Home
Categories
EXPLORE
Society & Culture
True Crime
Comedy
News
History
Business
Science
About Us
Contact Us
Copyright
© 2024 PodJoint
00:00 / 00:00
Sign in

or

Don't have an account?
Sign up
Forgot password
https://is1-ssl.mzstatic.com/image/thumb/Podcasts211/v4/0a/1b/1f/0a1b1f6a-2669-51f5-c660-f73e00b22838/mza_3486816641012906957.jpg/600x600bb.jpg
ボイスドラマ〜Interior Dream
Ks(ケイ)、湯浅一敏、インテリアドリーム
56 episodes
4 days ago
インテリアが家族の絆をつむぎだす・・・ハートフルな一話完結の物語を各前後編に分けてお送りします。(CV/ 男性役=日比野正裕、女性役=桑木栄美里)
Show more...
Drama
Fiction
RSS
All content for ボイスドラマ〜Interior Dream is the property of Ks(ケイ)、湯浅一敏、インテリアドリーム and is served directly from their servers with no modification, redirects, or rehosting. The podcast is not affiliated with or endorsed by Podjoint in any way.
インテリアが家族の絆をつむぎだす・・・ハートフルな一話完結の物語を各前後編に分けてお送りします。(CV/ 男性役=日比野正裕、女性役=桑木栄美里)
Show more...
Drama
Fiction
https://d3t3ozftmdmh3i.cloudfront.net/staging/podcast_uploaded_episode/42864709/42864709-1739537590781-6b79383b4894c.jpg
ボイスドラマ「花火」後編
ボイスドラマ〜Interior Dream
11 minutes 47 seconds
9 months ago
ボイスドラマ「花火」後編

離れていても、家族の絆は変わらない——
そう信じていても、やはり時間の流れは、少しずつ私たちを変えていきます。

後編『花火/食卓の愛』では、夢を叶えた娘と、そんな娘を支え続けた父の再会が描かれます。
父の言葉に背中を押され、東京で新たな人生を歩む娘。
それでも、彼女の心のどこかには、いつも「帰る場所」のことがあったのかもしれません。

夏祭りの賑わいの中で、ふと感じる懐かしさ。
屋台の金魚すくいに、小さな頃の思い出がよみがえる——
そんなとき、そっと差し伸べられる大きな手。

本作のクライマックスを、どうぞ最後までお楽しみください

【登場人物】

・女性(5歳/8歳/25歳)・・・子供の頃から夏祭りが大好き、雷が超怖い、3歳からクラシックバレエを習い10歳でソリスト。パリ・オペラ座バレエ学校へ入学し発表会ではプルミエ・ダンス―ルまで上り詰めた。その後パリ・オペラ座バレエ入団のオーディションは辞退。現在は東京のバレエ団で子供たちの育成に心血を注いでいる(CV:桑木栄美里)

・男性(45歳/48歳/65歳)・・・遅くに生まれた末娘を溺愛。娘と一緒に夏祭りへ行くことが一番の楽しみだった。娘がパリへ行ってからは娘の帰郷を心待ちしている。ストーリーは前編後編で交錯します(CV:日比野正裕)

<シーン1/娘5歳/花火大会にて>

(SE〜遠くに聞こえる花火の音)

娘: 「パパ、早く早く!」

父: 「そんなに急がなくても、花火はまだおわらないよ」

娘: 「でも、少しでも近くで見たいんだもん」

父: 「ようし、じゃあ堤防までスキップだ!」

◾️BGM(イメージ)/ルージュの伝言(荒井由実)

娘: 父に手をひかれた5歳の夏。

いつも家ではつま先歩きをしているけど、今夜は特別。

目の前で花火を見たいからついつい早足になる。

(SE〜花火の音/より近く)

娘: 「わあ〜」

父: 「きれいだねえ」

娘: 「うん、おっきなまんまる」

父: 「折りたたみの椅子、持ってきてよかったな」

娘: 「もっと下の方へいきたい」

父: 「土手の方かい?」

娘: 「うん」

父: 「いいけど、椅子は安定しないから、草の上に座ろうか」

娘: 「やったあ」

(SE〜土手を降りていく音)

娘: 「よいしょっと」

(SE〜花火の音)

父: 「すごい迫力だな。火の粉が降ってきそうだね」

娘: 「パパ、おひざに座ってもいい?」

父: 「どうぞ」

娘: 私は父の膝の上に腰をおろし、胸にもたれながら

大迫力の打上花火を楽しんだ。

クライマックスはスターマインと尺玉の競演。

二人とも夜空を見続けて首が痛くなってしまった。ふふふ。

<シーン2/娘8歳/バレエ教室にて/花火大会の日>

(SE〜遠くに聞こえる花火の音/ダンススタジオのレッスン)

娘: それから3年後。8歳の夏。

窓の向こうには、大輪の花火が夜空に広がっている。

花火大会の日、私はバレエ教室でレッスンを受けていた。

バレエのコンクールは夏におこなわれることが多い。

コンクールに向けたレッスンで毎日のようにバレエ教室へ通っていた。

そもそもクラシックバレエを習いたいと言い出したのは私。

私には、3歳の頃からバレエダンサーになりたいという夢があった。

ママに連れていってもらったバレエの舞台を見て

すっかり夢中になっちゃんたんだ。

演目は有名な「白鳥の湖」。

でも私が魅せられたのは、白鳥のオデットではなく、黒鳥。

ライトを浴びる黒鳥オディールの怖いほどの美しさ。

回り続ける漆黒の煌めきから目が離せなくなった。

このときから、私の夢はいつかファーストソリストになって

黒鳥を舞うこと。

花火大会も夏祭りも大好きだったけど、それよりも夢を優先した。

若干8歳の女の子が。

ちょうど花火大会が終わる頃。

私は、バレエ教室の先生から声をかけられた。

”パリのオペラ座バレエ学校を受けてみない?”

