
「先生の診療が良かったはずなのに、なぜか満足度が低い…」「忙しい中でも患者さんに気持ちよく帰ってもらうには?」日々患者さんと接する中で、医師の皆さんが抱えるそんな疑問に、論文から楽しく迫ります。今回のエピソードでは、日本のプライマリ・ケアクリニックのデータを用いた興味深い研究を取り上げます。従来、患者満足度は医師の行動やスキルに大きく依存すると考えられてきましたが、本研究は医師に関連する要因だけでは語りきれない、患者満足度の隠れた貢献者に焦点を当てています。
本研究は、日本のプライマリ・ケア診療所における患者満足度と多職種スタッフの関与との関連を、2019年から2022年の外来患者1,415人の満足度調査データの二次分析により検討したものです。
解析の結果、医師に関連する要因とは独立して、看護スタッフの態度に対する高い満足度(PR 2.06, 95% CI 1.39–3.05)と、待機時間中のケアに対する高い満足度(PR 1.43, 95% CI 1.33–1.54)が、全体の満足度と有意に関連することが示されました。受付スタッフの態度もプライマリモデルで関連を示しましたが、感度分析ではその関連性は弱まりました。これらの知見は、外来診療において、看護スタッフの態度や待機時間の対応など、非医師スタッフによる人間的な関わりが、患者中心のケアの質向上に不可欠であることを示唆しています。
待ち時間は客観的な長さよりも、待機中に提供されるケア(情報提供や配慮など)に対する患者の認識が重要であるという先行研究とも一致しています。
Morikawa K, Ando T, Tezen S, Okada T. Non-Physician Contributors to Patient Satisfaction in a Japanese Primary Care: A Cross-Sectional Secondary Analysis of Patient Satisfaction Surveys. J Gen Fam Med. 2025.
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