
何の不自由もなく琴を弾いたり歌を詠んだり、不幸も幸せもない日々を暮らしていた六の宮の姫君だったが、両親が急死したことで頼りを失い生活は一気に困窮する。
しかし姫にその状況を変える力はなく、乳母は信頼できる後ろだてにと、かねて姫に思いを寄せていた丹波の前司を館に招き入れることにした。
国語の教科書でおなじみ芥川龍之介の『羅生門』の裏テーマを描いた作品です。生きるためになんでもする『羅生門』に対して、生きることのすべてを諦める『六の宮の姫君』。
どう生きていくべきなのか、その決断は読んだ人それぞれにゆだねられています。
原稿:芥川龍之介『六の宮の姫君』青空文庫