
スウェーデンのプライマリ・ケア環境における、複数の慢性疾患を持つ高齢者(67〜87歳)16名を対象に、健康の捉え方と医療体験に関する定性研究が実施されました。
分析の結果、「病気ではないと弾力的に位置づける(Resiliently Positioning as Non-Sick)」と「医療の手に身を委ねる(Placing Yourself in the Hands of Healthcare)」の2つの主要テーマが導出されています。
高齢者は多疾患を抱えながらも自身を「非病人(non-sick)」と認識し、自律性を保とうと努めています。彼らにとって、医療機関との関わりは、自律性や非病人としての自己認識を脅かす可能性があります。提言として、政策立案者や医療提供者は、スティグマ化された「マルチモビディティ」などの用語を避け、自律性の尊重とホリスティックなアプローチを重視した患者中心のケアを提供すべきであると結ばれています。
また、複数の懸念事項を持つ患者に対して、「1回の予約につき1つの問題」という原則がしばしば不満の原因となることも示唆されています。
今回の研究から、患者さんが持つ「健康」や「病気」に対する認識と、医療システムとの間に存在する根深いギャップについて深く掘り下げていきます。
Ytterbrink Nordenskiöld K, Sandlund C, Kappelin C, Norman K, Wachtler C. “So I call myself healthy”: a qualitative study on health perceptions and healthcare experiences in older adults with multimorbidity. BMC Primary Care. 2025;26:312.
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