
発表は2025年10月29日。NotebookLMのチャットが「根っこから賢く」なりました。まず、Geminiのフル機能を使うバックエンド改良で、長文・大量資料に対する理解が底上げされ、ユーザー満足度は社内テストで50%改善といいます。さらに会話の前提を保持できる能力を6倍以上に拡張し、分析の深さと一貫性が増したのが今回のコアです。
象徴的なのが“100万トークン”のコンテキスト解放。これまで分割せざるを得なかったレポートや議事録、研究ノートを丸ごと持ち込み、関連部分を横断して問い返せるようになりました。長時間のやり取りでも文脈が途切れにくく、会話の続きは自動保存。履歴はいつでも削除でき、共有ノート上でも自分だけに見えるという扱いで、来週にかけて順次ロールアウトされます。
もう一つの目玉は“ゴール設定”。チャットの設定アイコンから、たとえば「博士課程の指導教員として厳密に批判して」「マーケ戦略リードとして即実行プランだけを返して」「テキストゲームのゲームマスターになって」など、目標・役割・声色を指定できます。NotebookLMは指定したゴールに沿って資料を読み、根拠を踏まえた答え方へ寄せてくれる——いわば“自分仕様の研究パートナー”を、ノートごとに仕立てられるわけです。
現場目線で効くのは、資料探索と要約の“寄せ集め感”が薄まること。NotebookLMは背後で情報の見つけ方と順位付けを強化し、初期プロンプトの外側も自動で当たりにいくため、大きなノートほど洞察の質が安定します。外部メディアの受け止めでも、今回の強化はNotebookLMを“ドキュメント起点の相棒”として一段と実戦向きに押し上げたという評価が目立ちます。
この流れは、数カ月前に公開リンクでノート共有や“AIポッドキャスト”を一般公開できるようにした拡張とも地続きです。個人の調査からチームの知見整理まで、集めた資料にAIで文脈を与え、成果物を共有していく——NotebookLMが“研究の作法”に寄り添う方向へ確実に舵を切っているのが分かります。
実務の導入ポイントとしては、まずは長尺資料が多い業務で効果検証するのが近道です。例えば、製品計画の一次情報をノートに一括登録し、「批判的レビュー役」と「市場戦略役」の二つのゴールを用意。同じ資料から異なる視点の要約・反論・打ち手を並べれば、会議前の“下ごしらえ”が半日単位で短縮されます。競合のメモアプリ群と比べても、今回の“100万トークン×役割指定×履歴の持続”という三点セットは、知識集約の現場で腰の据わった使い方を後押ししてくれるはずです。