【使命感を受けた人生】
サムエルの人生で特筆すべき出来事は、幕屋で老祭司エリと寝起きをともにしていたとき、ある夜、「サムエル、サムエル」と呼びかける声を聞いて飛び起き、老師エリの安否を気遣って彼のもとに走ったことです。
このとき、3回も同じことがあり、その都度、少年サムエルは理屈抜きで飛び起きて、老師エリの寝床に走ったのです。それは、老師エリに対する忠実でありたいという気持ちと老体を気づかう少年の純粋な気持ちのあらわれでしょう。
老師エリは、3回目の時、それは神が少年サムエルを呼んでいるのだと気づいて、サムエルに、次に声を聞いたら神にお答えするように教えるのですやがて、神が「サムエル、サムエル」と呼びかけられたとき、サムエルは「お話ください。しもべは聞いております」と答えた事は有名な話です。
こうして、彼は神の預言者となる命令を神から受けるのです。人生において、自分の個人的な欲望のレベルを超えた一つの使命感を心の中にもつことのできた人は、成功を約束されているといえるでしょう。
使命感を持たない人生は、往々にして人間の持つ本能的欲望の充足だけに終わる危険性が高いといえるでしょう。
そして、その使命感は、厳しい自己訓練の中で生まれてくるものであって、自己中心的な生活の中からは決して生まれないものであることは、肝に銘じておくべきなのです。
サムエルに与えられた神からの使命感は、彼が幕屋に幼少からあずけられて、老師エリに忠実に服従していた生活と無関係ではありません。
サムエルの燃える使命感2