ウォームアップは、準備運動を意味する。たとえばスポーツの練習や試合に向けて、最適な状態を作り出す目的で行なわれる。楽器演奏や歌唱においても、パフォーマンスレベルを上げるためにウォームアップは重視される。
一般にウォームアップは、全身の血行を改善することで、「冷えて固い」身体を「温かく柔らかい」状態に変化させる。呼吸法と組み合わせて行なうことで、血中へ酸素を積極的に取り入れることもできる。
身体状態が変わることは、心理にも影響を及ぼす。活力、やる気、闘気を高める効果が期待できる。身体的ウォームアップは、心理的ウォームアップにもなるのだ。
心身を温める「ウォームアップ」に加えて、明晰な判断力を導く「クリアアップ」、ゆるぎない自信をもたらす「スティルアップ」を合わせて行なうことで、さらにレベルの高い準備が整う。呼吸法はそれらをつなぐ強力な手段となる。
本書『ウォームアップ〜呼吸法にできる5つのこと〜』では、呼吸学校で紹介している5つの基本ワークを、上記の「3アップ」と関連付けながら解説してゆく。
1.チャイルドタイム(心身を落ち着ける)2.ショルダリング(肩まわりをほぐす)3.フィッシュスイム(背骨まわりをほぐす)4.ボトミング(骨盤底筋群をめざめさせる)5.ヒフミフヒ(呼吸筋群をめざめさせる)
また、アップ効果を高める以下2つの上級ワークについても説明する。
6.SOシフト(主客転倒による運動の高度化)7.MOT(呼吸筋群を強化する)
⚫︎電子書籍で読む『ウォームアップ〜呼吸法にできる5つのこと〜』
明治時代以前の日本人の驚異的な体力について考察します。それはおもに伝統的な日本の低タンパク・低脂肪・高炭水化物の食事によるものではないかと論じています。
特に、ドイツ人医師エルヴィン・フォン・ベルツによる人力車夫の食生活と体力に関する実験がくわしく紹介されており、西洋の肉食中心の栄養学が日本人には適さないという彼の結論が強調されています。
しかし明治政府はベルツの研究結果よりも西洋の栄養学を採用し、「富国強兵」の一環として食生活の欧米化を推進したと指摘されています。この西洋中心の食生活への移行が、かつての日本人の強靭な体力を失わせた要因であると示唆しています。
※沢庵をツァワヤン、絵空事をエクラジと誤読していますのでご注意ください。
米国の3つの価値観層:伝統派、モダン派、カルチュラル・クリエイティブスの特徴に関する報告書
本報告書は、LOHAS(Lifestyles Of Health And Sustainability)という概念の源流である、米国の価値観に関する調査研究を解説するものである。
この概念は、米国の社会学者ポール・レイと心理学者シェリー・アンダーソンが著書『The Cultural Creatives』(カルチュラル・クリエイティブス)の中で提唱した。
彼らは10年以上にわたり15万人を対象とした調査を実施し、その結果から米国社会には主に3つの価値観に基づく層が存在することを発見した。
それは「伝統派(Traditionalists)」「モダン派(Modernists)」、そして「カルチュラル・クリエイティブス(Cultural Creatives)=生活創造者」である。LOHASとは、調査当時、米国成人の26%を占めたカルチュラル・クリエイティブスのライフスタイルを指す言葉である。
本報告書では、これら3つの層が持つ、それぞれに異なる価値観と特徴について詳述する。
ただし、これらはあくまで抽出された「モデル」であり、実際の個人はこれらの価値観を様々な割合で組み合わせた、より複雑な世界観を持つと理解する必要がある。
1. 伝統派 (Traditionalists) の特徴
1.1. 社会的・道徳的価値観 (Social and Moral Values)
この層の価値観は、厳格な家父長制と伝統的な道徳規範に深く根差している。• 家父長が家族を支配するべきだと考える。
• フェミニズムを嫌う。
• 男女はそれぞれ伝統的な役割を全うすべきだと信じている。• ポルノグラフィ、10代のセックス、婚外交渉、人工中絶の禁止を求める。
1.2. コミュニティと国家観 (Community and National Views)
所属意識と愛国心が、彼らのアイデンティティの中核を形成している。
• 家族、教会、地域社会への所属を重視する。
