
「先生、私のこの腰の痛み、本当に治るんですか?」日常診療で慢性痛の患者さんにどう向き合うか、悩むことはありませんか。今回のエピソードでは、線維筋痛症や機械的腰痛、頭痛など、多くの慢性非癌性疼痛が、痛みの部位の病変ではなく、脳内の痛みを生成する神経回路に起因する侵害可塑性疼痛(ノシプラスティック痛)として理解されるようになったという最新のパラダイムシフトを楽しく学びます。
従来の認知行動療法などが効果限定的である のに対し、疼痛再処理療法(PRT)、感情認識・表現療法(EAET)、集中的短期力動精神療法(ISTDP)などの新しい心理療法は、この中枢神経回路を標的にし、痛みを軽減または解消できる可能性が、質の高いエビデンス(レベルI)によって示されています。これらの治療法は、症状を脳に起因するものとして再帰属させ、感情的な葛藤を克服し、不安や抑うつ症状の改善にも役立つとされています。患者さんへの説明の際は、痛みが実在するものであり、真剣に受け止めていることを伝える配慮が必要ですが、オンラインや自習のリソースも存在するため、地方在住の患者さんにも提案可能です。私たちの日々の疑問に寄り添いながら、この新しい治療アプローチを深掘りしていきましょう。
Weiss ES, Zamir O. Novel psychotherapy approaches for patients with chronic noncancer pain: Effective modalities relevant to family practice. Can Fam Physician. 2025 Oct;71(10):629-34.
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