
第六回は「愛しの昭和30年代日本映画」。
文化史のエアポケットとしての昭和30年代から、二人の偏愛する日本映画を三本ずつ選出。各作品・作家・俳優たちの魅力を縦横無尽に語り合います。
【川勝徳重の三本】
内田吐夢『血槍富士』
蔵原惟繕『憎いあンちくしょう』
勅使河原宏『白い朝』
【柴崎祐二の三本】
増村保造『美貌に罪あり』
中平康『あした晴れるか』
山下耕作『関の彌太ッペ』
【目次】
なぜ今「昭和30年代映画」なのか/日本映画第二の黄金期/川勝徳重一本目『血槍富士』(内田吐夢、1955年)/満州の内田吐夢/実存の危機を抱えた殿様/片岡千恵蔵の大立ち回り/ネタバレを聞いて面白くなくなるような映画は見なくていい/堂々たる書割の富士/教条主義的な感じがしない/柴崎一本目『美貌に罪あり』(増村保造、1959年)/戦後モダニスト・増村保造/名優揃いのキャスティング/新しい女性像/野添ひとみだけで一億点/増村はお金と経済の話をするので苦しい/盆踊りのシーンの美しさ/日舞の文化的立ち位置/謎のノビリティ/ミュージカル映画との親和性/柴崎二本目『あした晴れるか』(中平康、1960年)/これぞ日活プログラムピクチャー/中平康のリズム/ベタすぎる「メガネとると美人」描写/中平康は最初から良い/GEOには裕次郎の映画が置いてあった/日活映画に記録された昭和日本の風景/清順だけが意味不明な映画を撮っていたわけじゃない/ヌーベル・ヴァーグと大衆文化の狭間で/裕次郎の歌は歌いやすい/川勝二本目『憎いあンちくしょう』(蔵原惟繕、1962年)/謎のジープ逃避行/ジャガーで追跡する浅丘ルリ子/画面が全部かっこいい!/裕次郎の泥臭さ・未熟成/人生で一度も聞いたことないような台詞のベストアルバム/シティポップの元祖的なセンス/傑作では明らかにないが、絶対に肯定したい/人力合成に固有のポエジー/フィクションがあまりにも自分の実存と共振してしまった時、イデアルなはずのものが〝現実〟になる/「群衆の中でもみくちゃになる」という類型/極めていびつだが、全部わかる/川勝徳重が創作に求める全てがここにある/柴崎三本目『関の彌太ッペ』(山下耕作、1963年)/「ほうれんそう」って大事だな/「一宿一飯の恩」って毎回言ってませんか?/画面の質が明るすぎる/端々に滲み出る端正さ/時代劇はなぜか見ていて疲れない/若い時にU-NEXTがあったら〝終わって〟いた/思い出せるのは名作ばかり/川勝三本目『白い朝』(1965年、勅使河原宏)/武満徹の音楽の素晴らしさ/段差を感じる映像と音のモンタージュ/ヌーベル・ヴァーグに最接近した日本映画/文脈を破壊する坂本九/たわいないものが崇高なものになる/ワン・ビン映画との親和性/入江美樹の跳躍と永遠/ロングショットの力/川勝作品と『白い朝』/できたての首都高/流れる風景に重なる原体験/高速移動の美学
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