第2章 身体を愛する①|歴史から読み解く「感じる身体」Ep.85
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第2章 身体を愛する①|歴史から読み解く「感じる身体」Ep.85
今回から第2章「身体」についてのお話です。テーマは歴史から読み解く「感じる身体」。私たちが体をどう見るかという視点は、時代ごとに大きく変化してきました。体は「管理される体」「測られる体」「評価される体」を経て、今、ようやく「感じる体」に立ち戻る時代が来ています。歴史からたどる体の概念の変遷 人類は長い間、体を外側から定義してきました。
1. 古代から中世:魂の入れ物、制御すべきもの 体は魂の入れ物として扱われました。古代ギリシャでは理性によって制御すべきもの、中世のキリスト教では欲望が罪や転落と結びつけられ、体は耐えるものとして道徳の中心に置かれました。体は超越への障害物でもあったのです。
2. 近代:測定・管理・修理できる機械 17世紀のデカルトは心と体は別物とし、この考え方が医学と科学を飛躍させました。体は「測定できる、管理できる、修理できる」対象となり、「よく動く体=優秀な体」という思想は今も私たちの意識に残っています。
3. 20世紀:健康の数値化と圧力 医学や心理学の発展で寿命は伸びましたが、人間は「健康」という新しい理想に縛られ始めます。体重、体脂肪率、睡眠スコアなど、数値化は便利さとともに、基準に届かない自分を責める装置にもなりました。あなたが疲れるのは、この「体の歴史的圧力」を一人で背負っているからです。
🔷安心への回帰:現象学と科学が示す道 疲労や自己否定から脱するための鍵は、体の中にあります。哲学者のフッサールは、世界を「どう見るか」ではなく、「どう感じているか」に注目する現象学を提唱しました。評価を止め、ただ観察することで、体は裁かれる対象ではなく「今を感じる場所」に戻ってきます。メルロ=ポンティは、私たちは体を持っているのではなく「体そのものである」と言い、体は世界との繋がりそのものだとしました。触れることと触れられることは同じ現象の両面であり、触れられるということは安全であるという感覚につながります。
🔷最新の科学も、この直感を裏付けています。
🔹間受容(Interoception):呼吸や胃腸の動きなど、体内の内部感覚を感じ取る力です。これが整うと不安が減り、集中力が上がります。つまり、安心とは体の状態なのです。
🔹神経の安全装置:体が安全だと感じると、副交感神経が働き、声、表情、消化、呼吸が整います。頭で「大丈夫」と唱えていても、体が危険信号を出していれば行動は止まるため、間受容は体の再設定に不可欠です。
👩私は複雑性PTSDと共に過ごしてきた経験から体を理解することに本当の優しさがあると確信しています。安心は意思ではなく生理であり、体を知ることが最も現実的な優しさなのです。
🔶前回のエピソードの振り返り
前回は「なぜ変化は受容からしか始まらないのか」という回でした。結論は、変化は意思ではなく安心の結果であるという点でした。体が「今ここを安全だ」と感じられた時、心は自然に動き出します。
🔶次回予告 次回のテーマは「健康とは何か?心の平和はどこから得られるのか」です。フォローボタンを押してお待ちください!
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