天才と誉れ高い、戦後日本文学の孤高のスター・安部公房。
文壇とは距離を取り続けていた彼は独自の思考を深めていました。 その作品群の中でも問題作と言われているのが、1973年『箱男』です。
読者を惑わすメタフィクション構造。 あまりに突飛な設定。 しかし今回注目するのは、社会から逸脱し社会を観察し続ける箱男が、私たちの生きるこの世界をどのように批評しているのか。 箱男の目線を借りて、段ボールの覗き穴から見るようにして、この社会の隠れた側面を捉えてみましょう。