
本日のプレイリスト:https://spoti.fi/3yjxdNS
(今回のメンバー:キョン、ソキウス)
現状、アーケードとアプリでは雲泥の差??
今回は(過去の回でもその開催が予告されていた)「音楽ゲーム」の魅力を語る回。
その歴史やデータなども参照しながら、過去配信された回で音楽ゲームに対して独特なこだわりを持っていることが見えてきたキョンとともに語っていきます。
【参照:「2011年のオタク」回( https://spoti.fi/3lliprX )、「ジャケット写真」回( https://spoti.fi/3jl0dRh )、「Remix音源」回( https://spoti.fi/3z7m1Fs )】
まずは過去の回でのキョンの発言を振り返りつつ、キョンの音ゲー遍歴をざっくりと確認。
キョンは2010年に『jubeat』という音楽ゲームと出会ったことで音ゲー沼へ。
出会ってからしばらくの間はjubeat専門でプレイしていたものの、2013年に行われた「私立BEMANI学園」という、他機種の楽曲を遊ぶことができる連動イベントをきっかけに、jubeat以外の機種もプレイするように。
その後、これらのアーケード機種だけでなく、スマホアプリでの音楽ゲームをプレイするようになったキョンは、アイドルコンテンツ由来のアプリ音ゲーの中でも特定の作品群由来のもの(「スクフェス」etc)や、台湾のRayark社製のもの(『DEEMO』etc)へと手を伸ばしていきました。
こういった遍歴から見えてくるのは、KONAMI社製の「BEMANI」シリーズと呼ばれるアーケード機種を中心に、特定のアイドルコンテンツ由来のアプリと海外勢のアプリが混ざり合っていくというキョンがプレイする音ゲーの傾向。この点についてはキョンも納得のようです。 これを受けてここからは、このキョンの遍歴をある部分で(過度な「BEMANI」シリーズ中心史観にならないような形で)相対化させようと、日本における音楽ゲームの受容史をざっくりと見ていきます。
1996年発売の『パラッパラッパー』を皮切りに、キョンが言及しなかったものの中から(KONAMI社製ではない)『太鼓の達人』や『リズム天国』といったものもピックアップ。黎明期のアーケード機種や家庭用ゲームからスマホアプリの隆盛という流れを軸とした歴史を今後の対話の前提として確認します。そのような歴史を見ていく中で、『KEYBOARDMANIA』や『ミュージックガンガン』といった機種の推語りも飛び出しました。
そしてこの対話は、キョンにとっての音楽ゲームという存在が持つ魅力の話に。
キョンは、まず「音楽を聴きたい」というのが第一にあるとしたうえで、音楽に合わせて「体を動かす」ことで得られる「軽い達成感」をその魅力として挙げます。ただこの「達成感」は、音ゲーの歴史的観点から見れば比較的初期には大きな要素であったといえる「楽器の演奏」によるものとは少し違う様子。それは体感による達成感が、主に「視覚的」な形で「直感的」に得られることが重要そうだということ。「落ちもの系」の例も挟みながら、そのキョンが考える魅力とスマホ音ゲーとの近似性についても話題は広がりました。
続いてソキウスは、楽曲の「音楽性」という意味での好みをキョンに尋ねます。
これにキョンは「ドラム」や「メロディ」といった点を挙げますが、それらとともに挙げた「DTM、EDM的なもの」という点を受けて対話の流れは少し脇道へ。
【参照:キョンから「ドラム」というキーワードが出た「NGワードトーク」の回( https://spoti.fi/3i1DnK1 )】
Remix音源回の問題意識を重ねる形で、改めてキョンの音ゲーとの関わり方を見ていきました。
この回の最後はまた別の視点で音ゲーについて語っていくために、アーケード機種/スマホアプリそれぞれで数値的なデータを参照してみることに。
まずアーケード機種の現状についてキョンの実感を尋ねてみると、そこで挙がったのが「斜陽産業」という言葉。この言葉がどの程度で実態を反映しているのかがここでの焦点になりました。
