
今回は、多忙を極める地域医療の現場で、日々の診療がどれほど複雑化しているのかを掘り下げた注目論文をご紹介します。
スペインのカタルーニャ州における家庭医を対象とした観察研究に基づき、2019年から2022年の間に診療の全体的な複雑性が12.9%増加したことが示されています。
この複雑性の増加は、総受診件数や、1回の診療あたりの理由数が増加している状況下で発生しています。特に、対面診療において最も高い複雑性が検出されており、臨床的、感情的、コミュニケーション上の複雑性が顕著に増加しました。感情的な複雑性は46%増加しており、パンデミック後の精神社会的な病理の増加(2019年の3.15%から2022年の4.49%へ)が背景にあると考えられます。また、未スケジュールの医療管理時間も延長している一方で、医師の休息時間は減少している状況が確認されています。本研究は、複雑化する診療に対して十分な時間が割り当てられていない可能性を示唆しています。
Montero-Alía JJ, Seda-Gombau G, Zamora-Sánchez MV, Rodríguez-Álvarez MM, López-Torrent E, Torán-Montserrat P. Analysis of the increase in the complexity of care in family medicine. BMC Primary Care. 2025;26:311.
#地域医療 #プライマリ・ケア #いなか医師の勉強ノート #複雑性 #家庭医 #バーンアウト #燃え尽き症候群 #メンタルヘルス