
Nutrients. 2020 Jan 31;12(2):374.
doi: 10.3390/nu12020374
Effects of 12-Week Ingestion of Yogurt Containing Lactobacillus plantarum OLL2712 on Glucose Metabolism and Chronic Inflammation in Prediabetic Adults: A Randomized Placebo-Controlled Trial
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7071174/
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■AI要約(誤字はご勘弁ください)
内科医たけお氏が、最近話題になっている「ヘモグロビンA1c(HbA1c)が下がるヨーグルト」について、その科学的根拠とされる論文を詳しく解説しました。
### 論文の概要と信頼性
紹介された論文は、栄養学系の学術誌「Nutrients」に掲載されたものです。この研究は「ランダム化プラセボ対照二重盲検試験」という、医薬品の効果を検証する際にも用いられる非常に信頼性の高い手法で実施されました。たけお氏は、論文の質自体は非常に高く、厳格なデザインであると評価しています。
研究は、糖尿病予備群(HbA1c 5.6~6.4%)の成人130名を対象に行われました。被験者を2つのグループにランダムに分け、一方には特定の乳酸菌「Lactobacillus plantarum OLL2712」を含むヨーグルトを、もう一方にはこの乳酸菌を含まない見た目も味も同じプラセボ(偽薬)のヨーグルトを12週間毎日摂取してもらいました。研究者も被験者もどちらを摂取しているか分からない「二重盲検」という方法で、思い込みによる影響(プラセボ効果)を厳密に排除しています。
### 研究の結果
12週間後、事前に設定した主要な評価項目であるHbA1cの変化を比較したところ、プラセボ群が平均で0.07%低下したのに対し、乳酸菌入りヨーグルトを摂取した群は平均で0.12%低下しました。両群の差である0.05%は、統計学的に「偶然とは考えにくい意味のある差(有意差あり)」という結果でした(p=0.047)。
しかし、もう一つの主要評価項目である空腹時血糖値や、インスリン抵抗性を示す指標(HOMA-IR)については、両グループ間に有意な差は見られませんでした。
### 話者の考察と注意点
たけお氏は、この研究デザインの質の高さを認めつつも、結果の解釈には注意が必要だと指摘します。最大のポイントは、「統計学的な有意差」が必ずしも「臨床的に意味のある差」とは限らないという点です。
HbA1cの0.05%という低下量は、日常の食事内容の少しの変化でも起こりうる非常にわずかな変動です。糖尿病の治療薬であれば、0.5%や1%以上の大きな低下を目指すことが一般的であり、それと比較すると臨床的なインパクトは小さいと言わざるを得ません。
また、統計的な有意差を示すp値も0.047と、基準である0.05をギリギリクリアした値であり、この点からも結果を過大評価すべきではないと述べています。
### 結論
このヨーグルトに含まれる乳酸菌が、HbA1cをわずかに下げる可能性は科学的に示されました。しかし、その効果は限定的であり、このヨーグルトを食べるだけで血糖コントロールが劇的に改善するわけではありません。あくまで食事療法や運動療法といった基本的な生活習慣改善の補助的なものとして捉えるのが適切でしょう。