【夢見る青年】
ヨセフ物語は、聖書の中でも、際立ってい輝いている者です。これは、神から与えられた夢をひたすら信じつづけ、変転の人生を切り抜けて大成功を手にした青年の物語りです。
ヨセフは、父ヤコブの年取ってからの息子で、12人の息子の11番目に生まれました。
父ヤコブは、ヨセフを愛して特別の着物を着せて、いつも自分の側においておきました。
そのために、他の異母兄弟たちの妬みをかうことになったのです。こういうことは、世間でもよくあることです。
ヨセフは、非常に感度の鋭い青年であって、夢を見たり、幻を解いたりしたのです。
彼は、その見た夢を兄弟たちに語ることから、人生は波乱万丈の波の中に巻き込まれることになるのです。
彼の見た夢は、ヨセフとその兄弟たちとが畑の中で束をゆわえていると、ヨセフの束が起きてほかの束の上に立ち、ほかの兄弟たちの束は彼の束に従い拝むというもので、もう一つの夢では、日と月と11との星とがヨセフを拝むというものでした。
これらの夢は、特に説明しなくても、彼の兄弟たちにはまったく明白です。
父の寵愛を受けているヨセフの事ですから、彼が将来一族の長におさまることは、ありえない話ではありません。兄弟たちは、憤激します。そして、彼らは、この生意気な弟に対する対策を練るわけです。
ある時、父やコブは、シケムの近くで父の羊の群れを飼っている兄たちの安否を問うために、ヨセフを使いに出すのです。
彼らははるかかなたにヨセフを見つけると、彼を殺そうと計画するのです。
「あの夢見るものがやって来る」と彼らはいい、「さあ、彼を殺して穴に投げ入れて、悪い獣が彼を食い殺したと言おう。そして、彼の夢がどうなるか見よう」と凶悪な殺人を企てるのです。彼らは、ヨセフの夢の実現を恐れていたのです。彼の夢の実現を妨げる最良の方法は、彼を殺してしまう事だと考えたのです。
その実行のときになって、最年長の分別のある兄ルベンは、彼のため、命乞いをし、ヨセフは九死に一生を得ます。しかし、彼らはヨセフの着物を剥ぎ取り、水の無い穴に彼を投げ込んでしまうのです。
そして、たまたま通りかかったイシュマエル人の商人に、銀貨20枚で奴隷として売り飛ばしてしまうのです。そして、ヨセフの着物を羊の血で汚して、父ヤコブには、彼が悪い獣に食われて死んだと報告するのです。
夢見るヨセフの成功哲学①