皇帝の寵愛を武器に、正室から皇后の座を奪い取った「魔性の女」。しかしその素顔は、国家存亡の危機に際して私情を捨て、国を救うための非情な決断を下した「救国の英雄」だったのかもしれない。明王朝の5人の皇帝の時代を生き抜き、側室から皇太后へと上り詰めた孫氏。皇帝が敵国の捕虜となる「土木の変」という未曾有の国難に、彼女はいかにして立ち向かったのか。愛と権力、そして国家への責任に生きた一人の女性の、波乱に満ちた生涯を描く。