
<男性・30代後半・元芸人・現在は営業職(保険会社)>高校卒業後すぐにお笑いの世界に入り、20代のほとんどを芸人として過ごしました。コンビで劇場に立ち続け、テレビのオーディションも受けてきましたが、30歳を前にコンビを解散。私は自分の才能に限界を感じ、踏ん切りをつけて芸人を辞めました。今は中堅の保険会社で営業職として働いて5年目になります。契約件数も安定し、上司や同僚にも「場を明るくしてくれる」と評価されています。けれど、ふとした雑談や、得意先で笑いがウケた瞬間、かつての“芸人としての自分”が顔を出します。そんな中、昔の相方がピン芸人としてテレビに出ているのを偶然見ました。「まだあいつは、ステージに立ってるのか」と思った瞬間、涙が出そうになりました。周囲には夢を追っていた過去を語っておらず、妻にも「安定した生活がいい」と言われています。夢を追うことと、現実を生きること。その間にある“諦めきれなさ”を、どう扱えばいいのか分からなくなっています。このまま営業としてキャリアを積んでいけば安定した未来があるのはわかりますが、心のどこかで「このまま終わっていいのか」という声が消えません。