
新型コロナが5類に移行して久しいですが、軽症患者への対応が日常診療に戻った今、皆さんが最も頭を悩ませているのが、どの経口抗ウイルス薬を選ぶかではないでしょうか。特に多剤併用が多い高齢の患者さんでは、「あの薬とこの薬、一緒に飲ませて大丈夫なの?」という疑問はよくあることです。
今回のエピソードでは、最新の「新型コロナウイルス感染症 診療の指針 2025」を紐解きながら、4種類の抗ウイルス薬の選び方と、特に避けるべき「薬物相互作用(DDI)」の落とし穴について、楽しく深く学んでいきます。知らずに処方すると患者さんを危険に晒してしまう可能性のあるDDIのリスクを、最新のエビデンスに基づいて整理しましょう。外来診療における抗ウイルス薬の選択フローチャートも参考に、日々の臨床判断に役立つ知識を対話形式でお届けします。
新型コロナウイルス感染症の治療において、モルヌピラビル(ラゲブリオ)、ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビット)、エンシトレルビル(ゾコーバ)などの抗ウイルス薬は、重症化予防および症状軽減を目的として使用されます。
ニルマトレルビル/リトナビルおよびエンシトレルビルは、肝代謝酵素CYP3Aに対する阻害作用が強いため、併用禁忌薬が多数存在し、投与前に患者の常用薬との相互作用を厳密に確認する必要があります。
一方、モルヌピラビルは相互作用のリスクが少ないですが、重症化抑制効果は他剤と比較して低い可能性が指摘されています。
薬剤選択は、患者の重症化リスク、腎機能、そして発症からの投与可能期間(例:ニルマトレルビル/リトナビルは5日以内、エンシトレルビルは3日以内)を総合的に判断することが重要です。
長谷川直樹, 迎寛, 佐々木結花, 松本哲哉, 泉川公一, 他 (編). 5学会による 新型コロナウイルス感染症 診療の指針 2025. 2025.
#地域医療 #プライマリ・ケア #いなか医師の勉強ノート #新型コロナウイルス #COVID-19 #薬物相互作用 #抗ウイルス薬 #ガイドライン