
この書籍は、行動科学の研究者であるレーナ・スコーグホルム氏によって書かれ、御舩由美子氏が翻訳したものです。サンマーク出版から発行されています。本書は、人生から「摩擦」や「トゲ」をなくすことを目的とした、北欧(スウェーデン)でベストセラーとなった話題作です。
コミュニケーションにおいて「話が通じない」と感じることは誰にでもありますが、その理由を著者は人間の脳の三層構造にあると説いています。脳は古い順に、ワニ脳(爬虫類脳)、サル脳(哺乳類脳)、そしてヒト脳(新皮質)から構成されるという考え方です。
通常は理性的なヒト脳が主導権を握っていますが、ストレスや衝突が強まると、理性的な脳から順に機能が低下し、最終的にワニ脳が優位になる(脳のワニ化)と考えられています。この状態では、建設的なコミュニケーションが難しくなります。例えば、上司が突然否定的な態度を取ったり、夫が無愛想になったりする のは、相手の脳が「ワニ化」している可能性があるためです。
円滑なコミュニケーションのためには、この三層構造を理解し、相手(そして自分自身)の脳がどの状態にあるかを見極めることが重要です。相手がワニ脳の状態なら、まず単純で明確な言葉で安全を伝え、サル脳の状態なら共感を示す、落ち着いてヒト脳の状態に戻ったら論理的な対話に進む といった、相手の状態に応じた適切な対応が求められます。
また、自分の**「ワニ化」に気づき、感情をコントロールする**ことも大切です。深呼吸、休息、マインドフルネスなどが有効な対処法として挙げられています。自分自身を思いやり、ありのままを受け入れることで、心の安定が生まれます。
本書は、脳科学に基づいた実践的なメソッドを提供し、脳の仕組みを理解することで、人間関係のモヤモヤやストレスを解消し、コミュニケーションを改善へと導くとしています。職場や家庭、友人関係など、様々な場面で役立つ知恵が詰まっています。