• 男性は軍隊に入隊し、自国に誇りを持つべきだと考える。
• 外国人に対しては排他的な姿勢をとる。
1.3. ライフスタイルと信条 (Lifestyle and Beliefs)
彼らの信条は、宗教的教義と伝統的な生活様式への強いこだわりを特徴とする。
• 人生におけるすべての導きは聖書にあると信じている。
• 大都市や郊外よりも、田舎や小さな町での暮らしの方が道徳的であると考える。
• 不道徳な行為を制約することは、市民の自由よりも重要であると見なす。
• 武装する自由を重要視する。
2. モダン派 (Modernists) の特徴
2.1. 中核的価値観と世界観 (Core Values and Worldview)
モダン派の世界観は、物質主義、実利主義、そして科学技術への絶対的な信頼によって定義される。
• 物質主義を信奉する。
• 自己実現や内面的・精神的な生活には無関心である。
• 利他的な考え方や理想主義を持たない。
• 理想主義ではない。
• 人間関係を重視しない。
• 政治に対しては冷笑的(シニカル)な態度をとる。
• 科学と技術が真実であると信じている。
• 人間の肉体やほとんどの組織は、機械のようなものだと捉える。
2.2. 経済・キャリア観 (Economic and Career Views)
モダン派の成功観は、金銭的な富とキャリア上の地位を絶対的な指標とする、明確な階層志向に基づいている。
• 人生において成功を最も優先する。
• 目標に向かって成功の階段を上ることに集中する。
• 多くの金銭を所有し、「時は金なり」を信条とする。
• 経済的および技術的な進歩を重視する。
• 大企業や政府が最善の判断を知っていると信頼する。
• 富裕であることを尊敬し、重視するのは正しいことだと考える。
• 大きいことはいいことだと考える。
• 目標を設定することは重要で効果的だと信じている。
2.3. ライフスタイルと問題解決 (Lifestyle and Problem-Solving)
彼らのライフスタイルは効率性、外見、そして合理的な分析を最優先する。
• 身なりを重視し、スタイリッシュで最新のトレンドを追い求める。
• 効率とスピードを最優先する。
• 問題解決の最善の方法は分析であると信じている。
• 地域住民、田舎の人々、伝統、ニューエイジ、宗教といった価値観を否定する。• メディアが提供する娯楽を好む。
3. ロハス派=カルチュラル・クリエイティブス (LOHAS / Cultural Creatives) の特徴
3.1. 中核的価値観と世界観 (Core Values and Worldview)
この層の価値観は、非物質主義、自己実現、そして本物志向に根差しており、内面的な豊かさを追求する。
• 非物質主義的な世界観を持つ。
• 自己実現と理想主義を志向する。
• 人間関係を大切にし、成功は高い優先事項ではない。
• 出世には関心がない。
• 宗教的神秘を信じる。
• 自然は神聖なものであると考える。
• 結果よりもプロセスを重視する。
• 本物志向であり、プラスチック製品、偽物、模造品、ハイファッションを嫌う。
• 未来に対して楽観的である。
3.2. 社会・政治への関与 (Social and Political Engagement)
彼らは社会課題に対して強い当事者意識を持ち、積極的な関与を通じて持続可能な未来を目指す。
• 環境保護と持続可能な社会の実現を支持する。
• 利他的で、ボランティア活動に積極的である。
• 社会的な活動家でありたいという願望を持つ。
• 政治に対して冷笑的ではない。
• 技術の進歩にはあまり関心がない。
3.3. ライフスタイルと消費行動 (Lifestyle and Consumer Behavior)
消費行動は慎重かつ意識的であり、生活においてはシンプルさと質の高さを両立させることを重視する。
• シンプルな生活様式(シンプルライフ)を支持する。
• 購入前には情報を吟味する慎重な消費者である。
• 家族や友人と質の高い時間を過ごすことを重視する。
• 食への関心が非常に高く、新しいレストランでの外食、自炊、エスニック料理などを楽しむ。
• 日本車など、燃費の良い自動車を好んで使用する。
• 子供の教育、保育、家庭の福祉に高い関心を持つ。
3.4. 住居と旅行 (Housing and Travel)
