあなたと一緒に深めていくことができるとうれしいです。
Toriiの「ぽんと、とぶ— 静かな声と社会をつなぐPodcast」のはじまりの一歩です。
#0では、番組の趣旨や背景について、ナビゲーター行政杏奈と、Torii代表の清水友美が語り合います。
「Toriiってどんな団体?」「この番組は何を届けようとしているの?」
はじめて耳を傾けてくださる方に向けて、団体の成り立ちや清水自身のこれまでの歩み、そして番組名「ぽんと、とぶ」に込めた想いを丁寧にお伝えします。
日々の暮らしのなかで聞き流されてしまう小さな声や、まだ言葉にならない問いに、そっと立ち止まって耳を澄ませる。
そんな静かな対話の時間をともにするためのPodcastです。
番組では今後、ゲストの語りや日々の違和感、「問い」を深めていくコーナーも予定しています。
おたよりも募集しています。ご感想やご自身の中にある問いを、ぜひお寄せください。