
別れた相手に「香水が欲しい」と言われまして、正直、最初は意味がわかりませんでした。
どういう神経でそんなことを言うのかと、戸惑いもありましたが──結局、私は“調香体験”を予約していました。
せっかくなら、売っているものより面白いものを作りたいと思ったのです。
調香師の方と1対1でカウンセリングをして、トップノート・ミドルノート・ベースノートを一つずつ選んでいきました。
ホームパーティーで、その香水を彼女に渡すと、その場でつけて、「いいね」と笑っていましたが、今でも、あの笑いの意味はわかりません。
ただ、あのとき作った香りが、どこかでまだ漂っているのだと思うと、不思議と少し誇らしい気持ちになります。
理解できない人の行動ほど、記憶に残るものですね。
【クレジット】
メイン語り:野口タランチュラ
https://note.com/nogutara
聞き役:竹内ボンジュール
https://note.com/takebonjour
お借りしたBGM:『週末京都現実逃避』/ しゃろう 様