住居や旅行においては、ステータスよりも本質的な価値や体験を求める傾向が顕著である。
• 新築住宅よりも、緑が多くプライバシーが保たれる古い住宅地を好む。
• ステータスを誇示するような外観(例:円柱のある家)を嫌い、正統的で本質的なデザインを求める。
• 旅行を非常に好み、特に異国情緒があり、冒険的(ただし危険ではない)、教育的で、本物の体験ができる精神的な旅を求める(例:エコツーリズム、パッケージ旅行では行かない場所への旅、マヤ文明の再建を手伝うツアーなど)。
3.5. 健康と文化への関心 (Interest in Health and Culture)
心身の統合的な健康と、知的好奇心を満たす文化活動への強い関心を特徴とする。
• 心、身体、精神が一体となったホリスティックな健康観を持つ。
• 健康的な食生活や代替医療による予防医学に関心を持ち、なるべく薬に頼らない。
• 読書を好み、大衆を誤解させるようなテレビ番組は嫌う一方で、良質な情報を得るためにラジオをよく聴く。
• 芸術や文化活動に非常に積極的である。• 物事の背景にあるストーリーや詳細な情報(うんちく)を好む。
4. 結論
本報告書では、ポール・レイとシェリー・アンダーソンの研究によって特定された、米国の3つの主要な価値観層(伝統派、モダン派、カルチュラル・クリエイティブス)の際立った特徴を概説した。
重要な点として、これらは概念的なモデルであり、現実の個人はこれらの価値観を様々な割合で内包している。そのため、実際には無数とも言える多様な個人の世界観が存在すると考えられる。
ローレンス・ブリットによる「ファシズムの初期症候」14項目をチェックリストとして使い、各国の各時代の政治社会状況を10点満点で評価します。
点数が高いほどファシズム傾向が強いことを意味します。この評価を元に、2025年時点のロシア、中国、アメリカ、そして日本の状況を分析します。
1.強情なナショナリズム
2.人権の軽視
3.団結のための敵国づくり
4.軍事の優先
5.性差別の横行
6.マスメディアのコントロール
7.国家の治安に対する執着
8.宗教と政治の癒着
9.企業の保護
10.労働者の抑圧
11.学問と芸術の軽視
12.犯罪の厳罰化への執着
13.身びいきの横行と腐敗
14.不正な選挙
荘子に、以下の言葉がある。
真人の息は踵(くびす)を以てし衆人の息は喉(のど)を以てす
踵はカカトのこと。普通の人は喉のあたりで浅い呼吸をするが、すぐれた人はカカトまで吸うように深い呼吸をするという意味だ。気功には「足裏から息を吸い上げる」呼吸法もある。
トランペット奏者のメイナード・ファーガソンは、講習会で「太ももまで息を吸いなさい」と言った。背骨から両脚を吊るような構造の大腰筋は、大腿骨上部に付着している。そのため息を深く吸ったときに、太ももの付け根あたりに刺激を感じる場合があるのだ。
腹式呼吸が推奨される大きな理由のひとつは、深く息を吸うことである。ファーガソンは腹を越えて太ももまで息を吸い、荘子にいたっては踵まで動員する。身体性を極めてたどり着いた境地、それが脚式(きゃくしき)呼吸であり踵式(しょうしき)呼吸だろう。
本書で取り組むのは、胴体「底」の筋肉群を操作する、いわば底式(ていしき)呼吸だ。これもまた、腹式を越えた深い呼吸を得るための技術である。脚式や踵式とは別系統のトレーニングだが、ヨーガ、座禅、気功にも見られる伝統的な身体操作だ。
底式呼吸の奥深さ、可能性の広がりなど、その魅力を存分に味わっていただきたい。
※今回はAIによる読み間違いがたいへん多いです。声楽をコエガク、荘子をショウフあるいはソウカ、身体の要(かなめ)をカラダノヨウ、脚式呼吸(きゃくしきこきゅう)をキッキャクシキコキュウ、踵式呼吸(しょうしきこきゅう)をケドシキコキュウ、底式呼吸(ていしきこきゅう)をドクシキコキュウやソコシキコキュウ、底腹連動(ていふくれんどう)をテイハラレンドウやソコハラレンドウ、2番をフタバン、底腹独立(ていふくどくりつ)をソコハラドクリツと誤読しているところがありますのでご注意ください。
⚫︎電子書籍で読む『底式呼吸 〜骨盤底に眠る獅子〜』
意識はデザインできる。しかし意識は見えないし、触れることもできない。とらえどころのない意識なるものを、どうやってデザインするのか。
