
マクラ:
●「明日 Tool の話をしよう」と思って寝たら夢の中にメイナード・ジェームス・キーナンが出てきた話
●Tool や A Perfect Circle の曲は、同じ半音昇降フレーズでも完全五度・短6度かルート・短2度かによってモーダリティの意味合いが異なり、その半音フレーズを使用したヴォーカル主体の調性拡張を行うことが多い
●ギリシア由来の9拍子パターン “Karsilama” で『Jambi』を唄ってみよう
●Tool の楽曲を聴いて「中東っぽい・インドっぽい」と軽々しく考える人たちは、そのリズムやモードの名前までちゃんと特定したうえで言ってください
●漢語・英語・日本語の構文特性を踏まえたうえで、メイナードの文体の特異性に言及する
本題:『Fear Inoculum』歌詞読解
●主話者と「詐欺師」1対1の差し向かいだったところに「第3項」が介入する。その瞬間に “Inoculated” が宣告される
●メイナードは自作の詞中で「世の好ましからぬ精神性を代弁する」ことがあるので、『Fear Inoculum』の「詐欺師」も本当に追い払うべき存在なのか確定できない(カヴァフィス『野蛮人を待ちながら』が反転したようなテーマとして解釈しうる)
●ヘイトスピーチや排外主義に流れてしまうのは、他者を怖がっているのではなく、むしろ恐怖に直面し外部の存在への抗体を獲得することを避けてきた人間たちである
●「自分の中にある他者への恐怖を削除し、同じくらいまずい状況にある他者をも避難させる」という『Fear Inoculum』のテーマは、『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』第6〜7巻と全く同じである
●「強くて賢い他者と向き合う」こと無しに優れた世界など生まれるわけがない
●排外主義やレイシズムを問題視するふりをして・実際にはそれらの問題を大事に保存する役割を果たしているだけの者は、内部に蛆や蝿が沸いた冷蔵庫と同じである。自分の「詐欺師」に絆されるな。まさにその、他者たちへの恐怖を削除し・他者の存在自体は助ける術を教えてくれるのが『Fear Inoculum』である
関連稿:
https://note.com/integralverse/n/n8a624b29b88c
https://note.com/integralverse/n/n91739a412c60
https://note.com/integralverse/n/n69425e7596e5
関連動画:
https://www.youtube.com/watch?v=_Spl7dR5Y68
https://www.youtube.com/watch?v=gunO6hMKO5w