
今回のテーマは、身近になりつつある「美容医療」の安全基準。特に最近、外来でも美容の相談が増えてきたけれど、本当に安全な治療ってどれなんだろう?と悩む先生もいるのではないでしょうか。今回は、日本の美容医療の専門家たちが作成した公的な診療指針から、「強く推奨される治療」と「やってはいけない治療」を徹底的に深掘りしていきます。
本診療指針は、美容医療における合併症実態調査に基づき、日本皮膚科学会、日本形成外科学会を含む5学会共同で作成された令和3年度改訂版です。シミ、シワ・タルミ、脱毛、乳房増大術など、多岐にわたる施術について、有効性と安全性の観点から臨床的推奨度を提示しています。例えば、顔面の表情ジワにはボツリヌス菌毒素製剤の注入が、日光黒子や後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)にはレーザー治療が強く推奨されています。一方で、乳房増大術におけるヒアルロン酸製剤や非吸収性フィラーの注入は、晩期合併症や乳癌検診の妨げになるリスクから、行わないことを強く推奨するとされています。また、医療事故が発生した場合の医療事故調査制度や相談先など、医療安全の確保についても重要な記載が含まれています。医師が提供すべきインフォームド・コンセントの重要性が強調されている点が特徴的です。
厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究事業 美容医療における合併症実態調査と診療指針の作成及び医療安全の確保に向けたシステム構築への課題探索研究班. 美容医療診療指針(令和3年度改訂版). 日本美容外科学会会報. 2022;44(特別号):1(69)-102(170).
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