人類は意識というテーマに向き合い、そのアプローチをさまざまな形で記録に残してきた。ヨーガ、禅、気功、瞑想、哲学、宗教、生物学、医学、心理学など、各分野で表現に違いはあるものの、意識には構造があり、操作が可能であることがわかる。
ここでは「意識」と呼んでいるが、同様のものを表現する言葉はたくさん存在する。心、精神、意思、意志、意図、思考、想像、空想、思い、考え、思想、思惟、観念、構想、アイデア、印象、感じ、気分、記憶、イメージ、フィーリング、メンタル、主観、感情、感動、情動、認識、自覚、知覚、感覚などなど。
さらに、意識、前意識、無意識、顕在意識、潜在意識、超意識、中心意識、周辺意識、上意識、下意識、末那識、阿頼耶識、現象的意識、メタ認知、コスト意識、プロ意識など、多種多様な分類や用語が存在する。
分野によって、文脈によって、あるいは個人の言語センスによって、それらは独自の意味とニュアンスを持つ。本書ではそれらの総称を「意識」と呼んでいる。そして意識を自身の計画に基づいて望みの形状、運動、質感などに導くことを「デザイン」と表現している。
意識デザインはきわめて大きなテーマであり、一度にすべてを語り尽くすことはできない。ここでは、呼吸法との関係において、意識の状態(ステイト)をどのように調整するかについて、可能な限り論理的に解説することを試みた。
※外垂芯吊(がいすいしんちょう)をソトスイシンツリなどと誤読していますのでご注意ください。
⚫︎電子書籍で読む『風と凪〜呼吸による意識デザイン〜』
私たちは、水と呼吸で生きている。生命維持に大切なものは何かと問われれば、筆頭に来るのは呼吸であり、2番目が水である。動物はもとより植物も、水と呼吸なくして生きることは不可能だ。
私が呼吸法を学び始めたきっかけは、トランペット奏者のメイナード・ファーガソンである。1990年代初め、私は音楽プロモーターとしてファーガソン楽団と一緒に日本ツアーをしていた。
ある日の公演前、夕食を終えたメイナードが、私に向かってこう言った。「地球上に暮らす人類の95%が正しい呼吸をしていない。私が歳をとってからもこうして元気でツアーができるのは、インドのヨーギに習った呼吸法のおかげさ」と。
当時のメイナードは60代前半だったから、それほど高齢とは言えない。しかし彼の言葉は、30代になったばかりの私にとって印象深く、呼吸法に強く興味を覚えた。
それから私の呼吸法研究が始まった。道場に入門し、セミナーへ通い、書籍やビデオを通じて、ヨーガ、気功、運動科学などさまざまな呼吸法を学んだ。その多くにおいて出会ったキーワードが「水」である。液体としての身体を感じろ、水になれ、と。こうして私の関心は、「水」と「呼吸」に向かい始めた。
2000年頃から、友人・知人らとともに呼吸法勉強会を始め、メソッドには「ウォーター&ブレス」と名付けた。その日本語名が「水の呼吸」というわけだ。
水の呼吸シリーズ各書籍では、個々のワークや考え方について解説している。いわば各論である。しかし本書『水と呼吸の王国〜身体はテーマパーク〜』においては、「水の呼吸」の全体像を描き出してみたい。
⚫︎電子書籍で読む『水と呼吸の王国〜身体はテーマパーク〜』
SDGsNo.17「パートナーシップで目標を達成しよう」をテーマとして、高校生が自分たちの将来構想を授業で発表します。
その基礎資料としてスパイラログのシミュレーションを用います。授業で披露するプレゼンテーション用の動画を作成しました。
⚫︎フルテキストを読む
https://www.wpjapan.com/SDGsNo.17_PDF.pdf
SDGsNo.16「平和と公正をすべての人に」をテーマとして、高校生が自分たちの将来構想を授業で発表します。
その基礎資料としてスパイラログのシミュレーションを用います。授業で披露するプレゼンテーション用の動画を作成しました。
⚫︎フルテキストを読む
現代社会のストレスからか、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害などを覚える人は少なくないという。それらの「睡眠障害」に対して、良質な睡眠を得るさまざまな方法が研究されている。
コーネル大学の社会心理学者ジェイムズ・マースによって提唱された「パワーナップ」は、15〜30分程度の仮眠である。時間あたりの効用を最大化する睡眠法とされる。これは一日に必要な睡眠時間を分割して取る多相睡眠であり、睡眠不足を補う効果があるとか。