日本アミューズメント産業協会(2020; 2022)のデータを見てみると、確かにそのような「斜陽」な傾向を示す部分もあるが、「オペレーション売上高」と「製品販売高」や「設置台数(ex. 2020年度は前年比で109.5%)」を見る限りではそこまで事態は単純でないことを確認。
(cf. 店舗の「一極集中」化について考えるうえで、「業務用AM機の設置台数別店舗数の状況」[日本アミューズメント産業協会 2020; 2022]での様々な言及は示唆に富んでいる)
これらのデータを踏まえながらその実態について考えていきます。
次にスマホアプリにおけるデータとして挙げたのは、ゲームのアクティブユーザー数のランキング[ゲームエイジ総研 2021; 2022]。
こちらでもキョンの実感を尋ねてみると、「少なくともアーケードよりは隆盛している」だったり、アプリの(≒コンテンツとしての)「流行り廃り」といった言葉が挙がりました。
それを踏まえながら値を見てみると、「プロセカ」が全体の10位にランクインしていること(2021年現在) ―なお、収録後に発表された2022年版では全体の8位― や、10代以外では音ゲーはトップ10にランクインしていないこと(2021年現在)といった結果。これらのデータを受けてキョンは、音ゲーアプリが大衆での人気アプリに「食い込めている」と判断したようです。
ただこの「食い込」みが果たしてどこまで進んでいるかという点については、ソキウスはやや批判的な見解。それに関係するデータとして、約10年前に配信が始まった「スクフェス」が、10代より上の世代に人気なアプリとして(各世代でのシェア率という点で)定着していないことを挙げながら、確かにコンテンツそれ自体の流行り廃りの影響はあれども、それぞれ特定の時期における若い世代での「食い込」みが、(現在でもシリーズ展開が盛んである『ラブライブ』シリーズでこの状況だということは、)そのような世代が成長した後の時期基準で考えるとあまり影響を及ぼしていない可能性についてソキウスは言及。
この可能性を「懸念」しているソキウスと、そこまで「懸念」する必要はないと考えるキョンとの差が鮮明になりました。
【本日の一曲】
毎回最後に1分以内で今紹介したい1曲を持ち回りで語ってもらう「本日の一曲」。
今回はキョンが、実は今回の内容と関係がある楽曲を紹介。
キョンの音ゲー経験の中で重要な意味を持ってます。
【今回のキーワード】
音楽ゲーム/『jubeat』/「BEMANI」シリーズ/アイドルコンテンツ×音ゲー/(日本における)音楽ゲームの歴史/「体を動かす」ことで得られる「軽い達成感」/楽器の演奏/直感的な操作で出来る音ゲー(「落ちもの系」)/「DTM・EDM的なもの」/アーケード機種の「斜陽産業」化の可能性/店舗の一極集中/スマホアプリの流行り廃り/スマホ音ゲーにおける10代のシェア率/POLYSICS
【参考資料】
ゲームエイジ総研, 2021, 「2021年ゲームアクティブユーザ数ランキング 総合1位は『LINE:ディズニーツムツム』 ~2021年を最も賑わせたアプリは『ウマ娘 プリティーダービー』~」(2023年2月11日取得,https://www.gameage.jp/release/report/index_034.html).
――――, 2022, 「2022年モバイルゲームアクティブユーザー数ランキング 2022年新作アプリ1位は『勝利の女神:NIKKE(ニケ)』 ~2022年は男性向けゲームが躍進~」(2023年2月11日取得,https://www.gameage.jp/release/report/index_050.html).
日本アミューズメント産業協会, 2020, 「2018年度アミューズメント産業界実態調査 要約版」.
――――, 2022, 「2020年度アミューズメント産業界の実態調査」『JAIAプレス』52: 1-10(2023年2月11日取得,https://jaia.jp/2022-7/).