
『放課後カグラジオ』第8回へようこそ。
「不器用」「運動が苦手」といった言葉で片付けられがちな子どもたちの困難の背景に、発達性協調運動障害(DCD)が隠れていることがあります。今回は、そんなDCDを持つ子どもたちの学校生活に焦点を当てた症例報告を深掘りします。
この研究で検証されたのは、VR技術を用いた体性認知協調療法(SCCT)の効果です。SCCTは、VR空間であえて自己の身体を見せずにリーチング運動を行い、運動協調性の改善を目指す治療法です。
7歳から12歳のDCD児童5名にSCCTを実施したところ、片脚立位やタンデム歩行といったバランス機能の即時改善に加え、「縄跳び」や「書字」といった具体的な学校生活技能の向上も見られたと報告されています。
一つの介入が、身体機能だけでなく、子どもの自己肯定感にも繋がりうる学校での成功体験にどう結びつくのか。小児リハビリに関わる全ての方に聴いていただきたい内容です。
【参考】我妻 朋美, 村川 雄一朗, 影近 卓大, 新本 啓人, 原 正彦, 学校生活に困難さを抱える小児発達性協調運動障害に対する仮想現実技術を用いた体性認知協調療法の検討, 神経治療学, 2024, 41 巻, 4 号, p. 697-701,