呼吸法もまた睡眠と深く関わっている。スムーズに眠りへ誘う導入法として有名なものに、アリゾナ大学のアンドルー・ワイルが提唱した「4-7-8呼吸法」がある。
水の呼吸では、「水の質感」を用いて熟眠へ誘導する呼吸プログラムが用意されている。本書においては仮眠を素材として、高品質かつ効果的な入眠法について考察してみたい。
※「力み」をチカラミと誤読している箇所がありますのでご注意ください。
⚫︎電子書籍で読む『入眠呼吸〜20分の良質な休息〜』
SDGsNo.15「陸の豊かさも守ろう」をテーマとして、高校生が自分たちの将来構想を授業で発表します。
その基礎資料としてスパイラログのシミュレーションを用います。授業で披露するプレゼンテーション用の動画を作成しました。
⚫︎フルテキストを読む
https://www.wpjapan.com/SDGsNo.15_PDF.pdf
SDGsNo.14「海の豊かさを守ろう」をテーマとして、高校生が自分たちの将来構想を授業で発表します。その基礎資料としてスパイラログのシミュレーションを用います。授業で披露するプレゼンテーション用の動画を作成してみました。
フルテキストを読む
https://www.wpjapan.com/SDGsNo.14_PDF.pdf
アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念に「フロー」がある。そのときやっていることへ完全にひたりきり、すべてがうまくいっていると感じる精神状態である。
スポーツ世界では、集中力が極限まで高まったとき、周囲の景色や音が意識から消えるという。この状態を「ゾーンに入る」と表現する。究極のフロー状態がゾーンであるとする場合もある。
東洋的修行法においては、意図的にゾーンへ到る技法が追求されてきた。ヨーガ、密教、禅、神道でさまざまなアプローチが試みられ、それは武術、能、茶、書、華など諸芸に大きな影響を与えたとされる。
呼吸法においても、この種の体験に至ることがある。とかく神秘化されがちなこの現象を、水の呼吸では「主客転倒」が起きていると考え、これをSOシフトと呼ぶ。
いったんそれが理解できると、スポーツ、武術、各種教典で伝えられる超絶体験や常識を超えた逸話が、我々の暮らす日常と地続きであることに気づく。
本書『主客転倒〜呼吸が根底から変わる〜』では一歩ずつ段階を踏まえ、主客が転倒した不思議な呼吸世界について、可能な限り論理的に解説したいと思う。
⚫︎電子書籍で読む『主客転倒〜呼吸が根底から変わる〜』
呼吸学校で実習する基本の呼吸法は「ヒフミフヒ」である。呼吸の長さを1小節(4拍)から2小節(8拍)、3小節(12拍)と伸ばしていき、そこからまた2小節、1小節と短くする。テンポは46なので、1セットは約2分間となる。
短い呼吸から長い呼吸へ変化し、また短い呼吸に戻るので、身体への負荷が小さい。初心者にも取り組みやすい方法だ。ウォーミングアップや気分転換など、さまざまな場面で使い勝手がいい。
しかしこのシンプルな呼吸法に、トレーニング項目を追加することで、どんどん高度なメソッドになっていく。本書では、ヒフミフヒの初級から上級までをご紹介する。読者には呼吸法の奥深いゆたかさを、たっぷり味わっていただくことになる。
※拍をヒャクやピャク、会陰をカイン、極上をキョクジョウ、力みをチカラミと誤読している箇所がありますのでご注意ください。
⚫︎電子書籍で読む『ヒフミフヒ〜呼吸法の初級から上級へ〜』
呼吸は心理状態に大きな影響を及ぼす。心理もまた呼吸を左右する。両者の間には自律神経が介在している。
自律神経は不随意的な神経系であり、循環、消化、発汗、体温調節、内分泌、生殖、代謝、呼吸などを制御する。闘争か逃走か(fight or flight)に総称される恐怖心との関連が深い。
無意識の呼吸も自律神経の管轄下にある。しかしながら、呼吸は意識的に行なうことができる。そのため呼吸を操作して自律神経に働きかけ、心を操作できることに人類は気づいた。かくして呼吸法が各方面で研究されてきたのである。
とりわけ武術において心身のコントロールは生死を分けるため、不動心や平常心が重視され、これを獲得する技術が探求されてきた。丹田と呼ばれる下腹部の装置が大切にされるのも、この文脈に位置づけられる。
