
呼吸という身体運動は、いくつかのパートに分けることができる。吸う、吐く、さらには止めるという状態がある。息の止め方も喉を開けるか閉めるかで区別できる。
さらに呼吸の折返しという特異点もある。そのどこに着目するかで、さまざまな呼吸法をデザインできるのだ。
ヨーガでは息を止めることを重視し、クンバカと呼んで研究を重ねた。「吸い」「止め」「吐き」のさまざまな比率を試みた呼吸法は、ヴィシャマ・ヴリッティ・プラーナーヤーマと呼ばれる。なかでも「1:4:2」の比率には、特別な効用を発見したとされる。
私はこの呼吸法が、管楽器や声楽のウォーミングアップとして使えることを知り、練習プログラムを整理してみた。実践を重ねるうちに、それが健康法や発想法としても効果があることに気づいた。
本書では、現代的な1:4:2の呼吸プログラムとして「トマト呼吸法」をご紹介する。最初は手軽に練習できるショートバージョンを、つづいて本格的な呼吸トレーニングとして上級メニューを試していただく。
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