パリ・オペラ座バレエ学校。

世界一の水準と言われるパリ・オペラ座バレエ団に入る

多くのダンサーはここへ通う。

そうか。確か8歳から入学は可能だ。

しかも国籍に関係なく、優れたダンサーであれば誰でも応募できる。

もちろんすごい競争率に勝たないといけないけど。

柔軟性、筋力、スタミナも含めた身体的能力が求められる。

”私の身体能力なら大丈夫”

なぜか、先生は太鼓判を押してくれた。

「行きたい」

だけど、だけど、パパやママと離れるのは絶対にいや。

8歳の小さな心は葛藤した。

<シーン3/娘8歳/網戸から風が入ってくる>

(SE〜セミの声と風鈴の音)

娘: 「パパ、オペラ座バレエ団って知ってる?」

父: 「なんだい、それ?」

娘: 「すごく有名なバレエ団なの。学校もあるのよ」

父: 「へえ」

娘: 「バレエの先生がね。その学校を受けてみたらって?」

父: 「ほう、いいじゃないか」

娘: 「でも、パリって遠くない?」

父: 「パリ!?」

娘: 父は口をあけたまま言葉が続かなかった。

変な顔をして不自然に笑っている。

そりゃそうよね。

いきなり8歳の娘がパリへ行くなんて言ったら。

食卓は家族が集まって今日あったことを話す場所。

私最近、学校のことより、バレエの話の方が多いかも。

食卓の端っこにちょこんと置かれた金魚鉢。

中には紅白模様の金魚が7匹泳いでいる。

大きさは大小さまざま。

この5年の間に、夏祭りの屋台からすくってきた私の戦利品だ。

1匹も死ぬことはなく父が大切に育ててくれている。

娘: 「すっごく考えたんだけど、私ね」

父: 「うん」(※つばを飲む)

娘: 「いかないよ」

父: 「え?」

娘: 「パパとママと、離れ離れになるのなんて絶対にいや!」

父: 「そ、そうか・・・」

娘: パパ、ごめんね。

今はいかないけど、いつか、私行くと思う。

ママは教室の帰り道で

”一緒に行こう”

って言ってくれた。

私はホッとするパパの顔を見ていると

幸せな気持ちになって口元がほころんだ。

<シーン4/場面転換/娘12歳/空港にて>

(SE〜飛行機の離陸音)

娘: 結局、その4年後に私はパリへ旅立った。

受かるとは思ってなかったけど

パリ・オペラ座バレエ学校のオーディションに合格しちゃったんだ。

ママはすぐにパリのアパルトマンを借りてくれた。

私は18歳までレッスンしながらキャリアを積む。

パパ、ちゃんとお盆とお正月には帰ってくるから。

ごめんね。ごめんね。

<シーン5/娘25歳/東京のバレエ教室にて>

(SE〜遠くに聞こえる花火の音/ダンススタジオのレッスン)

娘: 25歳の夏。

子供たちにバレエを教えながら、ちらっと窓を見る。

あの日と同じように、ガラス越しの夜空に花火が上がっている。

私は、パリ・オペラ座バレエ学校を18歳で卒業したあと

オーディションを受けてパリ・オペラ座バレエ団に入団した。

プルミエ・ダンスールとなり念願の黒鳥を舞ったのは、20歳の夏。

夢を叶えた私は、もう何も思い残すことはなく帰国した。

(なのに、地元へは帰らず東京にいる。

それは、パパのこの言葉があったから)

父: 「オペラ座バレエ団であんな素晴らしい舞台にたったダンサーが

こんな田舎にいちゃいけないよ」

娘: パパの言葉に背中を押されて、私は東京へ。

有名なバレエ団が運営するバレエ教室で子供たちを教えている。

やがて花火大会が終わった。

地元の花火大会の方がすごかったな・・・

パパ・・・

<シーン6/娘25歳/八幡神社の夏祭り>

(SE〜祭り囃子と雑踏)

娘: 来ちゃった。

パパいるかな、と思って直行で夏祭りへ。

そんな都合のいいこと、ないよね。

神社は相変わらずすごい人。

灯篭に灯のともった参道を歩くと・・・

あ、金魚すくい。

その10分後。

私の左手には金魚が1匹入ったビニール袋が揺れていた。

このあと、どうしようかな・・・

いきなり帰ったら、パパもママもびっくりするよね・・・

もう少しお祭り見ていこうかな・・・

そう思った瞬間、私の右手を大きな手が包み込んだ。

父: 「おかえり」

娘: 「パパ!」

■BGM〜「インテリアドリーム」

娘: そのあとは、もう言葉にならなかった。

父も同じ思いだったに違いない。

かろうじて、しぼりだした言葉は、

父: 「そろそろ帰ろうか」

娘: 「うん」

父: 「今まであったこと、いろいろ話してくれるだろ?」

娘: 「うん」

あの食卓で。

早く家に帰って、食卓に座りたい。

ずうっと開けていてくれている、私の場所へ。

「ただいま」

ボイスドラマ〜Interior Dream
インテリアが家族の絆をつむぎだす・・・ハートフルな一話完結の物語を各前後編に分けてお送りします。(CV/ 男性役=日比野正裕、女性役=桑木栄美里)