【変転の人生】
兄たちの性格は、このように残酷で策略に満ちたものであることがわかりますが、創世記にはヨセフは素直な若者で、兄弟たちとも張り合うことも無く、姿も精神も、優れた人であったと記されていますし、どんな人に対しても悪を計る事のない人として描かれています。
しかし、この世では、この純真さ、心の美しさが仇になることもあります。
このために彼は、次々と災難の中に巻き込まれていくのです。
エジプトに奴隷として売られたヨセフは、エジプトの役人に仕える事になります。
このような運命の変転の中で、ヨセフは少しも兄弟たちを恨む事もせず、誠実に主人に仕え、主人の絶大な信頼を得るようになります。
ところが、彼の純真さと美しさが仇となって、主人の妻から強い誘惑を受けるのです。
しかし、厳しくそれを退けたために、反対に主人の妻から、彼が誘惑したとの濡れ衣を着せられて投獄されてしまいます。
彼は、自分の見た夢とはまったく違った運命に動かされるのを知っていながら、そのように自分を陥れた主人夫婦を恨まずひたすら神を信じて、その誠実さを獄中でも示して人々から信頼を得るのです。
彼にとっては、逆境は自分を磨く絶好の場であったのです。いつの間にか、囚人の彼は、獄屋番の信頼を得て、獄屋番の代わりをつとめるまでになっていたのです。
夢見るヨセフの成功哲学②