
11月中に知るべき「費用の限界ライン」を定める3ステップ
ステップ1:顧客獲得コスト(CPA)と限界CPAの定義
費用の限界ラインを把握する第一歩は、顧客獲得にかかる総コストを正確に把握し、利益を損なわない上限値(限界CPA)を設定することです。
1. 顧客獲得コスト(CPA)の正確な把握: 新規顧客獲得にかかるコスト(広告費、販売の取り組みにかかったコスト、コミッション、その他の諸経費の合計)をすべて含めて計算する必要があります。例えば、人件費を含め、新規顧客1人あたりにかかった費用がCPAとなります。
2. 限界CPAの設定: 顧客獲得コストが「限界CPA」を超えていないかを常にチェックしなければなりません。限界CPAとは、顧客一人から得られる利益(顧客生涯価値:LTV)に基づき、広告にいくらまで費用をかけられるかを決定するラインです。LTVが把握できれば、顧客獲得のためにいくらコストをかけられるかを知ることができます。
3. 利益回収の期間設定: 基本的にほとんどのビジネスでは、利益はコストを投じた後から入ってくるものですが、ビジネスをスピーディに拡大するためには、顧客獲得後の1〜2ヶ月で得られる利益を最大化することが重要です。
ステップ2:バックエンド戦略による限界CPAの引き上げ
顧客獲得コストを回収し、限界ラインを実質的に引き上げる最大の鍵は、最初の購入直後に利益を生むバックエンド・セールスを組み込むことです。
1. 購入直後の追加販売(アップセル/クロスセル)の徹底: 顧客が最初に商品を購入してからすぐにアップセルをかけなければなりません。顧客が既に購入しているものと一緒に使えるような商品を注文させることができれば、飛躍的に利益を伸ばすことができます。
2. 顧客との接点の洗い出しと活用: 顧客になってから1~2ヶ月以内に発生する「購入、納品、請求書の発行、アフターフォロー」など、すべてのお客さんとの接点を追加利益を獲得するチャンスと考え、セールスする回数を増やすことが重要です。
3. 利益増を前提とした広告予算の増額: バックエンド・セールスによってどれだけ余分に稼げるかを理解すれば、顧客獲得に使うコストを大幅に増額することができます。なぜなら、顧客がもたらす金額は単一商品の金額ではなく、複数の商品の合計になるからです。これにより、限界CPAが上がり、競合よりも大きな予算を広告に投じられるため、ビジネスの拡大をスピーディに行うことができます。
ステップ3:広告効果の測定とテストの徹底
設定した限界ラインを超えないようにするため、また、効果のない広告に資金を投じる「ギャンブル」を避けるために、テストを徹底します。
1. 無闇な部数拡大の回避: チラシなどの広告は、腕のいいライターが書いても必ずしも反応が取れるとは限らず、無闇に部数を増やして配るのはギャンブルと同じです。まず、3,000部~5,000部くらいの少ない部数でテストし、反応の良い成功パターンを確立してから、部数を拡大することが鉄則です。
2. 効果測定の仕組み化: マーケティングキャンペーン、広告、ダイレクトメールなど、それらの取り組みはすべて測定され、数値化される必要があります。紙媒体の場合は、チラシごとに番号(注文番号など)を振る、あるいは「今日は何を見て来てくれたのか?」と直接聞くなどの工夫をすることで、どの媒体からの反応かを追跡し、効果を測定します。
3. 「1回につき1要素のみ」のテスト: 広告の価格設定や見出しなど、どの要素が最も効果を上げているのかを検証するために、一度に一つの項目だけをテストすることが絶対的なルールです。複数の要素を同時に変えると、何が良くて何が悪いのかが分からなくなってしまいます。