本書では、丹田と並んで心理操作に大きな役割を果たす「身体の芯」について考える。芯もまた意識のあり方と深く関わる。身体に芯を確立して不動心を身につけた先人に学び、その現代的トレーニング法を整理したい。
荘子にいわく「君子の交わりは淡きこと水の如し、 小人の交わりは甘きこと醴の如し」。立派な人物の交際は水のようだが、つまらない人の交際は甘酒のようにベタベタしている、という意味だ。
絆や仲間意識が強調され、強い同調圧力がかかる日本社会において、自らの道を歩むために心の護衛手段を持つことは重要である。他者の影響を最小限にとどめ、和して同ぜずの境地に至る。身体に確固たる芯を立てる技法が、その一助となれば幸いである。
※外柔芯剛をソトジュウシンゴウ、三節直列をミッツセツレツ、足節をアシセツ、着眼大局をチャクガンダイキョク、大樹をダイジュと誤読している箇所がありますのでご注意ください。
⚫︎電子書籍で読む『十二節〜同調圧力を受け流す呼吸法〜』
「DEI(多様性、公平性、包摂性)」と「均質性、不平等、排除」、あるいはや「自由、平等、博愛」と「秩序、序列、勧善懲悪」はそれぞれ二項対立ではなく、相互に補完し合うものではないか。そんな考察をわかりやすくまとめてみました。
腹式呼吸には四種類ある。この主張に対する反応は二分されるだろう。「四つもあるのか?」と「四つしかないのか?」だ。
どちらも当然のリアクションである。それらの疑問に対する回答は同じで、呼吸法はいかようにも分類できる、となる。したがって本書で採用した四種類は、無数にある分け方のひとつにすぎないことを、最初にお断りしておく。
ではどういう基準でグルーピングしたのか。ここでは「息を吐くときの腹部の状態」に着目した。横軸に腹部が「ふくらむ/へこむ」を、縦軸には腹部が「動く/動かない」を置く。これによって腹式呼吸は以下の四種類に分類される。
※声楽をコエガク、腹式をハラシキ、広大なをヒロダイナ、指し示すをシシシメスと誤読している箇所がありますのでご注意ください。
呼吸という身体運動は、いくつかのパートに分けることができる。吸う、吐く、さらには止めるという状態がある。息の止め方も喉を開けるか閉めるかで区別できる。
さらに呼吸の折返しという特異点もある。そのどこに着目するかで、さまざまな呼吸法をデザインできるのだ。
ヨーガでは息を止めることを重視し、クンバカと呼んで研究を重ねた。「吸い」「止め」「吐き」のさまざまな比率を試みた呼吸法は、ヴィシャマ・ヴリッティ・プラーナーヤーマと呼ばれる。なかでも「1:4:2」の比率には、特別な効用を発見したとされる。
私はこの呼吸法が、管楽器や声楽のウォーミングアップとして使えることを知り、練習プログラムを整理してみた。実践を重ねるうちに、それが健康法や発想法としても効果があることに気づいた。
本書では、現代的な1:4:2の呼吸プログラムとして「トマト呼吸法」をご紹介する。最初は手軽に練習できるショートバージョンを、つづいて本格的な呼吸トレーニングとして上級メニューを試していただく。
⚫︎電子書籍で読む
SDGsNo.13「気候変動に具体的な対策を」をテーマとして、高校生が自分たちの将来構想を授業で発表します。その基礎資料としてスパイラログのシミュレーションを用います。授業で披露するプレゼンテーション用の動画を作成しました。
ラジオ体操の深呼吸では、息を吸うとき身体を開き、吐くときには身体を閉じる。
ところがこれとは逆の身体操作を行なう呼吸法が存在する。すなわち、吸うとき閉じ、吐くとき開くものだ。
私は30年近くにおよぶ呼吸法研究の過程で、この「閉じながら吸い、開きながら吐く」方法の重要性に気づき、閉吸開呼(へいきゅうかいこ)と名付けた。
それは気功、瞑想、宗教行法のそこここに発見できた。身体を開いたり閉じたりする方法もあれば、意識だけを開閉するものもあり、バリエーションは豊富である。
それらは独立した練習法としてカリキュラム化されていることはまれで、型稽古の中に潜在プログラムとして内包されるケースが多い。
水の呼吸においては、「くらげ呼吸法」の一部に閉吸開呼が登場する。本書ではさらに踏み込んで閉吸開呼を単独で取り上げ、その理論と方法を整理したい。
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